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ミヨちゃんの謎

「ミヨちゃんに遭遇したのか?」

 天然記念物だ、存在したのか。


「そうなのよ、ハバネロ公爵から名前を聞いたって言うととっても驚いてた」

 そりゃそうだろ。


 どんな立場か知らないが、いきなり会ったこともない王国の公爵に存在を知られているなんて聞いたら軽く恐怖だ。


「黒騎士のこと話したら納得してくれた。

 今度お仕置きするって。

 なんでだろ?」

 アレだ、黒騎士が存在をバラしたと思うわな。


 黒騎士、どうやって誤魔化したんだ?

 正直に言ったかな?

 黒騎士にしてみればミヨちゃんに隠すことでもないか。


「どんな子だった?」

「ん? 会ったことないの?

 普通に可愛い子だったよ?

 黒髪の勝気美少女というか、口ぶりでは黒騎士を尻に敷いてそうなしっかり者って感じ?」


 見たこともないのに、なんだかイメージ出来そうだな。


「黒騎士からは連絡はあったか?」

 サビナに尋ねると彼女は頷き答える。

「閣下、数日前にどう判断して良いか分からないから、王都への移動中に判断を願うと連絡が来ていた内容がこれではないかと」


 ああ、なるほど。

 どう動いて良いか判断が付かないから、直接目で見て判断してくれと。

 確かにこのポンコツ娘の扱いなど目で見ないと判断出来んな。


「それにあんた、前に言ってたでしょ?

 迂闊に動くとそれを口実に何をされるか分からないって」


 言ったか?

 ……似たようなことは常に言ってたな。

 特に貴族社会はいつも相手の足を引っ張るための口実を探しているものだ。


「それとミヨちゃんたちの一族のこと、あんた何か知ってたの?」

「何がだ?」

 メラクルは俺の反応を見て、キョトンとした顔をする。


「あんたがミヨちゃんのこと知ってたと言った時に動揺は半端なかったわよ?

 助けてもらったけど、殺されるかと思ったし」


 おい、なんでだよ?

 助けてもらったのに殺されかけるって何したんだ?

 次のメラクルの言葉は流石に俺も予想外だった。


「黒騎士たちって隠密の一族みたいよ?」

「……はあ〜?」

「……あんたのその反応って珍しいわね。」


 なるほどなぁ〜、それも含めて判断してくれってことか。

 そりゃあ、隠密一族のしかも個人の名を王国のハバネロ公爵にいつの間にか知られているのだ。

 隠密一族としては、動揺するに決まっている。

 何処から情報が漏れたんだ、と。

 ……ゲーム設定とかいう裏技です。


 黒騎士を含むユリーナたちは、今まで調査した邪神の動向について、世界的に対策を行うために教導国へ行っている。

 

 この話し合いは教導国と王国は元より共和国と帝国すらも参加する。

 黒騎士はこの間に一族を雇うかどうか、ハッキリしておいてくれと言いたかったのだろう。

 黒騎士は俺が密偵欲しがってたの知ってるしなぁ。


 ゲームでも黒騎士はお助けキャラで、事あるごとに主人公たちを助けに来るが、ただの個人が小国と言えど、国家の特定の部隊を追いかけるとは容易ではない。


 そのため、黒騎士が主人公チームにたびたび接触出来るのにはなんらかなバックボーンがあると思っていたが、なるほどなぁ〜。


「私が養生してたら、里に黒騎士が姿を見せた時は驚いたわよ。

 その時に、『あ、これが黒騎士のミヨちゃんなんだ』って言ったら、2人同時に怒られたけど、なんでか未だに分かんないのよね」


 あれだな、メラクル。

 お前色恋沙汰、とんでもなく苦手だろ?

 その2人、何というか微妙な関係ってやつじゃないか?

 今度、黒騎士を揶揄からかってみよう。

 ……サンガリオン振り回して追いかけ回されそうだから、やっぱりやめておこう。


 黒騎士は現在は俺が支援しているから、一族の方には頻繁に接触していなかったんだな。

 それで久しぶりに接触してみれば、メラクルが居た、と。


「んで、動けるようになったら、心配してるからすぐ王国の方に向かえって。

 心配してた?」

「心配したぞ?」


 俺は正直に答えると同じくサビナもうんうんと頷く。

 それを見てメラクルは嬉しそうに笑う。

 よっぽど不安だったらしい。

 そりゃそうだよな。


 しかし、黒騎士が隠密の一族か……。

 それでユリーナと再会する前の宿場で、信用出来る密偵のアテについて聞いたら、『分かって言ってんじゃねぇのか?』と言ったのか。

 ピンポイントでそう言ったから、余計にそう思うわな。


 残念ながら、ゲーム設定では黒騎士の一族のそんな裏事情は出てこない。

 代わりに隠密の一族ではなく、『邪神討伐のための』一族と出てくる。


 つまりまあ、主人公チームと最終目的は同じなのであるが、ゲームのバックボーンでそれがどう影響していたのかはまるで明らかにされていない。


 つくづく、このゲーム設定は中途半端である。

 もう少しこう、俺のこの詰んでる感を何とかして欲しいものだ。

 考えを進めれば進めるほど、今度は世界が詰んでますやんってのはもう何と言って良いやら。


 ユリーナが邪神討伐の最有力チームの一員でその世界の危機に大きく関わる以上、俺はこの世界の危機を無視する事は出来ないんだよなぁ。

 愛ゆえに。


 黒騎士とこのミヨちゃんと隠密一族、なんとか雇えないかなぁ……。

 世界の危機関係なく、まず間違いなく貴族のお手付きの付いていない超優良一族、ヨダレが出るほど欲しい。


 国家を越えた有能な人材の情報も持っているかもしれない。


 ちなみにモドレッドたち学園生たちのツテは黒騎士が王都に潜入していた時のツテだ。


 そこでメラクルがジト目になって一言。

「……あんた、悪人笑いを浮かべてるわよ?

『また』何か悪いこと考えてない?」


 またってなんだ、またって。

 今までそんなに悪いこと……覚醒する前はまあ……、というか悪人笑いってなんだ!?

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