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33-2ハンサム

4年位前に俺はダンゾ―のお使いでエルフの国の精霊石を買いに行った。知り合いのエルフのへイルから少し安めに買えるかもしれないなんてお気楽な事を考えていたらエルフの国が帝国の兵器によって襲われてた。本来は逃げ帰るべきなんだがへイルが心配でついあいつの家まで走って探しに行った。


「あぁ…」


軍服を着た14,15歳辺りの少年が片足で子供エルフの首を踏みながら女のエルフの首を片手で掴みへイルの手足をハンドガンで撃っていた。


「ここが噂の平和主義の国か…ここまで殺して本当に誰も反撃して来なかったよ。」

「お前らはここまでして何が欲しいんだ…なぜ目的を言わない?」

「特に何も欲しくないよ?平和主義の国だと聞いて気になって来ただけだし…そうだね…無理に言うなら観光目的かなー?」

「観光目的でなぜ争いを起こそうとする?」

「争い?よく見てみなよ、どう見たって一方的な虐殺じゃん。痛すぎて理性でも吹き飛んじゃった?子供に撃ったら理性が帰って来るかな?」

「待って…」


次の瞬間銃声と共に子供の悲鳴が聞こえた。どのタイミングで助けに行くかわからない。


「頼む!何でもするから妻と子供を逃がしてくれ!」

「そんな事を言って本当に聞くと思っているの?面白くない反応だな…もっと恨んで襲い掛かって来いよ。」

「頼む…この通りだ…」

「ちっ!」


少年が銃口をへイルに向けた。これ以上はもうタイミングを待っていられない。


「させるかよ!」


銃声が鳴り、へイルの頭がバラバラになった。助けるのが一歩遅かった上に後ろで見てたのがばれてしまった。もうへイルの家族を連れて逃げるしかない。俺は思い切って少年の背中に向かって護身用のナイフで切りかかった。


「おっと!」


避けられたがお陰で少年の足元にいたエルフの子供だけでも取り戻す事ができた。


「あ、君もしかして帝国の人間?奇遇だねーもしかして俺と同じで観光に来たの?」

「一応聞くけどこいつらを逃がす気はあるか?」

「え?ないけど?って言いたいけど一応頼まれたし同じ帝国の人間のよしみでどっちかは一回逃がしてあげるよ。」

「一回逃がした後また追って来るのか?」

「まぁね。でも5秒は待ってあげるよ。」

「ぞ…のご…にがじで…」

「で、どっちを助けたい?ちなみにエルフの女性は高く売れるらしいし交換してあげてもいいよ?」


閃光弾を地面に投げつけて子供をおぶって森の中に逃げた。


「母さんは…?」

「隠れるから話しかけるな!」


次の瞬間横から蹴り飛ばされた。反射的におぶってた子供を抱きかかえて受ける衝撃を減らす。


「お母さんならここだよ。」


少年は子供に肉と血と白い液体と服を混ぜてボール状にした物を渡した後、満面の笑顔を見せて子供の頭を掴んだ。


「捕まえた。」


そこで子供は意識を失ってしまった。


「あらら…もっと反応見て遊びたかったのに…」

「お前…モンドか?」

「ん?何でそう思うの?」

「こんな子供が将軍の軍服着て遊び感覚で一人で国を襲ってるんだ。帝国どころが世界の歴史を漁り回ってもそんな人物おまえぐらいしかいない。」

「へーやっぱわかっちゃうんだね。」

「無駄な足掻きだと思うが頼む…この子供だけは逃がしてくれ。」

「うん、いいよ。」


相手の返事が聞こえた同時に意識を失ってしまった。


「起きてください。」

「う…ん…なんだ…もう天国に着いたのか…」

「違います。」

「地獄に行くような事は断じてしてないぞ!」

「元気ですね。」

「そんな訳あるか!…ってあん時のガキじゃねーか。」

「助けてくれてありがとうございます。」


少年…じゃなくてモンドから渡された母さんだった物を両手で抱えて悲壮感溢れる目をしていた。


「お前…名前は?」

「…ヤガミ。」

「そうか、俺はハンサムだ。聞けヤガミ、生物っていうのは生きていれば大抵の事は何とかなる。」


するとヤガミの顔が少しだけ歪んだ。


「いきなり自己称賛されても何が何だか…」

「ハンサムは俺の名前だよ!名前!」

「え…あ、すみません….えっと…おじさん。」


おじさんってまさか俺の事じゃないよな…かなり聞き逃せないが今はそれどころじゃない。


「ヤガミ…俺はお前の父さんの友達なんだ。これから養ってくれる奴がいないなら俺が引き取ってやるよ。」

「…お願いします。」

「生活費は元から俺一人で手一杯だが…お前を見捨てる訳にもいかないしな。生活面は俺が何とかする。お前は…見た所13…いや14歳か?とにかく立ち直る事に集中しろ。」

「そんなにガキじゃねーよ流石にもう117歳だ。」

「へ?」

「何面白い顔で固まってんだよ…おじさん。」


そういやエルフってそんな種族だったな…へイルの奴何歳だったんだ?そんな事より100歳超えた奴に間違ってもおじさんだなんて呼ばれたくねー!


その後お使いの事について完全に忘れた俺はダンゾ―にボコられた。


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