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売れる売れる…本当に売れる…クレーマーは外で親衛隊が冬休み関係なくやって来て防いでくれているけど…辺り一面獣人になりきれていない奴らでいっぱいだ。うん。悪戯心で出してしまった犠牲者多数。
「クロノアの計算を遥かに超えて売れます。デメリットも入れて人数制限をしているのに…何故こんなに人が来るのか理解できません。」
「そうだね…本当に病気で困っている人や薬を買いに来た冒険者はともかく…ケモナーや私の親衛隊や騒ぎを見に来た人達から純粋な美人好きもいるからね…クロノアの計算も外れるだろうね…あ、キラとゼラじゃん。」
「メディカ、薬局始めたんだ、凄く繁盛してるね。」
「…メディカ…普通の薬作れるのか?お前…」
「普通の薬を売る気はないよ。商品の説明ちゃんと見てみてよ。」
薬棚を見たゼラとキラの顔がみるみるうちにジト目になっていく。
「まともな薬売れよ…」
「メディカ…王国の国民を何に変えるつもりだい?」
「危険もないし別にいいじゃん。あ、そういえば言ってなかったけど妹が出来たの。クロノア、自己紹介して。」
「初めまして。メディカの妹、クロノアです。」
「「似てない。」」
「何?うちのクロノアに文句あんの?」
「ないけど…えっと…僕はゼラです。よろしくね、クロノア。」
「キラーだ。よろしくな、クロノア。」
「…」
「どうしたの?クロノア。」
「何でもないです…メディカ、向こうで少し休んでいていいですか?」
「?…いいよ。」
キラに何か反応していたな…つまりキラは…まぁいいか。
「俺あいつになんかしたっけな…」
「気にしなくていいよ。クロノアはまだ子供っぽい所があるからね。」
「?本当になにもないのか?」
「うん。」
「はぁ…」
「皆、二人に少し話があるから私の代わりに店番任せられる?」
「「「「はーい。」」」」
二人を連れて店の裏側に入った。
「理事長から聞いた?王国と帝国の交換留学。」
「え?」
「あはは…知ってたんだ…」
「ゼラ!お前何で言わなかったんだよ!」
「反対したんだけどね…」
「ローテも参加するみたいだね。」
「マジかよ!」
「えっと…この前戦争吹っ掛けてきた主犯が来るの?」
「うん。友好関係を取り戻すついでに面白そうだからって。」
「えっと…どこから突っ込んでいいかわからないけど…誰が言ったの?」
「モンド。」
「メディカ…モンドと知り合いだったのか?」
「友達。」
「あんな他人で人を脅す奴と?」
「うん。あ、でももう月の目を使って人は脅さないって言ってたよ。」
「じゃあなんでローテが交換留学生で来るんだよ?」
「友好を取り戻す為?」
「脅されたんじゃないのか?」
「この前の戦争は脅しだけどね。今回は提案。」
「あいつ…」
「ちなみに私は交換留学生になってもならなくてもいいよ。どっちも面白そうだし。」
「もう勘弁してくれよ…襲って来た帝国の人間が今度は留学生として来るとか…」
「頑張って。ゼラ。」
「他人事だと思って…でも送っていく人選なんて絶対に見つからないよ…死にに行くようなものだし…」
「じゃあ私とクロノアで行こうかな。」
「親衛隊が黙っていないよ。」
「それもそうだね…あ、アルトに頼んでついて来てもらえば大丈夫かな。」
「全然大丈夫じゃない。」
「メディカ...本気で言ってんのか?」
「大丈夫、アルトに何かあったらモンドに頼んで犯人をモルモットにする許可を貰うから。」
「友好関係を築きに行くんだよね?」
「友情は喧嘩からっていうでしょ?私達が知り合った時の事を思い出してよ?」
「…」
キラがテーブルに突っ伏して震えだした。
「本当に何しに行くの?」
「ちょっと…ね?」
手に持つランセットを光らせたらゼラも頭を抱えた。
「まぁこっちはともかくローテは本当にいい子だから。心配しなくてもいいし…本当に困ったら私に連絡してくれればモンドに言って帝国の留学生を半殺しにしてもらうから。」
「未来が一面真っ暗なんだけど…一寸先は闇なんだけど…」
「何言ってんだよ、七色に輝いてんじゃん。という事で来学期二か月間帝国に行ってるから。アルトにも後で頼んでおくよ。」
「あぁ、うん...メディカに何言っても無駄だろうし...わかったよ。」




