カエル
ポンポコリーナの咳がひどいんですよ。
カエルという生き物がいる。
こう、緑だったり、茶色だったり。
大きかったり、小さかったり。
毒があったり、なかったり。
大概、ゲコゲコと称される泣き声で鳴く、あのアレだ。
私の中でのイメージは、唐揚げと解体実験。
何で唐揚げかって?
子供のころ、池袋にあるミュン〇ンと言う店で外食するのが贅沢だったのだけど、そこで毎回頼んでいたせいだ。
大人になってから行ってみたら、結構高い店でビビったのはここだけのお話。
ちなみに、虫系は嫌だけど、ワニやダチョウ、ウサギやハトなんかは普通に食べてみたい。
……食べた事がないのはウサギとハトです。
鹿とか熊も食べてみたいなー。
後学の為に。
なにはともあれ、次にカエルでイメージする解体実験。
実際に、それを私は体験したことはないんだけど、漫画なんかでチョコチョコみたからそういうイメージが湧くのだろう。
そして、我が家で『カエル』と言う場合、その二つのどちらでもないモノを示す。
それは、眠っているポンポコリーナ、だ。
何でかは知らないけれども、幼児というのは、熟睡するとあの解体されるカエルのようなポーズになる。
多分、どこの子も一緒なんじゃないかと思う。
こう、お腹を突き出してピョンと跳ね上がったような形のあのポーズだ。
以前も触れた事があるのだけど、ポンポコリーナは喘息持ち。
そんな彼女が、運動会の直前から咳を始めた。
運動会の後、熱も出たので病院にも行ったのだけど、熱は下がれど咳が収まらない。
眠っているときも、激しくせき込んで唾を撒き散らす。
――咳き込むカエルは悪いカエル。
私の脳裏に、そんなアホな言葉が浮かぶ。
ちなみに、私にもきっちりとその風邪が伝染した。
私は喘息持ちではないけど、気管が弱い。
咳が始まると、中々治まらないタイプである。
娘を送り迎えする間の往復20分も、行き倒れてもおかしくないような咳をしながら通う有様。
とうとう、義父が言い出した。
「俺が行ってる病院、行ってみたら? ママッシュさん、俺みたいな咳になってきてるし、あそこは効く薬くれるから。」
娘は、寝てる間は咳が出るけれど、昼間はさほどひどくない。
対して私は、5分に一度は血反吐でも吐きそうな咳き込みようだ。
是非もない。
義父に教えられた病院には、翌日行った。
……水曜は休みだったから。
電車を乗り継いでいかないといけないから、その病院は少し遠い。
昔、DOLで仲良くなった姉さんと呑みに来たっけなぁと思いながら、駅を出た。
最近の病院はネット予約が出来るから、実際に並んでいる人数と実際に待っている人数が違うのだと、中々呼ばれない中、一族を育てながら思う。
呼ばれるまで2時間近く掛かったものの、夜になって出された薬を飲むと、のどの痛みが劇的に解消された。
――これは、ポンポコリーナも連れて行かねば!
布団に入ったものの、すぐに抜け出し夫に娘を朝一番でその病院に連れて行くことを相談する。
「え? そんなにすぐ連れて行かなきゃいけないほどひどくないでしょう?」
――いやいや。
あなたは一度寝ると起きないから気付かないだけで、
夜中の咳き込み具合は私と大差ないですよ??
あんまり、返ってきた返事は芳しくなかったものの、子供の診察が可能かどうかを確認したうえでなら……と言う答えを引き出した。
翌朝、確認を取ると問題ないとの事。
心置きなく、娘を連れて行くことにする。
ただしラッシュの時間を避けて、家を出るのは10時少し前。
10時にアトレに着けると、エスカレーターが使えて少し楽チンなのです。
夜。
貰った薬を飲ませて、様子を伺う。
寝室はシーンと静まり返っていて、茶の間の方には咳一つ聞こえてこない。
そーっと扉を開けてベッドをのぞき込むと、ぐっすり眠る大きなカエル。
ここしばらくの間、寝ていても詰まった鼻から変な音がしていたのに、薬が効いたのか普通の寝息しか聞こえないことにほっと一安心。
――良いカエルは、咳をしないカエルだな。
などとアホな事を考えつつ、次にまた咳がひどい時にはあの病院に行こうと心に決めた。
余談になるが、ポンポコリーナを連れて行った後、家で義父にそのことを告げると頷きながらニコニコする。
「ああ。あそこ、小児喘息専門医だから上手かったでしょう?」
夫による、その事を告げると彼は天を仰いでこう言った。
「父ちゃん、そう言うのは最初から言ってくれよなぁ……。」
ママッシュの頑固な咳に効くほどのキツイ薬を娘に出されて、何かあったらどうしようと不安だったんだと、パパックは脱力。
「でもこれで、怪しい咳を始めたら連れていけるお医者さんが決まったね。」
と笑いあった。




