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悲恋物語

作者: ヨミ



 始まりは友情だった


 それから恋に変わった


 友達であり親友である彼と恋人になった


 幸せだった


 ずっとこんな日々が続くと思っていた


 私達はどこで間違った?


 それほどの罪を私達はおかしただろうか


 私達は愛し合っていた


 それが罪だった?


 幸せになることが罪だと言うなら世界は罪人で溢れている


 どうして


 これは神が与える試練なのか


 それとも神が与える罰なのか


 私へ与えられた罰


 彼へ与えられた罰


 それとも私達に与えられた罰?


 例えそれでも後悔はしない


 私達への罰だと言うなら私が全て償うから


 どうか彼を助けてください


 私は何も出来ない自分を罵倒し、ただ神に願い涙を流すことしか出来ない


 ただただ毎日泣きながら心から神に願う


 どうか、どうか、お願いします


 彼を助けてください


 彼をただ愛しているのです


 私から彼を取り上げないでください


 私にはもう彼しか残ってないのです


 彼が居ない人生を生きるのは耐えられないのです


 どうか、彼を私から奪わないでください


 彼以外なら全部差し上げますから


 どうか


 どうか


 お願いします


 彼を────

























────⋯⋯⋯殺さないでください















_______________





 どちらが先に好きになったのか


 多分俺が先だった


 高校1年入学式の日


 一目惚れした


 だけどクラスが違うから接点がなかった


 毎日のようにラブレターが届く


 毎日のように告白される


 毎日色んな女の子から熱い視線を向けられる


 だけどそのどれもに彼女は当てはまらなかった


 入学から半年に彼女の落し物を拾った


 それが初めて彼女の目に映った瞬間だった


 初めは友達から始めた


 毎日のように彼女に好きだと伝えたかった


 けど我慢した


 高2の秋彼女が別の男に告白された


 彼女は驚きながらも告白されて嬉しそうだった


 嫉妬した


 手遅れかもしれない


 それでも、まだ間に合うかも


 縋り付くように告白した


 彼女は真っ赤になって


 「私も好き」


 そう言ってくれた


 だから嬉しくて抱きしめそのままキスした


 学校の教室、夕日をバックに初めてしたキスは甘かった


 幸せな感情が身体中に歓喜として駆け巡った


 毎日幸せだった


 それが永遠に続くと思ってた


 そんな幻想が打ち砕かれたのが25歳の時


 その年の彼女の誕生日にプロポーズするはずだった


 彼女の誕生日の2ヶ月前


 医者に余命5年と言われた


 手術しても助かる可能性が低いと言われた


 彼女になにも言わず別れようと思った


 けどきっと後で知った彼女は自分を責める


 俺のいない所で彼女を苦しめたくない


 1人で泣かせるなんて出来ない


 誕生日からさらに2ヶ月たった時


 ようやく覚悟を決めた俺は彼女に打ち明けた


 話を聞いた彼女は泣き崩れた


 俺は彼女を抱きしめ何度も謝って一緒に泣いた


 ごめんね


 愛してる


 苦しくって涙が止まらない


 どうして


 これは神が俺達に与える罰なのか


 それとも神が与える試練なのか


 試練なら俺は彼女のために生きる努力をする


 罰だと言うなら俺が彼女のぶんまで受けるから


 だから、これ以上彼女を苦しめないでください


 これ以上彼女を悲しませないでください


 彼女と話し合い手術を受けることにした


 生きる可能性があるならそれに縋りたい


 それは彼女も俺も同じ気持ちだろう


 手術までまだ時間がある


 俺達は後悔をしないよう空いている時間全てを共にすごした


 病気のことを忘れての楽しい時間はすごく幸せだった


 手術前日には互いに愛を確かめあった


 手術直前には互いに抱きしめ合い一緒に泣いた


 泣きながら互いに愛してると言い合った


 「もしもの時は俺のことは気にせずちゃんと幸せになって」


 すごくダサい泣き笑いの顔だったと思う


 それでも彼女は泣いて必ず生きてと言った


 「愛してる」


 最後にどちらともなくキスをして俺は手術室へ入った


 麻酔の影響だろうだんだんと瞼が落ちていく


 真っ暗になった視界で彼女の顔が浮かんだ


 愛してる


 死んでもずっと愛してる


 意識が無くなる直前まで心の中で愛してると言い続けた


 意識が無くなる直前自分の頬に涙が伝った気がした

















──────『『あぁ、神様、本当に神が存在すると言うなら、彼女《彼》と共に最後の時まで一緒に生きる事を許してください⋯⋯』』

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