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アルトの家に訪ねてみた。しかし当のアルトは私が来たと知って恥ずかしがって部屋の奥に隠れてしまった。代わりにカグラがドアを開けてくれた。
「こんばんは。少しアルトに相談があって来たの。」
「こんばんは、メディカ。とりあえず中に入って。」
「お邪魔します。」
家のちゃぶ台に案内された。意外と質素な家だな。あとアルトの視線が気になる。
「アルトに相談ってなに?」
「今度帝国と王国の間に交換留学生を送ろうという事になったんです。王国からの留学生に私とクロノアだけでは皆不安がってしまうのでアルトがいると心強いなーって。」
カグラの心の声が聞こえてわかったんだがアルトはまだカグラに自分が親衛隊隊長だという事を知らせていない。お陰で説明がとても厄介だ。
「クロノアもメディカも充分強いのになんで不安がるんだ?」
「私は学校では弱いステータスを見せているんです。クロノアもまだ学校の生徒と殆ど面識がないし…その分アルトは学校でも四強に入る強さなんですよ。」
「四強に!?」
え?聞いてないの?まじ?…と思ったらアルトも驚いている…知らなかったんかい!
「驚く程の事ではありません。国の将軍だってステータスは平均1000辺りが妥当でアルトは7歳でステータスのどれをとっても2000越え、竜化したら更に何倍も増える。同級生の竜人だってそこまでは追いつけません。」
「そこまで…あれ?もしかしてヒトコトヌシ様って国の将軍レベル…?」
カグラは神族と縁が深い立場だから感覚が狂ってしまったらしい。仕方ないといえば仕方が…いや、やっぱ気付けよ。
「アルトは同年代の子と比べて強いんですか?」
「強いというか頂点グループですね。」
バカだバカだと思っていた子供のカバンから百点のテスト用紙を大量に見つけてしまったような親の表情すんなよ。アルトも何驚いているんだよ。お前達兄弟揃って鈍感過ぎるだろ。一緒に時止め喰らったように固まんな。
「頂点…グループ…?」
「威光学園という王国で最も優れた学校のSクラスという最強クラスの中でも頂点の四人に選ばれていますよ。」
「普通の種族のステータスの平均ってどれくらいだ?」
カグラから震え声で聞かれた。
「7歳だと平均は100を超えない。竜人の場合平均990。アルトは充分強いよ。」
「でも…10歳以降の竜人のステータスを見たらどれもアルトを超えるぞ?」
「竜人は9歳半からカンナカムイ様に会う前準備として本格的に強くなっていく。忘れてたの?」
「…!」
掌にグーを乗せて思い出した!みたいな動作を取るな。見ているこっちが悲しくなる。
「という事でアルトにも今回の交換留学生になって欲しいんだけど。」
「あぁ、ここまで聞いといてなんだけど…アルトが帝国に行って虐められる事はないよな?」
「思想にはすぐにはついていけない部分もあると思いますけど大丈夫です。何かあったら私が主催側に連絡して対処します。」
「それなら今日の内にアルトに聞いておくよ。返事はテレパシーでしておくから。」
「はい。アルトにもよろしくね。じゃ!」
「あぁ。」




