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放課後誰もいない屋上でオカリナを吹いてたら演奏中にモンドとテラーがやって来て曲が終わるまで隣に座って黙って聴いていた。気が散るからやめろ。


「私達が着いてから演奏始めてよ、焦ったじゃん!」

「同意、初対面の時はともかく今日は来ると知ってるなら待ってほしかった。」

「え?辛気臭い曲は嫌いじゃないの?」

「曲はともかく音色は気に入っている。」

「優しい音色だな。オカリナだけの音色じゃなくメディカのスキルの影響もあっての音色だろう。」

「そういえば最近無自覚でスキルを使う事が多くなったな。」

「知らないのか?ある程度強くなるとスキルは意識的にを抑えてないと無意識で使ってしまう場合が多い。」

「え?マジで?」

「私は昔神界にいた頃身体が無自覚に光ってたからな。気付いた時には既に太陽という物と見なされて神族を含めた様々な種族に崇拝されていたんだ…あの時の逆に今迄気付かなかったのかというスサノオとツクヨミの表情が今でも忘れられない…」


何か思い出した様な顔をした後テラーはモンドに向かって腹パンした。拳の軌道が見えなかった…やっぱ怖い。


「何をするんだ…お前…」

「何をするとはこっちの台詞だツクヨミ!あの表情を見た後は悔しさで十日間は眠れなかったぞ!思い出したらまた眠れなくなるではないか!」

「俺のせいかよ…っていうか憶えがないぞ…」

「スサノオの奴も許せん!ちょっと殴って来る!」

「あぁ、もう帰って来なくていいぞ。」


腹に手を当てて地面に転がってるモンドに回復魔法を使ってみる。


「…助かった、ありがとう。」

「あんたでもテラーには敵わないのね。」

「バケモンだなあれ…上には上がいるってしみじみ思うよ。」

「戦いでも申し込んでみたら?」

「冗談言うな。勝てる訳ないだろあれに。ステータスどうなってんだ?」

「前見た時は全部10兆はあった気がするけど?」

「マジか…」


二人で暫く沈んでいく夕日を眺めた。


「実は…少し前まで偽物に見えた太陽が最近本物に見えてきたんだよ…何言ってるかわかるか?」

「わかるよ…じゃあこれは知ってる?少し前にアマテラスの封印…解いちゃったんだ…」

「「…」」


無言で見つめ合う


「お前だったのかよ...」

「封印された状態で頼まれたけど断ったら怒りで魂ごと消されそうだから聞き入れたんだけど。」

「まぁ、気持ちはわからんでもないが...するとやっぱりあいつは昔帝国が怒らせた神か…よく滅びなかったな、帝国。でもあいつ今は何で攻めてこないんだ?」

「無闇に人を殺さないと一応口約束はしておいたから。」

「あいつ人の話聞くのか!?」

「記憶ないのになんで驚いているの?」

「え?…話聞かない奴に見えたから。結構人を見る目には自信あるから。」

「ふーん…」


そしたらモンドは少し考えた後聞いてきた。


「いつも教えて貰ってばかりだからな、偶にはなんか教えてやるよ。何か知りたいって雰囲気してるぞ?」


え?勘付かれた?いや…雰囲気ってどういう事?


「顔に出てた?」

「いや、相変わらず無表情だけど雰囲気で大体わかるぞ?」

「雰囲気の変化って分かり易い?」

「意識してなければ誰であっても分かり易い。意識してたら上手く隠せる奴もいるが逆にもっと分かり易くなる奴もいる。自分の出す雰囲気のコントロールは訓練したら役に立つぞ?威圧感とかも放てて意外とかっこいいし。」

「へー。」

「で、何を教えてほしい?」

「スキル無効。」

「これまたすごい注文だな。」

「せめてある程度のレジストがしたい。」


キラと戦う事を想定して瞬間移動で周りの岩やら木を頭や心臓に入れられたら根性と超回復があって理論上生き残るが痛いのは痛い。痛覚耐性は精神的に痛みに強くなるだけで痛みが和らぐ訳じゃない。何度も何度も肉汁になる度再生しながら瞬間移動して逃げる相手と戦うなんて無茶苦茶にも程がある。勝てる自信が湧かない。他にもそういうチートスキルを持つ奴が敵として出てくるかもしれない。何かしら対抗手段が欲しい。


「ある程度なら魔法で何とかなるな。俺が作った術式を見せてやるよ。」


そう言ってモンドは手帳に術式を書きだした。なるほどね…この術式後で改造しよう。


「覚えたよ。ありがと!」

「この術式見て平気でいられた奴は初めて見るよ。」

「え?」

「帝国の兵士はこれ見て大抵気が狂ったり死んだりしてたんだ。将軍でも一時間は意識を失ってたからな。術式を覚えようとする奴はもう皆諦めている。」

「…何故言わなかった…」

「揶揄いたかったから。それにお前ぐらい強かったら気絶しないかもって思ってた。」

「気絶したら?」

「襲おうかなって。」

「は?」


モンドが半目で口角を少し上げた…この表情は半分揶揄い半分本気だな。気を付けよう。


「お前無意識の内に魅惑っていうスキル使ってたの知ってる?最初これは誘ってるのかなーって思ってたぞ?」

「え…」


少し動揺したが後半はただ反応見て遊んでるだけだろ。それにしてもそうか…学園の生徒達は私のスキルに影響されたから私に対する評価があんなになってしまったのか…あれ?キラは?…スキル以上に恐怖が勝ったか。


「初めてお前が動揺するところを見たよ。想像以上に可愛いな。そろそろ時間だからもう帰るよ。」

「はぁ…まぁ術式教えてありがとう。後あまり揶揄わないでね。」


やはり未確定要素は早めに何とかした方がいいな。せめて幾つか仮定を考えたり奥の手を隠した方がいい。


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