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挿話 ノヴレフルス水族館感想文ほか現在情勢新聞記事

水族館編がひと段落つきましたので、一旦挿話を挟みたいと思います。

閑話と同じく現在情勢の説明が中心となります。


   ◇


【 ノヴレフルス水族館に行っての感想 】


 私は、週末にノヴレフルス水族館へ行きました。ここは王都で初めて出来た水族館であり、王都で生まれ育った私にとって水族館に行くのは初めての経験だったので楽しみにしていました。

 水槽で飼育されている生き物は、国別あるいは環境ごとに割り振られていて、外国の河川や湖の様子を窺い知ることができました。特に商業都市国家群の展示エリアにはイルカという生き物が展示されており、水で暮らす哺乳動物ということで親近感を覚えました。

 また、設備には様々な最先端の技術が使われていました。例えば観賞用のガラスですが、賢者の国の先端技術だそうです。『魔法使いの卵』として例えば偵察機や爆撃機、戦闘車両には防弾性能などの防護力が求められます。ガラス1つではありますが、賢者の国の有する技術を我々森の民の魔法使いでも再現することが出来れば、より魔物に対して優位に戦いを進めることができるのではないでしょうか。


 ヴェレナ・フリサスフィス



【 共生する水族館 】


 「選ばれた者は、その役割を全霊を持って応える必要がある」、修道者手記に出てくる一節です。これは周囲を慮り尊重し手を差し伸べることの尊さを説いております。「共生」と言い換えることもできます。しかし自分と他人は違い時には衝突することもあります。共に生きるとは実に難しいことです。同じ人同士であってもそうなのに、ましてや他の生き物との間では語るまでもないことでしょう。

 けれど水族館ではまさに多種多様の生物が共生しておりました。例えばトラウトは肉食性で縄張り意識の強い魚であり他の魚はおろか同種とも混泳させるのは難しいようです。一見すると共生は難しいように思います。しかし、岩場や倒木などで隠れ家を作り水草で環境を整えることで複数匹のトラウトを共生させることに成功していました。学芸員の方の話では、実際の河川のように他種を将来的には入れられればと話していました。

 実社会は水槽のように環境を変えることは簡単ではないですが、それでも共生する方法を模索し続けねばならない、と私はトラウトを見てそう思うようになりました。


 ローザ・エルミンヒルト



   ◇


【 新環境教育時代の到来における調査学習の拡充の提案 】


 (前略)

 ――以上のように、ガルフィンガング魔法爵育成学院の女子生徒2名に代表して事前調査に赴いてもらった。

 フリサスフィス候補生は、その生態系と地域特性に着目しつつも視野を周辺設備に広げて水族館に使われている技術と魔法使いの関係性を見出している。

 またエルミンヒルト候補生は、トラウトに注目し環境教育の本義と女神教の教えとを結びつける卓越した視点を身に付けていることが分かる。


 王都近傍の急速な都市開発により自然が失われていく最中で、こうして生き物に触れ合う教育学習の機会の必要性は言うまでもないだろうが、両候補生はその前提を踏まえたうえで、更に独自の見識を広げていることが分かるであろう。


 検討と精査は必要であるが、水族館を利用した課外学習の機会は必ずや、健全な魔法使いの育成、ひいては森の民国民精神の成熟に極めて良好な影響を与えると結論付ける。


( [魔法使い機関紙]イプシシマス探報6月号 5月25日 )



   ◇


【 グローアーバン路面軌道株式会社とリベオール保険との業務提携のお知らせ ―王都南部の集合宅地造成で合意― 】


 グローアーバン路面軌道株式会社(本社:グローアーバン州)とリベオール総合商会のリベオール保険(本社:ガルフィンガング特別行政区)が王都南部の新集合宅地の造成・販売を目的とした業務提携を行うことで合意した。

 グローアーバン路面軌道側は、ノヴレフルス水族館の運営や王都・グローアーバン間の旅行パッケージ販売業務で近年王都進出を進めていたが、今回の住宅地造成についても王都での事業拡大の一環であろう。本拠であるグローアーバン州やその近郊では不動産事業本部により住宅販売の実績はある。

 反面、リベオール総合商会側は王都に強固な地盤を有しているものの、同商会の金融・鉱山・工業の三本柱が示す通り不動産部門には進出していなかった。近年製紙産業への参入等、新規事業への注力が見られる同商会はこの不動産への進出もその一環とみられている。

 不動産に対して素人のリベオールと、王都では新参のグローアーバン路面軌道の双方の目的が合致した共闘関係と言えよう。


( 国民経済新聞 7月18日 )



   ◇


【 新式魔石照明が我が国でも初の実用化 ノヴレフルス水族館らが利用 】


 2年前に、賢者の国の錬金術師によって開発された新型の魔石照明がついに我が国でも商業利用されることとなった。導入されたのは、王都初の水族館であるノヴレフルス水族館。大出力の新光源は水槽の中を明るく照らし見る人を魅了する。

 従来の魔石照明は、魔石に内包する魔力を直接光源へと変換する方式を取っていたが、これは常時魔力を変換する必要から効率は良くなかった。

 一方で高圧条件下の水銀蒸気中に魔力中に含まれる魔素を照射すると光が放射される特性を利用したのが新式の照明であり、魔素を照明管内に放射する機構部分にのみ魔法を用いることから魔石の消費効率は改善されている。

 しかし高圧水銀を使用する関係から従来の照明よりも大幅なコスト増となっている。


 今回その新式照明がノヴレフルス水族館で導入された背景には「太陽光の届かない屋内においても水草等を育成し、持続可能な環境整備に高出力の照明が必要となったから」と水族館の運営母体であるグローアーバン路面軌道株式会社は説明しており、同時に「水槽を照らす以外にも、高出力照明はスポーツチームの夜間練習や試合、あるいは夜の漁業等にも転用できる」と他事業への活用の意欲をみせている。


( 国民経済新聞 6月13日 )



   ◇


【 王都住宅アパート一部民営化の事業者公募「慎重を期する」 コンラッド宰相が答弁 】


 コンラッド宰相は貴族院本会において、王都住宅(財団法人王都住宅営団)アパートの保有する一部の不採算集合住宅について民営化に関して「委託先事業者の選定には慎重を期する必要がある」と語った。

 民営化を巡っては、昨年宰相自身が明らかにした『減債・財政黒字目標』への一環であり、王都住宅の保有する赤字物件を切り離し財政を健全化し助成金を削減する意図がある。

 公募に出されている物件は災害復興事業(魔王侵攻含む)で造成されている低所得層向けの住宅と災害仮設住宅を除く13件(うち王都の住宅は4件)。公募に現在立候補している民間事業者は、リベオール総合商会・リッシュベーク総合不動産・ヴァースドルフ商会など。


( 東雲毎日民報 7月2日 )



   ◇


【 官吏体験交換留学生、初の私立校受け入れになるか? ――外務省・文化事業局 】


 外務省文化事業局によれば秋に予定されている1ヶ月の官吏職業体験を含む交換留学生の受け入れ校を私立校で調整していることが明らかになった。

 この交換留学制度は我が国と聖女の国の魔法使い並びに錬金術師の国際交流と職能訓練を目的として長年魔法系列学院と錬金系列学校で受け入れていたが、聖女の国側から「女子生徒の送り出しに難がある」ことから受け入れ先の変更を求められていた。また本年は、ガルフィンガング魔法爵育成学院にはエルフワイン王子が在籍することから近衛兵務府関係筋からも「警備の都合上、私立校受け入れのが望ましい」という声が上がっていた。

 しかし外務省は「受け入れ先の機関はまだ決まっておらず、情勢は流動的に変化する可能性がある」とも答えている。


( 大衆日報新聞 7月28日 )

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