5話 Can't remember and Throw yourself into a new world!
『君は何かになりたいと願うかい?』
頭の中に響くどこかおちゃらけていて、それでもその奥深くにはまるで何かに絶望しているかのような冷たい様子が含まれている男の声が脳を揺さぶった。
────×××××××××。
『それが例え君の本質が壊れたとしても?』
どこかで見たことのある風景。
しかしその記憶は酷く靄が掛かっており、意識が夢の中で朦朧とする。
────×××××××××。
『ハハッ!いいね!君最高だ!じゃあ僕が君の世界を変えてあげるよ!」
その直後先程から軽い調子の声を響かせている人物が近寄り自分の額に触れた。
直後、感覚は夢の為無いのだが『苦しむ』という行動を始めた。
勝手に身体がのたうち回り、その苦しみを滑稽なダンスで表現している。
そんな光景を見ても軽い調子で男は笑い憐れみと期待を込めて苦しむ人間へ語りかけた。
『まあ、僕が変えてしまったら君に自我なんて残らないんだけどね!精々期待してるよ!神を殺す異端者君』
× ×
気付けば自らを『罪を喰らう者』と名乗った男は先程と同様空から異世界への侵入を果たしていた。
────今の夢は一体……
この世界に入る前に見た、酷く靄が掛かった夢。
恐らく自分に話しかけていたであろう飄々とした態度の男を思い出そうと記憶の奥底に潜行する度に酷い頭痛が突如として襲い、思い出すに思い出せない。
そして頭痛に苛まれている途中に男にある疑問が湧き出た。
────あの夢の男も大概だが俺自身は何者なんだ……?
女神に『名前などない』と告げた男の頭にもう一つの疑問が生じる。
今まで深く考えなかった。
男にその理由はよく分からなくなっていた。
気付けばあの殺風景な部屋であの思想を持ち、転生者を殺していた。
そしてその心臓を喰らっていた。
男の頭には「何故だ?」という疑問が走る事をやめないが徐々に近付く地面を見て男はその考えを深呼吸と共にリセットした。
男は再度激しい轟音と共に大地を踏み締めた。
大地がその凄まじい轟音に共鳴するかのように小さな地震が転生者の滞在している国を襲った。
────今は目の前の事に集中せねば。
────己の目的は転生者を……神を殺す事だ。
男は己に問いかける。
ブレるな、と。
× ×
男の放つ歪な魔力は王国の中の実力者達に一瞬で感知された。
『国内に異物が侵入した』と。
勿論それに今回のターゲットである転生者も気付いてた。
女神にリクと呼ばれていた転生者は剣を握り、外へ足を向けた。
「久々の獲物、楽しみだな」
何処か爽やかな雰囲気を醸し出している少年は『罪を喰らう者』の元へ足を向かわせる。
それが己への試練とも知らずに────。
大学の関係で投稿が遅れています。
レポートがアホでございます