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第一話 最初の失敗

 TS転生って知ってますか?




 私の解釈としては転生の際に転生前と後で性別が違うことだと思います。




 言っても信じてはもらえないでしょうが、私はそのTS転生者です。




 前世の私はいわゆる凡人という分類の人間でした。アニメや漫画といったものも好きだったのでオタク気質もあったことでしょう最近の流行である異世界転生や主人公最強、ハーレムといったものは前世の私の最も好きなジャンルの一つでした。




 そして彼女出来ない歴=年齢の呪いが解呪できないまま25歳の冬、まだ消化しきれてない秋アニメを見ている最中のことでした。




 いつも見慣れたパソコン画面が急にぼやけ、視界の端から暗くなっていきます。鼓動も早くなり息苦しさすら感じられました。




 私はその時感じました。「あぁ、ここで死ぬんだな・・・」と




 死ぬ経験なんてしたことありません、仮死体験や危機一髪など死ぬ危険を感じたことすらありません、強いて言えば昔行った修学旅行のジェットコースターが死ぬほど怖かったことぐらいでしょうか




 その時感じた死の体験は現世を生きる今でさえ忘れることはありません




 そして私は神様という眉唾的存在にあいました。




「お前、転生してみる?」




 私が気が付いて神様が発した第一声はなんともチャラい感じの言葉でした。




 神様といえばもっと尊大な、「お主」とか「人間の子よ」とか圧倒的存在感の人物?だと思っていました。




 別にがっかりした訳ではありませんが、なんというか・・・・こう、言い表せない残念感のようなものがありました。




「転生、ですか」




 真っ白な世界、空も地面も何もかもが白い純白の世界で私は言葉を発しました。




「そう、転生、別人となって人生を生きることだよ」




「別の人生って、急に言われても・・・・」




 その時私は元の世界に戻してください、と言おうとしました。なんせ今季注目していたアニメの主人公とヒロインが結ばれるシーンの直前だったからです。後々考えてみればもっと理由は思いつくのですがその時の私にはアニメの続きにしか考えがありませんでした。




 言おうとしましたがさすが神様です。私の心を読み取ったのでしょうか、私が言う前に元の世界に戻るという選択を覆すような魅力的な提案をしてきました。




「転生してもお前が見ているアニメは見れるぞ?流石に数年は見れないだろうが、お前が見ていた『村人Aと王女様』もしっかりと放送されるし、しかも最近流行の転生ボーナスもつけるぞ?」




 その時、私の脳内で逆転裁判が行われました。




「こちらから頼んで転生してもらうからな、お金持ちにはさせるし幸運体質も付けよう、無病息災と才能の付与、ルックスも大切だろうかアイドル以上の「転生します」・・・・そうか、そうか!」




 その時の私には迷いなんてありませんでした。約束された勝ち組に高スペックの体に顔、別に前世の自分が不細工だったというわけではありませんが人間やはり優れた人物、人生の勝ち組になりたいものです。私は即答しました。




「とりあえず、天才や金持ちとかでいいか?他に欲しい物とかある?」




「では可愛い幼馴染と妹を!」




 その時の私は自分の欲望丸出しでした。あの時は見えませんでしたがきっと神様は苦笑いしていたことでしょう、今思うとものすごく恥ずかしいです。




「幼馴染はいいとして、妹か?弟じゃなくて?」




 神様はそんな疑問を言ってきました。なるほどショタっ子属性があるのかな?と神様は思い疑問を投げかけたと、その時の私はそう勘違いをしました。




「弟ですか?いえ、妹でお願いします!」




 この世界ではショタが好きな男性もいるとは聞くがあいにく自分にそんな趣味はない、妹でお願いします。




「了解了解、じゃあほかに気になることとかある?」




「気になることは・・・・」




 当時の私は転生先が男性となかば決めつけていました。なので気になることのリストには全く入っていませんでした。戻れるならばあの頃の私を殴り倒したいと思います。えぇ真面目に




「ん、じゃあ以上でいいかな?」




「はい、思い残すことはありません」




 成人してから元々疎遠だった家族とも連絡とっていないし、親友や彼女といった存在もいない(まことに残念ではあるが)




「じゃあ、転生するよ、来世でも頑張ってね」




 転生ボーナスの中には記憶の引継ぎなどがあります。転生先は限りなく転生前の世界と同じで違うところといえば私の身の回りの環境や関係が違っていることでしょうか?それ以外はほぼ一緒といってもいいでしょう




 視界が真っ白な世界は一転して光を通さない暗闇へと変わりました。人間には知覚できない速度での異世界転生という実感は、来世の自分が気が付く物心がつき始めた三年後辺りに気が付きます。女性という体へ変わったことに絶叫しながら




 side 神様


 いや~、転生していったね彼(来世では彼女)、世界の均衡を保つためとはいえ人間一匹にここまで世話をしたのは彼(彼女)が初めてかな?まぁ、原因は僕にあるんだけどね




 最近日本の文化をよく観察するとネカマという文化があるようだ。




 なんせ人間たちが作った電子世界では現実の自分とは違う性別にするらしい




 そして自分好みの服装などにして自分と性別の異なるしゃべり方や行動をするとか




 そういったネカマをする人間は全体的に見ればまだまだ少ないけど比較的オタクという分類の人間に多いそうだ。




 とういうことは彼もネカマが好きな人間なのかもしれない、実際電子世界で女性キャラにしていたらしいしね




 ということで転生先は女性の体にしておいたんだ。さすが僕、気が利くね!




 さて、また2000年ほどひと眠りしようかな・・・・・






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