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民間伝承 / 現在情勢新聞記事 / 魔法爵育成学院受験要項パンフレット

6章終了時点での石油にまつわるお話と同時期の国内情勢、そして高校課程の魔法教育機関である魔法爵育成学院の募集要項です。


主人公以外の視点での情勢推移について軽く触れていきます。


   ◇


【 霊験あらたかな石の油? 我が国の敬虔な伝道師に舞い降りた御業 】


 ――あれは、どれだけ昔のことでしょう? ランデベール大公家がグローアーバンを治めていた頃、女神教に非常に敬虔な信徒が溢れておりました。


 そんな最中、大層偉い伝道師がこのグローアーバンの地から生まれ、やがて彼は森の民中を旅して、病に苦しむ者には貴賤問わずに治癒魔法を使い、暴れ川には橋を架け、街道を作り、誰かのためにと働き、大層人々に尊敬されていたそうです。

 ある時、錬金術師らからの指名依頼にてグローアーバンの勇敢なる冒険者たちと未知の森に立ち入ったことでした。


 勇敢なる冒険者たちは大層強く、恐ろしいドラゴンらをちぎっては投げ、弱き獣たちには慈愛の心を持って接する伝道師と共に素晴らしい方々でした。

 しかし未知の森の中で彼らは迷ってしまいます。幸い水や食料には余裕があったのですが、松明を使い切ってしまい、灯りが無くなってしまいます。これでは、夜に凍えてしまいます。


 困り果てた冒険者と伝道師は、女神様に祈りを捧げ「どうか、慈悲の心があれば、我等をお助け下さい」と祈ります。

 すると、その時でした。日の当たらない森の奥が何やら明るいことを伝道師が見つけます。そちらの方角へ歩みを進めると、何と崖から流れ出したねばついた黒色の液体が燃えていたのです。


 それが『石の油』だと気が付いた伝道師はすぐさまこの『石の油』を集めるように命じました。そして、彼らは『石の油』を木の棒に塗り込み松明代わりとして、見事未知の森の奥地から帰還するのでした。


 これは言うまでもなく、信仰の力が成し遂げた女神様の御業であり――(後略)



( グローアーバン州に伝わる伝承 口伝につき出典不明 )



   ◇


【 錬金術師への宣戦布告? 未知の森の文献を漁る魔法使い 】


 本年度に入り、魔法使い側から魔錬教育省へ未知の森に関する伝承や過去の文献について繰り返し資料請求がおこなれている事実が関係各所への取材で判明した。

 そもそも魔法使いは瘴気の森を、錬金術師が未知の森を担当する一種の棲み分けは憲政以来一度も破られることなく守られてきたために、錬金術師の担当領域を侵害しかねない魔法使いらの動きは前代未聞である。


 錬金術師らもこうした魔法使いの動向は把握しており、一部の高官は不快感を顕わにしている。一方で、魔法使い側は一枚岩ではなく、我々の取材班が接触した関係者は「(上層部の行動には)意図が分からない」と述べている。



( 日刊森林 6月13日 ※魔法省整備局保安調査部の要請で公開差止め )



   ◇


【 複数反応水槽を用いた溶媒の消費軽減法 聖女の国の研究チームが発表 】


 聖女の国のペンサートン株式会社の研究者らは、『アミノカプロン酸ラクタム』という物質の製造に使用される硫酸溶媒の消費量を1割程度削減する方法を発表した。

 その方法は、転位反応において複数の反応槽を用いるというもの。従来の単反応槽法では、副反応が起き目的の生成物の収量が低下していたが、今回の手法ではそれを防ぐことが可能とのこと。


 この新技術は硫酸の消費を抑えることが出来ることと、更に本反応で副生される『硫酸アンモニウム』の排出量を減らすことが可能とされ、有識者が着目している。


( 国民経済新聞 8月8日 )



   ◇


【 減債、財政黒字目標争点 政府の経済政策の転換 】


 政府は9日、経済産業連盟の有識者を招聘して公聴会を開いた。『森の民金融恐慌』から早3年。政府の講じた我が国の基幹産業である繊維産業への助成と大手銀行への特別融資により経済状況は好転への動きを見せている。一時悪化の一途を辿っていた失業率も『森の民金融恐慌』発生以前の水準まで回復した。


 コンラッド宰相は公聴会の中で、「現在の景気状態を維持し続けねばならない」と語った。その上で、「今後『魔王侵攻手形』のような問題で国家を危機に陥らせてはならない」と強調した。


 政府は、これまで繊維産業への助成を行ってきたが、慢性的な財政出動を財務体質の低下を招くとの意見を受けて、助成金を打ち切り正貨の貯蓄を行う意向を示している。

 与党・多元民衆党の関係者は「これまでが緊急事態の一時措置。経済状況が快調であれば元に戻す必要がある」と語っている。他方、野党第1党の森の民国民同盟は、「ここでの助成金打ち切りは、繊維産業の国際競争力に打撃を与えかねない」と批判の声を挙げている。


( ガルフィンガング新報 10月11日 )



   ◇


【 クロドルフ魔法大臣の予備役編入 大臣職も辞任 】


 魔法使い側の年末の人事異動が発表され、現職の魔法大臣であるクロドルフ氏の予備役編入が決定した。現職の魔法大臣が在任期間中に予備役編入が内定するのは今回が初めて。魔法省人事局補任課によれば「(大臣の)予備役化は高齢のため」と説明。

 それに伴ってクロドルフ氏は魔法大臣職の辞任の意向を示した。後任には、ワルドマ伯爵家当主で貴族院に議席の有するオスカー・ワルドマ氏。貴族でありながら現役の魔法使い(魔法侯爵)でもあり、クロドルフ氏の懐刀として前職は魔法省魔法事務局長で魔法使いらを取り纏めていた。


 なお、クロドルフ氏は予備役として魔法使いに籍は置き続けるものの、次職は街道統監庁長官に推挙されている。

 街道統監庁長官は慣習的に魔法使い・錬金術師の予備役の大物が就くこととなっていて、その後に政界へ進出する者が多く数名の宰相経験者を輩出している。


( 大衆日報新聞 11月23日 )



   ◇


【 魔法爵育成学院 受験要項パンフレット ――最新年度版 】


〇教育課程

 魔法爵育成学院の教育課程は、魔錬教育省の定める高等学校設置基準に準拠しており、学科教育科目を一般高等学校と同様に教育すると同時に、本学院独自の特別教育課程・軍事教育課程を行います。また、本学院を卒業すると、高等学校卒業相当の証書が授与され、魔法爵位を叙爵されます。


〇教育体系

 兵部の一般的な教育の流れは以下の通り。

 1年次:学科教育と特別教育を行います。

  例)言語、宗教、魔錬学Ⅰ、算術、地歴など。特別教育では教練・訓話の他、陣中演習を予定。

 2年次:前期は学科教育と特別教育を中心に行います。後期から軍事教育が追加されます。

  例)1年次科目に続き法制、経済が追加。軍事教育は服務提要、戦史・戦術学など。歩哨・斥候実習や通信実習を予定。

 3年次:軍事教育を中心に行います。

  例)軍事魔法学、国際法学、戦闘教義、鉄道学、衛生学、築城学など。射撃、魔法実習、野戦築城などの実習課程を予定。


〇魔法青少年学院生の単位認定制度

 魔法青少年学院を卒業し魔法爵育成学院へ入学した生徒は、一部の科目についてはその受講が免除されます。

 ・[学科教育]魔法学、礼法、芸術

 ・[特別教育]乗馬、護身


〇学院ごとの設置種別

 ・ガルフィンガング魔法爵育成学院

   兵部(全科共通資格)、通信部、衛生部、獣医部、経理部、憲兵部、法務部、軍楽部、技術部

   ※すべての設置種別の中から1つ選択可能です。

   ※兵部の各科の内訳:歩兵科、航空兵科、飛竜兵科、砲兵科、騎兵科、工兵科、兵站科(当学院の兵部では全ての科に対応した魔法爵位が卒業時に叙爵されます)

[分校]

 ・オーヴルシュテック魔法爵育成学院

 兵部(騎兵科)、獣医部

 ・ミルヴァーリス魔法爵育成学院

 兵部(兵站科)、通信部

 ・ゲーノーメフルス魔法爵育成学院

 兵部(工兵科)、経理部、法務部、憲兵部

 ・グローアーバン魔法爵育成学院

 兵部(工兵科・兵站科)、衛生部

 ・ヴァンジェール魔法爵育成学院

 兵部(砲兵科)、軍楽部、技術部


〇募集人員

 当校の募集人員は以下の通りです。

  兵部:150名程度

 通信部: 20名程度

 衛生部: 15名程度

 獣医部: 5名程度

 経理部: 30名程度

 憲兵部: 30名程度

 法務部: 20名程度

 軍楽部: 10名程度

 技術部: 20名程度

 (分校は各100名程度募集予定)


〇処遇

 ・[費用]受験費、入学金、授業料や設備費などの諸経費はかかりません。

 ・[衣食住]生徒は全員寄宿舎で生活。寄宿舎は無償。食事、被服(制服含む)等は支給または貸与。寝具・家具などは貸与も可。

 ・卒業後は、魔法爵位叙爵後、各部隊へと配属。上位魔法教育機関への進学は配属先部隊と要相談。


〇受験案内

 採用種別は以下の通り。

 [魔法青少年学院生選抜制度]

  ・応募資格:魔法青少年学院の修了者(見込含む)

  ・受付期間:9月1日~9月30日

  ・合格発表:12月4日

  ・提出書類:

  [1]本校指定の卒業論文(詳細は別途資料)

  [2]魔法青少年学院3年次の健康診断問診票

  [3]志願票、受験票、返信用封筒


 [一般入学試験]

  ・募集資格:森の民の国籍を有する中学校卒業者(見込含む)

  ・受付期間:9月20日~9月30日

  ・試験日:(第1次)11月9日、11月10日

       (第2次)12月10日~12月20日のいずれか1日

       (最終)2月3日

  ・合格発表:(書類選考)10月20日

        (第1次)11月25日

        (第2次)1月15日

        (最終)2月15日

  ・試験科目:

  (第1次)言語、宗教、算術、魔錬学、社会科、小論文

  (第2次)口述諮問(集団討議・個別面接含む)、楽器演奏、身体検査(魔力検査含む)

  (最終)口述諮問(個別面接)、口述身辺調査

  ・提出書類:

  [1]出身中学校の学校長の推薦状

  [2]魔法教育統括部所定の様式により出身中学校の学校長が記載した調査書等

  [3]内務省所定の様式の戸籍証明書類

  [4]3ヶ月以内に受診した魔法病院での健康診断問診票

  [5]志願票、受験票、返信用封筒

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