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紗和目線の物語②

後で読み返して矛盾に気がついたので、

訂正しました。


「怪我はありませんか?」

「は、はい!!あの、ありがとうございます…!!」

「いえ、そんな…。それではお気を付けて。」


軍人さんは、頭を軽く下げてからこの場を去ろうとした。


「軍人さん、お名前を教えて頂けまか!?」

「え?」


私はどうしてもそのまま軍人さんとお別れするのが嫌で、軍人さんを引き止めてしまった。


「どうしてもお礼がしたいのです!!」


勿論、どうしてもお礼がしたいのも本当です。


「田中昴です。」


あぁ…。“昴”さん。

名前もかっこいいなんて…!!


どうしてもお礼がしたい!

とお願いをしたら、昴さんが

“三宮の案内をして欲しい”

と言ってくれました。

三宮は私の庭の様なもの!

喜んで引き受けました。


「僕は陸軍飛行兵学校の、三ノ宮第二寮棟で暮らしています。何かあったらここに…」

「あ!!」

「ど、どうしました?」

「私の実家、その寮の隣です!」


昴さんと色々話していると、歳が同じである事が分かりました。

昴さんが暮らす寮が、私の母が経営する寮だったり…。

もう、これって運命じゃないの!?

と思ってしまう程。



とうとう昴さんに三宮を案内する日が来ました。

私は少しだけお洒落をして、彼を待ちます。

当日は、親友の莉子ちゃんのお店に行って、

それから大好きな駄菓子屋さん、

文房具屋さんなど…。

色んな所へ昴さんに案内しました。


「(もっと昴さんと一緒にいたいなぁ…)」


そう思った私は、彼を秘密の場所へ案内しました。

子供の頃から、1人になりたい時によく来ていたこの場所。

大切なこの場所を昴さんに教えたくなりました。


「うわぁ…」

「昴さんは、パイロットになるんだっけ。」

「うん。」

「そうしたら、海より空の方が好きなんかな?」

「いや、どっちも好き。

でも、山が1番好きかも知れん。」

「山?」

「うん。僕、山奥の村で育ったから。」

「そうなんや!」


昴さんが生まれ育った所って、どんな所なんでしょう。

きっと、素敵な所に違いありませんね。

草むらに腰掛けると、昴さんも隣に座ってくれました。

暫く沈黙が続きましたが、不思議と心地よく…。


「(昴さんと一緒にいると、楽しいな。)」


そう、心から思うのでした。


「昴さん。今日はありがとう。」

「そんな、こちらこそありがとう。」

「昴さん、忙しいやろけど…

また、一緒に出掛けたいな…。」


そう言うと、彼は困ってしまうでしょうか…。


「…せやな。また一緒に出掛けよう。」

「!!」


その言葉が嬉しくて、私はつい、顔がニヤついてしまうのでした。



1941年12月8日。

ラジオから、真珠湾を攻撃したと情報が流れました。

太平洋戦争の開戦です。


「やっぱり、日本は強いんやなぁ!」


私は母と一緒にラジオを聞いていました。

2人で日本軍の戦果に感動したものです。


「きっと、日本軍はすぐに勝つで!」


母の言葉に、私はうんうんと頷きます。


「浩二くんや昴くん達も、いつかはあの兵隊さん達みたいに、立派に戦うんやろうなぁ…。」

「あ…。」


母の言葉で気が付きました。

昴さんと仲良くなれた事で浮かれていたけれど、昴さんは学校を卒業したら、戦争に行かなくては行けないと言う事に。


「紗和?」

「あ、いや…。何でもない!!

私、食堂の掃除して来る!!」



ある日、莉子ちゃんが家に訪ねてきました。


「紗和ちゃん、ちょっと相談があるんやけど…。」

「相談?良いよ。上がって。」


莉子ちゃんにお茶を出しました。


「どうしたの?」

「あの…長谷川進さんっているやん?」

「うん。昴さんや浩二くんとよく一緒におるなぁ。」

「私、長谷川さんの事、好きになってしまったねん!!」

「!!!」


どうやら、昴さんと進さんがお店に来た時に、進さんに一目惚れしてしまったそうです。


「そうだったんやね!」

「どうしてももう一度会いたくて…。

紗和ちゃん、どうにか出来ないかなぁって。」

「そうやなぁ。なんか自然に再会出来たら良いんやけど…。うーん…。」



進さんが帰って来る時間を狙って、

莉子ちゃんに家に来てもらいました。

世間話をしている時に、偶然再会…

を狙う作成です。


「あ、進さん、帰って来たで!!」

「!!」


良かった。上手く行きました。

私は小声で莉子ちゃんに告げました。

進さんは浩二くんと一緒です。


「浩二くん、進さん、おかえりなさい!!」

「ただいま〜…って莉子ちゃんやん!!

久しぶり!!」

「久しぶり!」


どうにかして、莉子ちゃんと進さんを2人きりにしないと…!


「浩二くん、ちょっとこっち来て。」

「え?」

「良いから!」


浩二くんの腕を引っ張って、寮の中へ連れて行きました。

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