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32-5キラー

俺達三人は理事長の目の前に集められた。


「メディカはいないのか?」

「あぁ、わざわざメディカが寝ている時に呼んだからな。」

「ままままま待ってください!メディカ親衛隊隊長としてその…色々と駄目ですよ…その…止めますよ!」

「…アルト…なんか勘違いしてないか?」

「そ…そうですよね…早とちりでした…」

「今回集められた事や話した内容はメディカ含めて誰にも言うなよ?」


え?でもメディカは心の声が聞こえるから意味がないんじゃ?俺達三人はお互い顔を合わせた後一応首を縦に振った。


「単刀直入に言う。お前達を私の眷属にしたい。」

「眷属って何ですか?」

「神族の配下だよ。」


ゼラが代わりに答えた。


「神族ってなに?」

「神様。」

「は?」

「えっと理事長って神様何ですか?」

「あぁ。」

「理事長の名前ってイリナですか?」

「…そういえばメディカから聞いたらしいな。」

「帝国の500年前の英雄ですか?」

「あぁ。私の事だ。」

「まじか…」

「友人のアマテラスも神族なんですか?」

「そうだ、あいつは神族の長だ。」

「「「…」」」


何故かゼラも驚いてる。


「理事長…神族に長なんてあるんですか?」

「そうだな。」


神様は一人だけじゃなかったしに長までいるのか…


「あれ?じゃあ昨日言ってた帝国の切り札は理事長と同じ種族ってまさか…」

「あぁ。帝国の切り札は帝国自らが崇めている神だ。」


えぇ…


「理論上どんな眷属でも神族を傷付ける事はできない。」

「え?じゃあ理事長がいなかったらもう王国は帝国に成す術がないという事ですか?」

「それがそうではないんだ。アマテラス、私、そして帝国の切り札…たしかモンドと言ったな…は最古参の神族で例外だ。私達三人の眷属は他の神族に攻撃を与える事が出来る。」

「はぁ…」

「ここで本題だ。まずメディカは今世界の禁忌を破り神族になりかけている。」

「え?」

「メディカは元はエルフの神…神獣の眷属だったが少々事故があってな…僅かであれ神の力を取り込み眷属の枠を破り神族に似た何かになった。並みの種族ではどう足掻いても手も足も出ないだろうな。」

「えっと…それで何で俺達が理事長の眷属になるんですか?」

「一つ目はメディカが暴走した時に止めてほしい。」

「メディカが暴走って…」

「メディカにはサマエルの怒りというスキルがある。サマエルの怒りは使用者の感情を発動のトリガーにしている。抑えきれない時もあるかもしれない。そしてどんな種族でもある程度強くなると無意識にスキルを発動してしまう場合がある。どちらにしろ注意して欲しい。」

「うーん…」

「そして二つ目の理由として今日帝国の神族がメディカと接触した。」

「は?」

「げ」

「いざという時はメディカを守ってやれ。」


俺とアルトは同時に固まってしまった。ゼラは先に話を聴いていたようで俯いてる。


「これからお前達を私の眷属にした後スキルで心の声がメディカに聞こえないようにする。問題ないな?」

「「「はい。」」」


翌日俺達は早速メディカの反応を見てみる驚いたり疑ったりする素振りは見せないけどそれが逆に変化を悟らせない様に振舞っている風にも見える。放課後にはハンサムの所にでも遊びに行こうかな。ん?メディカの奴何処に行こうとしてるんだ?


「お、メディカ!家まで瞬間移動で送るか?」

「瞬間移動って他人まで効果があるのね。」

「一定距離にある物なら重さ関係なく移動させることができるぞ?」

「Sクラスは存在自体がチートな奴が多いな。」


お前が言うかそれ…


「お前にだけは言われたくないぞ…」

「お生憎様今日はまだ用件があるの。先に帰ってて。」


メディカはそう言いながら何処からともなく教科書を取り出して見せた。ただその教科書は上に名前が書かれただけで開かれた痕跡が全くない新品だった。それにその教科を教えている先生は今日は休みだ。


「お前テストではずっと満点だろ?解けない問題なんてあるのか?」

「問題全部解ってたら学生なんかやらないよ。解らない問題を先に解決しないとテストで満点なんて無理に決まってるでしょ?」


メディカが真面目に授業を受けているかどうかは確かに同じクラスではないから分からない。ただその教科書にページを指で挟んでいる訳でもなく付箋がある訳でもないから俺を適当に騙すためにその場で出したと考えていいだろう。いや…騙してはいないか…用件があるとは言ったが手に持った教科書が関係しているなんて一言も言ってない。その教科書は俺に勝手にそう思わせようとするフェイクだ……友達と会話してるんだよな?ゼラといいメディカといい…俺なんでずっと避けられてるんだ?


「…そうだな。悪かったな引き留めて。」

「じゃあね、また明日。」

「あぁ、気をつけて帰れよ。」


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