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厄いハンサムと別れを告げ、アラシとレイナに連れられて歴代女王の部屋まで案内してもらった。


「ここが女王の部屋?」

「あまりエレガントな感じがしないでしょ?」

「私も最初見た時は驚きと同時に残念でした…。」


女王の部屋には大量の機械と魔結晶、作りかけのケータイ電話、パソコン、望遠鏡、印刷機、ゲームやエアコンなどがあった。え?母さんも転生者ですか?そして部屋の本棚にタイトルが英語で書かれたの本を一冊見つけた。


「これどこの国の言葉なんだろう?」

「前女王に聞いたら王女と女王にしか読めない魔法の言葉らしいよ?」

「内容は聞いたの?」

「この国の歴史だって。」

「メディカは読めるの?」

「今読んでみる。」


この国の王室の第一王女(次期女王)はすべて転生者だそうだ。それも争いを好む人格を排除しているからエルフの歴史上戦争と呼べる戦争はなかった。これは神獣自身争いを好まないのと眷属に傷ついて欲しくないからの配慮だそうだ。それにしても生まれてくる者の人格を事前に弄ればいいのになんで転生者なのか書いてないな…気になる。ただ歴史上大きな事件は記されてある。神獣がイリナに殺されかけたのと神界から神獣の降臨。友人スサノオに甘いアマテラスは神界で日々暴れ回るスサノオを放置した結果遂に理由なく日向ぼっこして寝ていた神獣半殺しにした。スサノオは神界から追放され下界し、人類を眷属にした。アマテラスはどう神獣に謝ればいいか分からず下界して逃げて行った。アマテラスが逃げた事により神界が真っ暗になったので神獣は他の神々と共に光を求めて下界したのはいいがケガがまだ治っていないのでスサノオに再び斬りかけられる前にエルフの国の地下に隠れ、神獣契約や神獣の儀のみ女王の前に姿を現す。表向きの歴史では神獣は下界した後スサノオに残されたダメージがでかすぎて回復しきれずに死んだとされている。


「簡単に纏めると二人はとんでもないトラブルメイカーだという事だな。」

「アマテラスとスサノオ?確かに迷惑だよねー。お陰で神獣様も死んだなんて想像したくないよ。」

「日向ぼっこしてたら斬りかけられるなんて神界は怖いね。そういや私も畑の整理してたら斬りかけられた事あったな。どっちもどっちか。」

「え?…メディカちゃん斬りかけられた事あるの?」

「大丈夫。腕一本だけだから。」

「「え?」」

「何驚いてるの?」

「いや…メディカも大変だったんだなーって。」

「どちらかというとその前の方がずっと大変だったよ?聞きたい?」


二人は同時に耳を塞いだ。聞きたくないらしい。


「そういえばメディカの精霊達はどうしたの?」

「ヒエン達?王城の外の方が興味あるみたいだからヤガミと城下町の散策。」

「この後出てくんだよね?見つけるの大変じゃない?」

「テレパシーがあるから大丈夫。」

「メディカちゃんって本当に何でもできるんだね…。」

「そっちこそヤトは?」

「「…」」


沈んだ顔をしている。どうやらヤトは今父さんに自衛のための軍を作る事を勧めているらしい。二人は賛成できないからついて行かなかったそうだ。


「メディカちゃんは軍があった方がいいと思う?もう防壁は作ったし、軍の存在は国民を不安にさせないかな…いざという時は国民達も戦ってくれるし…エルフは弱い種族だけど精霊共鳴すればちゃんと戦えるんだよ?」

「そうよ!わざわざ戦う事を常に考えなくても精霊共鳴をしたエルフの火力は種族間でもかなり高い方なんだよ!防御はメディカの神獣契約と防壁があれば完璧だしこれ以上軍を作る必要なんてないじゃない!」

「神獣契約と防壁だけを頼ってはいけないよ。」

「でも…歴史上神獣契約でできた防壁が破られた事はないよ?」

「これからもないとは限らないよ?それに歴史上神獣以外にも他の神が降りてきてるからその神々が攻めて来る場合もある。それに前の戦いでも見たでしょ?戦ってくれたのは親しい人を無くしたエルフしかいなかったじゃない。戦える軍がいるのは間違いない状況よ?」

「それは…そうかもしれないけど…」

「私達も怖いんだよ…ヤトがあの時怒りで別人の様に凶変したように。軍に入った人達も変わっちゃうんじゃないかなって…」

「戦える人格に変えないと万が一神獣契約でできた防壁と私が作った結界が破られたら確実に皆殺しにされるよ。」

「メディカはヤトが凶変した姿見た?」

「見てない。でも凶変した人は結構見てきた。」

「これ以上同じ人を増やしたくないよ…。」

「ヤトが凶変したのは決して戦ったからじゃない、今まで戦わずに理由付けて逃げてきたのが母さんや平和のためではなく自分のためだと気付いたからだよ。」

「でも…」

「気付かなければよかったと?責任を母さんに押し付けて逃げ続けるのを美徳のままにさせる気?」

「…戦ってるヤトが…辛そう…だったから…」

「初対面の逃げ続けるヤトも辛そうだったよ?」

「「…」」

「今ヤトは弱さの責任を押し付ける事ではなく国を守る責任を背負う為に動いているの。それこそあなた達が手伝わずに逃げてどうするの?」

「でも、私達がしてる事は正しいのかな?」

「それくらい自分で判断しなさい。皆忙しくなりそうだから私は最後に墓参りしてから行くよ。じゃあね。」


押し黙った二人を無視してヒエン達に連絡して墓の前で待ち合わせした。アマテラスの封印も解いてしまったしエルフの国も変わっていくだろう。これから何が起きても対処できるようにしておかなければな。


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