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小さな家電の物語②電動すりおろし機  作者: 小平  (隆)
2/2

③エアーベッドが膨らまない

  「エアーベッドが膨らまない」の巻


 通販で取り寄せたエアーベッドが3日と持たないシロモノだった。さっそく開封してから電動でエアー吸入するとほんの数十秒で膨らんだ。寝心地も悪く無い。


 翌日の早朝、身体が幾らか沈んでいる。どうやらエアーベッドの空気が抜けているようだ。まだこの時は「いくらか」だったが、次の日は3時間で身体が沈むほど極端にエアーが抜ける様になっていた。


 空気の抜けを綿密に調べる。「あった!」亀裂だ。亀裂は余りに小さかったが、顔を近づけるとほほに冷たい空気が当った。


 梱包こんぽうの箱には修理材が入っていた。手回しが良い。まるでエアー抜けを知っていたかのようだ。その後からこの「エアー抜け」に毎夜悩まされる事になる。修理材で修理したが再発、思い余ってメーカーに送り返すと修理されて来た。しかしこんな代物しろものを使う気もない。もしも再びエアー漏れを起こしたらと思うと恐ろしかったのだ。購入代金はてたと思い使うのは諦める事にした。


 一年程して心の傷がえた頃、駄目なら捨てるつもりでエアーを入れた。


 一晩使ってみると、朝までエアー抜けが無い。これは、、大丈夫か?と思う間もなく翌日エアーは抜け、前回の隣りに裂け目発見!ビニール手袋を手頃な大きさにカット、木工用ボンドで張り付ける。大きなエアー抜けは治まったが、まだ幾らか空気が抜けているようだ。


 困難を極めたのは「微細な抜け」が発見出来なかった事だ。自転車のチューブの様にベッドを水に漬ける事も出来ない。いったい何処から抜けるのやら。線香の煙を当ててみてもわずかな空気の流れでは分かる筈もない。


 仕方無いから空気圧が減ったらエアーを足す、そして減ったら足すの繰り返しが唯一の処方だった。マァ他にやる事もない暇人ひまじんにはこの程度の謎解きが丁度良いと思うことにしたが、結局エアー漏れの謎は解らず仕舞い。押入れの永久保存版となった。


 テレビではエアーベッドの新製品のコマーシャルが流れていた。枕元はゴージャスな衝立ついたてが立ち上がり、購入者の安眠を約束していた。

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