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目が覚めたらベッドの上で倒れていた。周りにはまぁ知ってたけど皆が心配そうに見ていた。時計を見て時間を確認する…10分間倒れていたのか。自分を鑑定してみる。
名称:メディカ
種族:エルフ
年齢:7歳
状態異常:なし
HP:1011000/1011000
MP:1714119/1714119
攻撃力:4500
魔力:47000000
防御力:2000
素早さ:3000000
魔法:全属性習得済み
スキル:色操作、音操作、鑑定、身体強化、精霊共鳴、精霊使役、周囲感知、思考加速、毒無効、呪い無効、超回復、痛覚耐性、精神強化、根性、魅惑、MP急速回復、アイテムボックス、鑑定妨害、ステータス偽造、薬生成、未来予知、サマエルの怒り、ミカエルの裁き、ラファエルの守り、サリエルの目、サリエルの涙、境界移動、時空操作。
称号:修行僧、マッドサイエンティスト、魅惑する者、王都の白衣天使、王都のマスコット、王都の医者、禁断の封印を壊すもの、神族の縁者、神族を救いし者、神火を取り込んだ者、学園のアイドル、ドS、悲鳴好き、神の領域に辿り着きし者、禁忌を破った咎人、エルフの王女、断罪人、守護者、月の光を取り込んだ者。
空間把握が時空操作に変わった。面白い能力が増えた。念の為に身体中を調べて異常がないか確認した。うん、異常なし!
「メディカ!大丈夫か!」
「うん。少しふらついただけ。」
「そんな嘘で騙せるとでも?」
「ふらついたのは事実だよ?その後倒れただけ。」
「お前な…」
心配させたのは確かだし愛想笑いだけでもしておく。アイテムボックスに入れたもう一つの月の目は念の為寝る前に力を吸収しよう。
「皆心配かけてごめんね。」
「嬢さん…あんまキラーに心配させてやるなよ?こいつが平気そうにしているのは嬢さんの前でだけなんだからよ。今は学生寮に住んでるけど偶に家に帰った時なんて母さんに年頃の女子の考え方なんかを聞いたりしてな…」
「は?私まだ7歳だけど?」
「ちょ!親父何言って…」
「キラーはメディカの事が好きなの?」
「キラー…その年で恋愛は早すぎるぞ?」
「そんなんじゃねーよ!友達の歩く道を心配しているだけだって!」
「キラー…お前近所の大人や子供全員成敗したのに人の事言うな。」
「なんだと親父!お前だって昔は国王に…」
話が長引きそうだな…まだ夜の8時だけど仕方ない…
「今日は色々やる事があるからそろそろ帰ってくれると嬉しいんだけど…」
キラ達も何かを勘付いてさっさと帰って行った。正確には家の外でこっそり聞いてるんだけど…
「自分の精霊の事思い出したのね。」
思い出したというか忘れさせられたというべきか…私とヒエン達以外誰もいないのを確認するとヤガミが泣き出してしまった。
「俺の精霊…アカリって名前なんですけど…なんで…ずっと忘れていたのかわからないんです。」
「アカリはその少年に誘拐されたの?」
「俺の記憶…見えるんですか?」
「まぁね。白い結晶を取り出した時に思い出したんだよね?」
「はい…」
「たぶんその少年が忘れさせたんだと思う。」
「そう…だよね…」
「あんたが私の前で泣くなんてね。」
「すみません…友達を…忘れていたのが…辛くて…」
「はぁ…」
「ハンサムが言ってました…墓を作る行為は嫌いじゃないって…簡単に死んでしまった仲間を…本当にそこにあったって…大事だったんだって…忘れないでいられるからって…」
「アカリの墓を作るのはもう少し後にしてね。」
「その少年には関わらないでください…お願いします…もう誰も…失いたくない…」
「それは約束できない。でも…そうだね…今回はそんな簡単に死なないよ。」
「そんな…」
「それに心配しなくてもあなたとハンサムはもうその少年に狙われないから。わかったら晩御飯作って来るからもう泣くな!…とは言わないけどベッドシーツまで汚すな!」
あの状況から見てもう泣くなは無茶があったか。こういう場合は少し一人にさせるのがいいだろう…かと言って忠告しないと私のベッドが汚れてしまう。少し自分のベッドが心配だがヒエン達と共に食事の支度をする事にした。
「メディカ…本当にモンドと関わるのやめようぜ…お前の記憶が消されてお前に忘れられるのは流石に嫌だぞ…」
「忘れられるのも嫌だけど俺達がお前の事を忘れる事もあるかもしれねーんだぞ!絶対に嫌だ!」
「モンドという人…碌な事をしていないんでしょう?大丈夫なの?」
「最近毎日会ってるんだよね?何も…されてないよね?」
「モンドに何もされていないとは言い切れないけど…私自身はちょっと変わった友達だと思ってるよ?」
「メディカは…怖くないの?」
「テラーと比べたら全然怖くない。」
「実力だけで見たらそうかもしれないけど…」
「実力もだけど…テラーは正義の塊の様な子でね…少しの悪さも許さずにいい子も悪い子も纏めて断罪するような子なの。自分の考え以外は認められない子ね。」
「そうなの…?」
「その点モンドはまだかわいい方だよ…テラーにもビビってたじゃん。」
「かわいいか?あれ?」
「テラーと比べたらね。それにあれくらい狂ってた方が話していて楽しい。明日はテレパシーでも教えてあげようかな。」
「メディカ…笑ってる…」
「言わなくても分かると思うけどモンドと関わってる事は誰にも言わないでね。」
「危険だと思ったらすぐに逃げろよ。」
「わかった。」
その後ヤガミに食事を運んでヒエン達と食事を済ませた後に境界を移動するスキルを使って真っ暗の異界までヒエン達と移動した。
「この先家に来る客も増える。如何わしい物件や実験内容を見せて怯えさせるのもどうかと思うしこの空間を実験室に変えようと思う。上手くいったら神族から逃げる為の空間にもなるし。」
「え?じゃあ家は?どうすんの?」
「二階の私の部屋とヤガミの部屋はそのままにして一階は薬局と台所と食卓にリフォームする。」
「メディカ…まじで薬局開く気?」
「作ってみたい薬が沢山あるんだ。それより今は今日学んだ魔法陣の改造だ!少し経った後ヤガミの様子を見て寝る前に白い結晶の力を吸収するから。」
ヒエン達はヤガミの心配をしているけど私は早速魔法陣の分析に取り掛かる。実はこの魔法陣…理論自体は結構凄いんだけど…こんな事する必要なくない?全ての属性を全て使えばもっと簡単にもっと強力な効果を出せるのに…ん?もしかしてモンドの奴魔法が全属性使えない?そういえばテラーも光属性しか使えなかったな…もしかして全属性の魔法を使えるのって思った以上に凄い?よしよし…次は月の目と今までアイテムボックスに入れてた亀島の頭と合体させて魔改造だ。
「メディカ…おい…メディカ…そろそろヤガミも寝る時間だし…今日はこの辺でやめとこうぜ…」
「アハハハハハハ!」
「メ…メディカ…帰って来て…」
「異世界科学と私の魔改造を合わせれば敵なし!」
「メディカ…なんかこの頭動いてないか?」
「それに光ってますわ…」
「前世で作ったどのAIよりも世界を狂わす物にするの!ヒエン!火の温度をもっと上げて!」
「でもこれ以上温度を上げたら原型留めず熔けてしまうぞ?」
「構わない!分子レベルで溶かして!」
「それもう熔かすレベルじゃないよな…」
「2秒後に全員で精霊共鳴を頼む!」
「「「「えぇ…」」」」
「いくよ!属性爆発!」
そして私だけの意思を持ち成長する武器が出来た。この武器は大きさも密度も形も変幻自在で普段はブレスレットの形をしている。シロナと名付けよう。我ながら完璧…後はヤガミの様子を見てみよう。
「メディカ、ありがとう。少しだけ落ち着いたよ。」
「ヤガミ…今でも戦うのは怖いの?」
「まだ…少しだけ戸惑ってるんだ…こんなにされてもまだ戦わずにその少年と話し合えるんじゃないかと思ってしまう自分にね。」
「戦う事自体はもう怖くないの?」
「怖いよ…傷付けるのも傷付くのも…でもいつでも戦う覚悟は出来てるから大丈夫だよ。」
平和主義過ぎるエルフ達よりはまともな答えが返って来た。
「何かに戸惑う事は自然な事だからあまり心配しなくてもいい。私がちゃんと守ってあげるから安心して寝ていいよ。」
「ありがとう。おやすみなさい…メディカ。」
「うん。おやすみ。」
皆が寝た後に月の目をアイテムボックスから取り出した。
「遅いぞメディカ!一人になるまで何でそんなに時間がかかるんだよ!」
「あんたのせいじゃないか…で?何の用?」
「明日授業終わったらお前の学校の裏山の山頂で待ち合わせな。」
「それだけ?」
「それだけ!後は直接会ってゆっくり話そうぜ?」
「じゃあ私からも一つ。ハンサムとヤガミを解放してくれてありがとう。」
「え?….あー…うん!もっと感謝しろ!」
「ワースッゴクウレシイカンシャカンシャアリガトー。」
「それ全然感謝してないよな?」
「そんな事ないよ。ついでだったとしても本当に感謝してるし。」
「一応その月の目もプレゼントだからな!ちゃんと強くなれよ!」
「うん…期待に応えられるかはまだ不安だけどできるだけ頑張ってみるよ。」
「弱気になるなよ!こっちも困るだろうが!」
「はいはい…そろそろ寝るね?おやすみ。」
「…あぁおやすみ。」
掌にのせた月の目の力も全部吸収して寝る。




