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王城まで着いたけどもうあまり盗む気がなくなってしまった。ヤガミめ!国民一号の癖に!おかげで王城の角で座り込むなどというらしくない行動を取ってしまった。しかもこの黒歴史をよりにもよってヒエン達に見られてしまうとはなんたる失敗!特に悪い事をしてないが憶えておけよ国民一号!お前なんて一生国民一号だ!などと苛々していたら国民一号の足音が聞こえてきた。


「あいつ追いかけてきたぞ?」

「まだ話の途中だったとか?」


そういえば私の護衛に来たんだっけな。


「護衛なんていらない。」

「あぁ…護衛しに来たのか。」

「意外と紳士的だねー!鑑定してなかったけど何歳だったんだろー?」

「120だったよ。」

「「「「え?」」」」

「エルフの事についてよくわかんないけど周りを鑑定してみたら若い方だった。」


その時国民一号がやって来た。


「王女様!大丈夫ですか!」


なんか口調変わってない?


「何かあったように見えるの?あと王女じゃないから。この期に及んで礼でもねだりに来たの?」

「礼をねだりに来たんじゃなくて護衛に来たんだけど…それよりこんなところで突っ立ってどうしたんですか?やっぱり怖かったとか…」


心配そうに返された、やめろ、精神年齢はお前より大人…ではないな。


「そんなに軟弱に育ってはいない。」

「俺は全然戦った事ないけど護衛がんばりますね。」


無視して頭撫でやがったこいつ


「蹴り飛ばすぞ。」

「それほど元気なら俺も安心です。」


この国民一号本当に蹴り飛ばしてやろうか。


「さっきから気になっていたけどあんた口調変わってない?」

「あの時は感情的になっていたから口荒くなってしまいました。これから王女様と話す時は敬意を込めて喋らせて貰います。」

「王女になる気なんてないんだけど...もう盗む気は失せた、エルフについてなにか知ってるか言って。」

「え?はぁ…そうですね…王女様はよく牛乳飲んだり早寝早起きを心がけたりしますか?」


敬意とはいったい...こいつは一度絞めた方がいいのではないか?


「王女じゃないと何度も言わせるな。」

「王女で合ってますよ。知ってますか?女王にならなくても女王の子は王女なんですよ?」

「…その女王の子を子供扱いするのがそんなに楽しいか?」

「実際に子供じゃないですか。怖かったら泣いてもいいんですよ?子供のうちは誰だって泣いていいんですから。」


我がスキルサマエルの怒りが今にでも発動しそうだ。そうか!私今子供だったんだ!なんて悠長に流せるくらいの話ではない。むか着火ファイヤーである。静まれ…静まれ我が怒り…俯いた私が怯えているのと誤解して優しく撫で続ける国民一号と微かに怒りの波動を感じて慌て出すヒエン達。


「ちょっと一歩下がって目を閉じてくれるかな?」

「?…はい。」

「!おい!メディカ?」


怒りを国民一号にぶつけると明らかに子供の逆切れだ。サマエルの怒りを使って国民一号で溜まった怒りをすべて防壁の外の豚と屑どもにぶつける。怒りの起因はお前らにある!八つ裂き決定だ。


「終わったよ、国民一号。」


清々しい笑顔で言った。


「国民一号じゃなくて名前で呼んでやれよ。」

「うぅ…」

「いいですよ、どう呼んでも。」

「ヤガミ…」

「あ、もしかして天邪鬼ですか?」


…サマエルの怒りをぶつける対象もっとないかな…


「話が逸れてしまいましたけどエルフについてですよね?」

「うん。」

「エルフは12歳になると成長速度がかなり遅くなるんです。」

「え?」

「だから王女様は今のうちに牛乳を沢山飲んだり早寝早起きを心がけたりしてください。12歳から2000歳辺りまでは人間の12歳から30歳までの変化を伸ばしただけです。2000歳以降はもう成長しませんので12歳になる前の今が一番大事な時期なんですよ?」


ま…じ?下手したらというか下手しなくても私は12歳の容姿のまま大人になったしまったキラやゼラに子供扱いされる事になるの?いやだ絶対やだ死んでもやだ色々と無理。


「魔人や使徒や竜人は?」

「え?使徒や竜人はわからないけど魔人は確か15歳辺りから成長が少し遅くなると聞いたよ?」


ぎりぎりセーフか?いや、やっぱアウトだ。帰ったらあいつら3人共遺伝子ごと組み替えてやろうかな。


「友達?」

「腐れ縁。」

「そっか、王女様も負けずに成長しないとね。」

「私を呼ぶ時は…メディカでいいよ。」

「わかったよ、メディカ。とりあえず安全な所を探そうか?いつ防壁が破られてもおかしくないよ。」

「もう敵いないから。」

「え?」

「敵はとっくに全滅してるからね?」

「どうやって知ったの?」

「さぁ?確認に行けば?」

「じゃあメディカも一緒に行こうか?」

「一人で行ってよ。」

「守りに来たのに離れる訳ないじゃん。メディカが行かないなら俺も行かないよ。」

「…わかったよ。ついて行ってあげる。」

「ありがとう、メディカ。」


私を思い通りに動かせたのは前世含めてこいつが初めてかもしれない。無性に腹立つ。いつか泣かせてやる。


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