6-2キラー
俺が生まれた場所は魔族の村だった。魔人の俺は最初こそいじめられてきたが頑張って鍛錬したおかげで今なら逆にいじめ返す事ができる。どうせここの魔族は基本的に手足を斬っても一週間経てば治るからな。俺もなにかあったら容赦なく斬っていた。いじめられるのは嫌だから周りの奴を斬って斬って斬り倒した。鑑定スキルで自分の強さを知ってからはもっと調子に乗って切った。人間以外なら斬っても大丈夫だと思っていた。エルフも斬ったら治らない事があるのか。これからはもう少し考えてから斬ろう。
父さんは国のお偉いさんのために装備を作る名匠らしいから時々貴族や王子等が家に遊びに来る。どいつもこいつもいい子ぶったり根性がない奴らばっかだったから親がいないところで脅して追い返した。自業自得だがおかげで友達がだれもいない。そんなある日、王子が家に遊びに来て言った。
「キラー君、威光学園に行ってみる気はある?」
「ない。」
王子は俺がどんなに脅しても全然引いてくれない奴だ。なんとなく腹黒で俺の事を小馬鹿にしている気がする、大変気に食わない。どうせその仰々しい名前の学園は貴族やお前が行くんだろ?知ってんだぞ。誰が行きたいかそんな場所。
「あれ?もう行きたいところがあるの?」
「ない。家にいる。」
「それは両親がさせてくれないんじゃないかな…」
王子は俺の返事に苦笑いしながら答えた。
「そうだとしてもお前と同じ学校なんて行かない。」
「僕と同じ学校だってよくわかったね。」
「名前でわかるわそんなもの!」
「凄いねキラー、頭がよくなってるよ。」
「斬るぞテメー。」
さすがに国の貴族や王子は斬れないけど。
威光学園に入学するか聞かれたと言ったら父さんは顔を青ざめさせて無理だと言ってた。やっぱり貴族や特別な奴が入るところらしい。俺は同年代の子供の中でも異様に強いから特別な奴に含むらしい。学園なんてどうでもいいけど王子の申し込みは父さんも断れないらしく俺はその威光学園に行くことになった。それから少し経って俺はメディカにはじめて出会った。
メディカはたぶん俺より強い。鑑定できなかったのもそうだけど俺に斬られても逃げなかったという事は俺に斬られても脅威として見なさなかったということかもしれない。実際なんともなかったような感じだったし逆にモルモットにされたし。あいつには勝てそうにないがせめて何かで勝ちたい。そうだ!学園で会ったら勉強を教えてやろう。今から猛勉強してやる。そう思って勉強したら王子が家に遊びに来た。
「キラーが勉強してるという事件を聞いて来たよ。熱でもでたの?」
「いつか本当に斬ってやる。」
そう言ったら「ははは、ごめんごめん!」とか言われて持ってた温度計を差し出された。こいつめ…
「で、なんで勉強してんの?自主的にやってたと聞いたから今年一番おどろいたよ。」
「なんでってそりゃ…もうすぐ学校行くから?」
「今年一番のギャグを聞いた気がするよ、まさかその言い訳で騙されると思ったの?そこらのスライムが聞いても噓だとわかるよ?」
途端に真顔で言われた。ちくしょうこいつめ…
「うそじゃねーよ!勉強して友達に教えるんだ!」
「え?キラーに貴族の友達いたの?」
「いないよ…でも一緒に入学する友達が一人いる。」
「えぇ!」
そう言って王子は目を細めて俺の事を見た後驚いたような顔をした、珍しいな…こいつがおどろくなんて。俺を鑑定したのか?俺も自分を鑑定してみる。
名称:キラー
種族:魔人
年齢:6歳
状態異常:なし
HP:6000/6000
MP:200/200
攻撃力:3500
魔力:100
防御力:2750
素早さ:3020
魔法:なし
スキル:瞬間移動、絶対切断、鑑定、魔眼
称号:わんぱく坊主、戦闘狂、メディカのモルモット
メディカのモルモット…魔眼ってやっぱりモルモットにされた副産物だよな。
「えっと…もしかしてそのメディカって人が友達?」
「…そうだけど?」
「モルモットにされた憶えはある?」
俺は反射的に膝を抱えて部屋の角で震え出した、思い出させないでくれ。王子はそんな俺を見て少し驚いていたけどまたいつもの憎たらしい笑顔にもどって聞いてきた。
「女の子?」
「あぁ…でもめちゃくちゃ強い、たぶん勝てない。」
「キラー君が弱気になるなんてめずらしいね。」
「放っておけ。そのかわりに勉強で勝つ。」
「無理じゃない?」
「いや、あいつ親いないし森に住んでいたからたぶん学無しだ。」
「孤児?本当に学校に来れるの?」
「あいつならできる。」
「はぁ…」
「だからもう邪魔するな、勉強する。」
「じゃあ図書館行けば?本あまり持ってないんでしょ?」
お、たまにはいい事教えてくれるじゃん。
「そうだな…わかった。今から図書館行く。」
「うん、いってらっしゃい。がんばってね。」