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五日間戦った。モンドの訳の分からない攻撃を分析したり時間を何度も巻き戻して身体強化を維持し続けた。致命傷も何万回か喰らったしヒエン達も七回くらい気絶した。魔法合戦、異次元に逃げて狙撃、精神攻撃、スキル合戦…考えうる事を全てこなし…時間を巻き戻して戦っているからこの五日間が7年間戦い続けたように感じでいた。結果は共倒れ。疲れた...


「メディカ…本当に強いんだね…」

「モンドも…訳の分からない所で意地っ張りなんだね…」

「それはお互い様だろ?」

「まぁね。」


二人で大の字になって元は海だった謎の空間に倒れている。ヒエン達にまた無茶をさせてしまった。クロノアも途中からスリープモードになったし…本当に何をしているんだろう私。


「で、私に何着せたかったのか参考までに見ていい?」

「もう動けないからまた明日かな…」

「モンドと遊ぶのにヒエン達を巻き込みたくなかったんだけどね…」

「お前の精霊も想像以上に頑張っていたな...そういえば少し前イリナって奴に果たし状送られてきてさ。」

「うん。」

「果たし状通りそいつの部屋に入ったら謎の空間が広がっていて驚いたな。どうやら部屋と神界っていう所と繋いでいたらしい。不思議と懐かしい感じがしたよ。」

「ふーん。」

「そして開始一言『お前と違って正々堂々真正面から殴ってやる。』って言われてさ…三日間殴り合っていたんだよ。」

「で、どっちが勝ったの?」

「悔しいけど負けたよ。『これでちょうど7恒河沙勝7恒河沙敗だな。まったく、次勝ち逃げしたら絶対に許さんからな!』と言われてさ。『記憶喪失の奴に勝ってもその計算の中に入れるの?』なんて聞いたら凄い睨まれたんだよ。いやー記憶無くす前にこんな愉快な奴と友達だったなんてな。何をつまんなく感じていたんだろうな、俺。」

「悔しかったら誰の迷惑も掛けずにこっそり奇襲でもしてみたら?喜んで殴りかかって来ると思うよ。」

「そうだね。そうする。でも、暫くはもう戦いたくないな。」

「それは私も同感。」

「明日俺の部屋に遊びに来てよ。」

「いいよ。でも奇襲はなしだからね。」

「俺ももうそんな事考える元気ないかな。」

「…」

「…」

「気絶してよ。優越感に浸れないじゃん。」

「こっちの台詞だよ。そろそろ良い子は寝る時間だよ。」

「…ははは。」

「ははははは….」

「お前達…死海で何をしているんだ?」

「「げ。」」


テラーがいた。渾身の力で研究室まで境界移動しようとしたけどその前に捕まった。あ、スキルで少し元気を取り戻してくれた。これは第二ラウンド開始か?


「もうやめろ馬鹿共!」


ポカンとモンドと一緒に殴られた。


「お前達がドタバタしている間に王国と帝国の戦争も終わった。」

「そういえば戦争の日と合わせて決闘を申し込まれたんだよね…」

「そんな事もあったな…で、どうだった?」

「どちらもあまり戦わずに終わった。帝国軍の士気もツクヨミがいないからイマイチ高くなかったし、王国軍もどちらかというと正当防衛できればそれでいいという戦い方だったからな。帝国が様子見に王国を少し突いてみた感じに終わったな。」

「なんだ…ローテに暴れろって言ったのにあんまり暴れてくれなかったのか…」

「ローテはそれなりに暴れたがアルトとキラーの連携で取り押さえられたな。」

「ちぇ…まぁいいや、明日あいつの部屋借りよう。メディカもやっぱり明日はローテの家で待ち合わせね。」

「はいはい…」


まずは家に行ってヤガミ達の様子を見ておこう。


「ただいま。って、あ。」

「げ。」


両手を金具で拘束されたローテと目が合った。その金具って私が無くしたやつ…凄く気まずい。


「お帰り。メディカ。こいつお前の知り合いか?」

「まぁそうだけど。キラーもアルトもなんでこんなところに?」

「聞いて下さい!メディカさん!こいつメディカさんがピンチかもって訳の分からない事言ってたんですよ!」

「いや、まぁね。でも用事は終わったか…ら…」


一瞬視界がぐらっとした。何とか持ちこたえた。


「!おい!メディカ!本当に大丈夫か!」

「いや…連日友達と遊び過ぎた…あ、ローテ、明日家に遊びに行くからよろしくね。」

「は?」

「あいつが部屋借りるって言ってた。」

「え?…なんで?」

「あんたがイマイチ暴れ足りなかったから拗ねたんじゃない?」

「ふざけた命令されて拗ねたいのは僕なんだけど…」

「あいつだから仕方ないよ。頑張って。」


ローテを同情の目で見ながら右手でグーを見せた。頑張れローテ。


「嘘だろ…」


ローテが萎れた。


「とにかくローテもただ脅されていただけだから許してあげて。」

「いや…でもな…」

「一応人的被害がないしいいんじゃないか?」

「…仕方ないな。で、誰に脅されてたんだ?」

「…」

「言えよ!」

「モンドだよ。」

「え?…メディカ知ってんのか?」

「ローテは両親が二人共月の目を植え付けられているからね。」

「月の目…本当なのか?」

「あぁ、シエスタ様が今解決策を探してくれているけどそれまでは従わないといけないんだ。」

「わかった。お前がした事はまだ許していないが離してやる。その代わりに今度同じ真似をして逃がして貰えると思うなよ。」

「…済まん。なぁ、メディカ…」

「なに?」

「どうだった?」

「引き分けだった。」

「…大丈夫なんだよな?」

「もちろん。」

「よかった…じゃあな。また明日。」

「うん。また明日。」


霧化して帰ったな。うん。


「で、なんでローテが家にいたの?」

「話せば長くなるんだけどさ…まず王国と帝国の間に戦争があったんだ。」

「うん。テラーからあんた達が連携でローテを倒した所まで聞いた。」

「そうか。その後王国に引き渡そうとしたんだけどヤガミさんにメディカの知り合いだからと止められたから一応拘束してメディカが帰って来るまで事情を聞いていたんだ。」

「何を聞いていたの?」

「メディカが危ないとか…王女様だったとか…」

「本当の情報と信じられない情報があって半信半疑だったんだよ。」

「メディカが転生者とか今危ないだとかな。」


ローテの奴私が転生者だという事も言い触らしやがったのか。


「どうやって知り合ったのかの理由も訳わかんなかったよな。」

「確か盗む前に予告状出すんだっけ?どこの泥棒がそんな自爆行動を起こすんだよ!」

「それで今迄捕まらなかったのも疑わしいよな!」


うん…これ以上は聞いている側の心が痛くなるからやめようか?


「それよりもメディカさん!兄さんがメディカさんに妹がいるって聞いたけどマジですか?」

「は?アルト…突然なに言い出すんだ?」

「うん…いるよ。でも今は疲れて休んでるからまた今度紹介するね。」

「まじ?噓だろ!」

「本当に妹がいたんですね!感激です!」


話題が完全に逸れたな。ナイスだカグラ。


「そういえばメディカ、薬局を開きたかったんだよな?準備は出来たのか?」

「まだだけど三日後に開店する予定。」

「そうなんだ。邪魔したな。おい、アルト…帰るぞ。」

「?…わかった。」


キラの奴無理に話を切り上げたな。私が倒れそうなのを察したか…それともヤガミが心配そうに見ていたのを気付いたか…両方かもな。


「お帰りメディカ、あまり危険な事ばかりして心配させないでね。」

「まぁ…なんだ…その、ごめん。」

「謝らないでください。今日の家事は俺がやっておきます。ゆっくり休んでいてください。起きたら軽くご飯でも作りますよ。」

「うん…」

「明日友達の家に遊びに行くんですよね?」

「まぁね。」

「やれる程度に店の準備をアカリとしておきますね。」

「…ありがと。」

「どういたしまして。」


心配させ過ぎたかな。少し反省。


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