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スキル魔王覇気と気配遮断を習得した。ドラゴンが気絶していくのを感じて我ながら何処へ向かおうとしているんだろうと不思議に思う。モンドと戦う約束がなければここまで強さを求める必要なかったよな…


「メディカ!精霊達の訓練が終わったぞ!」

「え?」


振り返るとカンナカムイがいた。掌に気絶したヒエン達を乗せて満足そうに笑っている。うわぁ…


「ヒエン達の面倒を見てくれてありがとうございます。後、イリナさんは用事があるみたいで先に帰りました。」

「うん?そうか?まぁイリナの事はいいとして…中々に根性がある精霊達だったぞ。」

「まぁ…私のわがままにもついてきてくれていますからね。」

「彼らの話によるとお前もかなり肝が据わっているそうだな。」

「耐性があるので。」

「謙遜しなくてもよろしい。お前がやる気ならちゃんと鍛えてやるぞ!」

「気持ちだけ受け取っておきます。この先色々とやりたい事があるので。」

「そうか?忙しくなくなったらいつでも修行に来い!鍛えてやる!」

「ありがとうございます。」

「カンナカムイ様、そろそろ龍族会議の時間です。」

「お!もうこんな時間か!メディカ!最後に一回カグラと勝負しろ!」

「え?今ですか?」

「そうだ!」

「わかったよ。」


カグラと私はお互い修行場の真ん中に立って勝負を始めた。


「3…2…1…はじめ!」


時間がいきなり止まった。スキルに時空操作がなければ今ので負けてたのか…


「お前も時間系の能力を持っていたのか。」

「…一応ね。」


身体強化と魔法で身体を強化した。ブレスレットにしていた武器をナイフの形状に変えて斬りかかって来たカグラの攻撃を受け流す。ヒエン達が気絶しているから精霊共鳴が使えない。凄く困る。心の声が聞こえない上に瞬間移動で攻撃してくる。かなり厄介。でもたぶんヒエン達が気絶しているからハンデで多重分身と龍化使ってないんだよな…それともこの後使うのか?


「カグラ!戦闘は中止だ!賊が侵入して来た!」


音を操る能力でカンナカムイの声を真似てカグラの気を逸らす。神族は眷属のスキルの影響を受けない。スキルで周りの時間が止まっても普通に観戦できるから不自然でもないだろう。魔法でカグラの右腕を消し飛ばす。


「くっ!」


二秒で治った…流石龍人。折角だから色を変える能力でカンナカムイの姿に代わっておく。印象操作でカンナカムイ本人だと思わせる事ができるがまだしないでおく。


「どういうつもりだ?」

「こっちの方が攻撃しにくいでしょ?」

「くそ!」


斬りかかった。だけど私が色操作で作ったカンナカムイの立つ場所にまだ私がいるとは限らない。痛がっているカンナカムイを見せた後見えない所から挑発してもいいが色々と後で怖い目に遭いそうだ。やめとこ。


「仕方ないか…」


一旦距離を取って龍化した。滅茶苦茶でかい。護衛というよりラスボスじゃね?これ。げ、火を噴いて来た。未来予測で見てみたけど逃げる場所ないなこれ。眷属は神族にたいして攻撃が当たらないからって思い切った事するね。ラファエルの守りで防ごう。勿論こっちの居場所も見えない様にしないとね…おっと!


「…手ごたえがない…これも気付くか。」


突然人の形に戻って瞬間移動で後ろから斬りかかって来た。成程…炎で見えなくなった視界と居場所がばれていないという思考を利用して攻撃してきたのか。今のは未来予測がなかったら躱せなかったかもな。


「どうやって居場所が分かったんですか?」


向こうの気配察知は私の気配遮断で効果がないはずだ。


「勘だ。戦闘中場合によっては勘を頼って戦わなければいけない。」


こっちの事は見えないはずなのに目をしっかり合わせている。長年見えない敵からヒトコトちゃんを守って来ただけはあるな。…その勘をスキルとして使えるのが魔眼か…どちらにしろ厄介だな。あれ?今度は増えてないか?多重分身か…スキル殆ど使ってんじゃん。冗談じゃない。こっちもスキル無効の魔法陣を使う。百人いたカグラが五人しか残らなくなった。いや…カグラを五人も相手しなければならないのか…まじかよ…


「なんだ?その魔法。」

「教えてあげない。」

「まぁいい。お前の大体の場所はわかっている…お前が躱しきれなければこっちの勝ちだ。」

「…そうなるよね。」


殴りかかってきた。武器を鞭に変化させて応戦してみるも向こうは見えないはずなのに攻撃が全て躱される。仕方ない…サマエルの怒りを使って一旦全員突き放すか。


「!」


サマエルの怒りを発動させると五人のカグラが一気に引いた。いや待て…未来予測で六人目のカグラを目撃した。この五人は全てフェイクか…反応する前に本体カグラに首を掴まれた。痛い。


「勝負ありだな。」

「はぁ…」


本当は首が握り潰されても生きていられそうなんだけど勝負ありという事にしておこう。


「悪くない勝負だったがメディカ…手を抜いてないか?」


カンナカムイに不満そうな顔でジト目で見られた。


「精神攻撃の方向ではまぁ…だいぶ…」

「だいぶと来たか。これでもカグラの奴結構理性を無くしかけるくらいには怒っていたぞ?」

「今後の関係に亀裂ができるのも困るのでそれ以上はやめました。」

「参考までにそれ以上とやらがどんな事を指すか教えてくれるか?」

「え?斬りかかった時にカンナカムイが泣きわめいたり傷ついたり抱きついたりすれば少なからず一瞬の隙を突けるし印象操作でより本物が分かりづらくしたりカンナカムイを私に見せて襲わせた後にスキルを解除して動揺させたり。まぁ…色々ですね。」

「聞いたか?カグラ。」

「…はい。」

「その年で考えられる戦法じゃないな。」

「そうですか?これくらいなら5歳児でも考えられそうだけど…」

「例え5歳児に考えられたとしてもお前くらいだろう。」

「うーん…あ、会議はいいんですか?」

「よくはないが…悔しくないのか?」

「もしかして悔しそうな顔が見たかったんですか?」

「そういう訳ではないが…お前にはもっと精霊達の重要性を戦闘でわかって欲しかったんだ。」

「ヒエン達は大切な仲間です。」

「仲間とは思っているが…頼らずとも戦えると思うのがエルフの種族としてあまりよろしくないんだ。」

「偶に頼らずに戦わなければいけない時もありますよ?」

「確かにそういう時もあるだろう。だが傷付けたくないと思って危険な場所に連れて行かない時もあるだろう?」

「場所や相手を考えて、どうしても連れて行くべきではないと判断した事があります。ヒエン達にはすでに何度も私の我儘で命の危険に晒してきました。だからと言ってこれから先私が立ち向かう危険な事に巻き込んでいい事にはなりません。」

「仲間は確かに守るべきかもしれない。だがこの子達は自分の弱さのせいで君の足を引っ張っていると勘違いしている。だから修行にも倒れるまで熱心に取り込んでいたんだ。もう少し頼ってあげなさい。」

「でも…この子達はまだ幼い…私の前では無理に強がっているけど人の悪意にはまだ慣れていないんだ。」

「悪意?どのような?」

「まぁ…人の死体を弁当にして精霊を氷漬けにしてコレクションにしている変わった友達とかだけど…ヒエン達に合わせるのは少し早いかなーって…まだ7歳だし。」

「それは確かに変わっているが…まぁそれでも連れてってやれ。」

「ヒエン達が人質にされたりして揶揄われたりするのが目に見える…」

「精霊を行動の枷だと思うな。支えあう存在なんだろ?」

「でも…」

「お前だってまだ7歳なんだろう?精霊達が音を上げたら私の所に連れて来い。しっかり性根を鍛え直してやる。あいつらは逆にお前が辛そうにしている所を見た事ないと心配していたぞ。」

「あ、私は全然平気なので大丈夫です。」

「まぁそう言わずに。」

「えっゔう…うぞ泣きぐらいなら…でぎます…」


顔を真っ赤にして膝を抱え込んで泣き崩れて見せた。


「そんなものはいらん。」

「あ、そうですか?」


なんだ。迫真の演技だったのに。


「まったく…これじゃあこの子達が心配するのも頷けるな…で、さっきの戦い…本当にあれで決着ついた事でいいんだな?」

「お互い全ての切り札を見せる訳にもいかないでしょう。」

「あの状況で逆転できると?」

「まぁ…死にはしなかったんじゃないかな…」

「はぁ…一度負けさせて精霊達の重要性を理解させようとしたが…お前の心を折るのは中々に骨がいりそうだな。」

「物騒な事言わないでください。では、三人とも色々とありがとうございました。もう遅いので帰りますね。」

「あぁ…アルトの事をよろしく頼む。」

「何時でも遊びに来ていいぞ!」

「…」


修行は中々楽しかったな。帰って旅支度の続きをする前に皆頑張ったから今日の晩御飯はもう少し手を加えよう。


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