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5月6日新聞記事(号外・夕刊)

3章終了時の新聞記事です。

例によって新聞記事回は、主人公から見えにくい部分の補填であり、少し短めになっています。


   ◇


【 [号外]ドラッセル金融、緊急休業――本日、午後より取り付け騒ぎ 】


 ドラッセル商会の銀行部門である『ドラッセル金融』が本日午後より発生した取り付け騒ぎに対応できず、午後2時頃には全支店が休業し業務の整理を行うことを発表した。翌日以後、営業を再開する見込みは今のところ情報は入っておらず、同行の預金が引き出せるのか否かも不明。

 ドラッセル商会本社は我が国最北のオーヴルシュテック州の州都・ドローディタースに存在する。同州は20年前の魔王侵攻で多くの被害を受けていたことから、ドラッセル金融の財務状況は公開されていないものの、魔王侵攻手形に関連する国債を多く所有していたと見られており、一部有識者の間では経営状態が安定していないのでは、と不安視されていた。そうした中での今回の出来事であり、利用者の不安が噴出した形なのではと指摘されている。


( 大衆日報新聞 5月6日 )



   ◇


【 ドラッセル商会「休業は一時的な障害で短期間で鎮静する」公式発表 】


 本日午後2時頃に全支店が休業したドラッセル金融の元締め組織たるドラッセル商会は、本日午後5時、報道各所に向けて緊急声明を出し「休業は一時的な措置であり、事態は収束に向かっている」と発表した。

 今回の休業は大勢の利用者が銀行に殺到したことで預金準備高の減少により経営危機が起こるのを防止するために実施したとのこと。そのため、預金引き出しの動きが沈静化すると見込まれたら直ちに営業を再開すると公式では発表している。


( 国民経済新聞 5月6日 )



   ◇


【 新興・ドラッセル金融が財界に引き起こした波紋 注目さる今後の動向 】


 人造繊維のレーヨンの開発で躍進を果たしたドラッセル人造繊維や錬金術師らによって技術指導が行われ多くの大型機械錬金術製品を産み出して、我が国の錬金術の発展に寄与するドラッセル製鋼などを擁する新興商会たるドラッセル商会。その中でも銀行業務を執り行う『ドラッセル金融』において、本日午後2時頃より全支店の休業が行われた。

 商会は既に午後5時に公式の発表において「一時的な障害」としており、直に鎮静化する旨を説明しているが、今回何故このような大規模な取り付け騒ぎになったのかについては公式発表中には記載がなかった。


 この取り付け騒ぎの動きの背景には、魔王侵攻の被害が大きかったオーヴルシュテック州に同商会本社が存在することが挙げられているが、これに付随して関係者は、本日の貴族院本会議において審議なされていた「魔王侵攻損失補償国債法案」の関連が指摘されている。本法案は「魔王侵攻手形処理法」によって発生した国債のうち1000億ゼニー相当について政府が10年分割で補償を行う、という旨のものであり、この法案の情報が不確実な形で流言として拡散され、ドラッセル金融へと直撃したものではないか、という意見もある。


 ドラッセル金融の再開時期は未定だが、当金融が休業するに至った経緯は財界方面に少なからぬ波及を引き起こすに至っている。今後の動向に注視したい。


( ガルフィンガング新報 5月6日 )



   ◇


【 ドラッセル金融ついに……本日から緊急休業 政府の対応は如何に 】


 20年前の魔王侵攻により発生した魔王侵攻手形処理問題……。今回のドラッセル金融において発生した『恐慌状態』は、その問題の渦中の1つであると考えられる。

 巨額の魔王侵攻手形を有していると考えられる同金融の取り付け状態は緩慢であったと噂されていた。

 こうした状況で更に後押しをしたのは、本日正午に貴族院本会議で審議がなされていた「魔王侵攻損失補償国債法案」。これの草案に関する情報が午前の段階で信憑性の低い形で流出しており、それらが流言飛語として扇動的に広まり爆発的に拡散された結果、ドラッセル金融の経営不安が囁かれるようになり、多くの預金者が預金引き出しに殺到し休業に追い込まれた。


 ドラッセル商会側は今回の取り付け恐慌について、一時的な障害としているものの同金融の営業再開の目途は立っておらず未定。

 午後6時に財務大臣のウェンデリン・コンラッド氏は、記者会見の場を設け「ドラッセル金融並びにドラッセル商会はそのどちらも経営は健全に行われており財務上全く問題はない」こと、そして取り付け騒ぎに対する対策に関して記者から質問を受けると「森の民中央銀行はドラッセル金融に対して救済の準備がある」との説明を行い、森の民中央銀行を通して政府はドラッセル金融への援助を表明した。


 この動きは預金封鎖を抑制し預金者の不安を拭う効果のある一方で、ドラッセル商会と政府の癒着なのでは、という批判も存在する。


( 日刊森林 5月6日 )



   ◇


【 ドラッセル金融休業問題、我が国に与える影響は? 】


 本日午後2時頃に取り付け騒ぎにて休業したドラッセル金融。同商会側の声明では「(休業は)一時的措置で収束に向かっている」と、政府発表も「経営は健全」であり、万が一同商会が危機に瀕しても「救済の準備がある」ことを明言。その中で我が国に与える影響は如何に?


 今日の株式市場、そしてコール市場を含めた金融市場では、このドラッセル金融での騒動による大きな変動は見られなかった。この点を見れば同金融の取り付け騒ぎは流言による流れ弾を受けた形である。

 しかし考慮せねばならぬのが、事の発端は貴族院本会議において提出されている「魔王侵攻損失補償国債法案」の存在である。我が国の経済状態がこの魔王侵攻手形に起因する国債補償問題で不安定化の一途を辿っているのは最早周知の事実である。

 魔王侵攻手形処理法で国債の分割返済の期限は翌年であった。今回本法案で、この返済期限に対してメスを入れたことが金融不安を助長したのは疑いようもない。


 そのため、ドラッセル金融の件は事実無根であり短期間で収束する可能性は存在するものの、根本的な要因が同商会外にあることから事態は長期化すると考えた方が現実的だ。そして、他の金融機関や産業への波及をも懸念せねばならない。

 我が国政府の政治手腕が試されるところである。


( 新報アルカエスト 5月6日 )



   ◇


【 『ドラッセル金融恐慌』により『経済産業連盟』が緊急会議招集 】


 本日14時より発生したドラッセル金融の取り付け騒ぎによる休業。この緊急事態を受け、我が国の大商会の連合組織である『経済産業連盟』が緊急の対策会議のために有力者へ招集要請が行われていることが分かった。

 会議は秘密裏に進められることから、具体的な時間や内容などの詳細は不明だが、関係者によれば「ドラッセル商会への善後策の検討が主となるだろう」とのこと。金融以外にも、製鋼・人造絹糸・食品・石炭採掘など多角的に事業を展開しているだけに財界がその影響の波及を懸念したことから異例のペースで各商会の有力者へ招集が下ったと考えられる。


( 大衆日報新聞 5月6日 )



   ◇


【 『ドラッセル金融休業』――繊維業への影響は 】


 本日午後2時頃に発生したドラッセル金融の休業。現段階ではドラッセル商会の他の事業には影響は出ておらず、終日通常営業を無事終えた。しかし、ドラッセル金融の苦境がこうして報道で浮き彫りになったことで、翌日の営業に影響が出る可能性は否めない。

 そうした場合懸念とされるのが、同商会傘下の「ドラッセル人造絹糸」。人造繊維のレーヨンの生産で著名だ。仮にドラッセル金融での休業騒動が商会業務全体にまで波及した場合、近年急速に拡大している人造繊維生産に少なからぬ打撃を受けることとなるだろう。その場合、人造繊維ではない一般の繊維業への打撃は未知数だ。


 しかし、繊維産業は我が国の基幹産業とも呼ぶべき中核をなす技術だ。現段階では金融市場も株式市場も大きな動きを見せていないが、明日の動きによって今後の情勢が大まかに分かるだろう。


( 国民経済新聞 5月6日 )

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