beyond the final 0
ゲームはした事がありますか?今はいろいろなゲームがあり、スマホを持っていれば、どこでも手軽にすることが出来ますよね。
そのゲームは本当にゲームなのか。それとも、リアルなのか。自分はどこの世界にいるのか。
このゲームは、まだまだ続きます。楽しんでいただければ、幸いです。
窓には、カーテンが半分、かかっている。そのせいか、部屋の中が薄暗い。
机の上には、ノートやペンが散乱し、その上にカバンが置かれていた。側のベッドには、布団がめくれ上がり、服が脱ぎ捨てられていた。
クローゼットの中に、斜めにかけられた制服のブレザー。そして、ハンガーにズボン。今にもずれそうだ。その横の上着を取ろうとして、やっぱり落ちてしまった。
「あちゃー」
そう言って、ズボンを拾う。今度はちゃんと掛け直した。
彼は、加仁須ミノル。どこにでもいる高校2年生である。
カーテンをひくと、明るい光が差し込んできた。窓を開ける。暖かい風が、静かに部屋に入ってくる。気持ちの良い晴れの日だ。晴れの日だが…
「くっっしゅん!」
ミノルは窓を閉めた。
「やっぱ、駄目だな。…っしゅん!」
また、くしゃみ。
この時期は仕方がない。クラスの大半が、何かしらのアレルギーを持っている。薬も飲んでいるのだが、アレルギーが強くなってきたのか。最近は効かない事が多い。
ミノルの場合、一季節のものだ。そう長くは続かない。あと、少しの辛抱だ。
上着を着て、マスクに手を伸ばす。と、バイブとお知らせ音。辺りを見回し、ベッドの枕元にあったスマホを取り上げた。
コマさんからだ。
"ごめん、行けなくなった"のメッセージ。その後は、ただひたすら頭を下げるスタンプ。
「フー」
ミノルは溜め息をつき、ベッドに腰かける。
よくあることだ。どうせ、なんかサボったのがバレた。とか、なんとかだろう。
ミノルは
"りょうかい"とだけ送った。
予定していたものがなくなり、ぽっかりと穴が空いたようだ。別にその穴を埋めなくてもいいのだが、「何かしなくっちゃ」みたいな気分になる。
「さて、」
ミノルは立ち上がり、机を片付け始めた。イスに座って、問題集を広げる。読んでいるのか、文字を見ているのか。
手に持っているペンを、くるくると回しながら、ページをめくっていった。
と、また、スマホが鳴る。ベッドに置きっぱなしだ。
再び立ち上がり、画面を見る。…
"バレた‼︎‼︎‼︎"
"今から塾行ってくる"と号泣のスタンプ。
「フフッ」
ミノルから思わず笑みがこぼれた。
そのまま、ドサッとベッドに寝転がる。用もないのに、スマホを眺めていた。
高2になってから、急に「将来どうするんだ?」みたいな話を、大人たちがするようになる。
こうしたいとか、家を継がなきゃいけないっていうのもあるけど…。ミノルはまだ、何も考えてなかった。
焦っているのか。どうにでもなれ、と思っているのか…。
ゲーマーになりたいとか、冒険家になりたいとか。いろいろ思うものの「無理だな」と否定している自分がいる。
「とにかく、勉強するしかないか」
ミノルは呟きながらも、指でスマホをなぞっていた。
「うん?」
たまたま目に留まったゲームアプリ。いつもなら、評価を見たり、やっている奴がいたら必ず聞くのだが…。
この時はすぐにダウンロードした。