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5-2キラー

俺の父さんはダンゾーって名前のドワーフで母さんは人間の女性だ、ドワーフは魔族の一種で魔族と人間の子供は魔人らしい。だから俺はどっち似でもない、魔人だからな。それはいいんだがたまに俺は二人の子じゃないのかもしれないと思ってしまう。父さんは名前どうり毎日工房で籠りっきりで母さんは人間の方の故郷によく里帰りして俺の事を構ってくれない。大暴れして注意を引こうとしたけどあまり効果はなさそうだ。


そんなある日、酒に酔った父さんが昔困った経験を話してくれた。黒雲の食い滓が確かにその辺りに落ちたのにとか匂いもあったのにとか言って危険だけ冒してなにも得られなかった事を愚痴ってた。そんだけ確信しているならまだその近くに食い滓とやらがあるかもしれない。うまく取ってきたら父さんに認めてもらえるかも、もっと俺の事を大事にするかもしれない。俺は淡い期待を抱いて父さんの話していた場所に瞬間移動した。


瞬間移動で着いた場所は話とだいぶ違って一面畑と少し先に小屋が立っていた。転移先間違えたのか?時間が経ちすぎて既にここは誰かの所有地になってしまったのか?混乱してたら目の前の女の子がゆっくり振り返って来て「誰?」と聞いてきた。


その様子だと全然驚いていないな…スキルか?鑑定してみよう…あれ?鑑定できない?


「何だお前!なんで鑑定できない!」


大声で怒鳴った。町の女の子ならこれで大抵は怖がるがこいつは無表情で受け答えしてきた。俺みたいな奴に返す返事はないだと?昔町で俺を迫害してきた大人達と同じ事言いやがって。驚きと怒りで狂った俺はあいつの右腕を切った。血が飛び散って服が真っ赤になったそいつはやはり無表情のまま突っ立ってこう言った。


「何をする。」


は?腕を切ったら魔族の大人だって泣いて逃げるんだぞ?気付いたら袖の切れたそいつの右手が完全に治っている。魔族だってそんな簡単に治らない傷なのに今の一瞬で治ったのか?


「どういうことだ!なんで腕が一瞬で生えてきた?…なんだ?突然殺気立って?や、やるのか?ってちょ!何をする!やめろー!」


なんとか言葉を続けたらそいつは突然笑顔になった、だが発しているオーラは母さんがブチ切れた時のそれだ。そのまま小屋まで引きずられて金具で硬いベッド?に固定された。固定される前に瞬間移動で逃げていればよかったと思い出した今でもそう思っている。その先はもう思い出したくない。


瞬間移動で家に帰ってきた。今日会った奴の事を父さんと話す。


「父さん…今日俺ある子にいじめられたよ…」

「はぁ?昔ならともかく今のお前がこの町でいじめられたなんてありえないぞ?」

「ちょっと遠出してさ…同じ年の子供の腕を切ってやったらモルモットにされた…」

「おい!人の腕を切り落とすなと何度も同じ事を言わせるな!治らない奴もいるんだぞ!」

「どうせ治らない種族は人間だけだろ?あいつの耳妙に長かったし大丈夫だろ。」

「ばか!それはエルフという種族だ!その治らない奴の枠に入ってるわい!」


この時ばかりは少し反省した


「え…まじで?わかった反省する…でもな!あいつの傷はすぐに治ったんだ!」

「それはたぶんスキルだろ。」

「だよな…」

「まぁ平気だったんだろ?大人も止めなかったしそっちにも責任がある。」

「周りには誰もいなかった…」

「なんだ、エルフの村に入ったんじゃないのか?」

「村?いや、畑と小さな家が一軒建ってただけだけど?」

「それは珍しいな…たぶんその子はエルフの孤児だ。」

「孤児?なにそれ?」

「親がいない子の事だよ。両親に捨てられたか、死んでしまったかは知らんが可哀想な子だな…村の子供なら周りのエルフに育ててもらう事もできるが話を聞くからにたぶん村から追放されたエルフの子供だろ。親がいないんだから多少は大目に見てあげなさい。」


俺はずっと両親が構ってくれないとか周りに嫌われてるなんて思ってたけど、あいつなんて育ててくれる親も頼る人もいなかったんだ…


「その子を守る気はあるかい?」

「え?」

「悪い事は言わないが、その子を守り切れる自信がなかったらもう会うのはやめなさい。お前と同じ年の孤児が森の中で一人きりとなるといつ野生に殺されてもおかしくない。」

「でも…」

「辛い思い出にしかならんかもしれん。ただ、守れると思うのなら別に会いに行っても構わん。」

「…ちょっと会って来る。」

「あぁ…がんばれよ。」


そして俺はそいつの元へ行って友達宣言と同じ学校に通う約束をした。翌日こっそり家から抜け出して遊びに行くとそこには誰もいなかった。少し狼狽えたけど家の机に手紙が置いてあったのを見つけたから封を開けてみた。魔方陣のような絵が描かれてた。どうやらこれは自身の記憶を他人に見せる魔法陣らしい。


内容はメディカが俺に会ってから苛々して旅に出る決心をして外出した内容だった。一言でいいから言ってくれよ...いや、こうして精霊が気を利かせて手紙を残してくれたからいいか。にしても手紙がなかったらすごく焦っていたところだった。


そっか、メディカはメディカで頑張ってるのか、俺もがんばって学校に行く前に真面目に勉強するか。



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