離婚してね
最近、ポンポコリーナ五歳のパパスキー度が右肩上がり。
その日も二人で仲良く、私の隣で内緒話。
「ポンポコリーナが大きくなったら、パパック結婚してね。」
「え~。でも、パパック、ママッシュと結婚してるからできないなぁ~。」
――重婚になっちゃうもんね?
心の中でこっそりツッコミ。
同じ部屋には居るけど、こういう時は聞こえないふりをしてるから声には出さない。
ネット小説を読みながら二人の会話を聞き流していると、ポンポコリーナがとんでもないことを言い出した。
「それじゃぁ~。ママッシュと離婚すればいいよ。」
「ええ~?!」
大げさに驚いて見せる夫。
娘は、素晴らしい名案だろうと言わんばかりのドヤ顔だ。
――名案と言うか、迷案だからね?
ポンポコリーナ。
苦笑しながら聞いていると、夫は私の方を気にしながらポンポコリーナの説得にかかる。
「でも、パパとママが離婚したら、ママいなくなっちゃうよ? それじゃ、ポンポコリーナが淋しいんじゃない?」
ポンポコリーナは、その言葉に一瞬考えこんだものの、すぐに満面に笑顔を浮かべた。
どうも、素晴らしい考えが浮かんだらしい。
「ポンポコリーナがおっきくなったら、パパ、ママと離婚すればいいよ!」
「ええ~?!」
ポンポコリーナの言葉に、夫は大げさに仰け反る。
想定外の返答だったらしい。
私は、一周回って感心しきり。
良く考えるなーって感じだ。
五歳児って、随分と頭がいいんだなーと娘を見ていると思う。
――自分の小説の中に出てくる子供が、ちょっと賢すぎないかとか考えることがあったけど、
むしろポンポコリーナの方が賢いかもしれん。
ちょっと意外。
事実は小説より奇なりって言葉があるけど、コレは現実は創作物より奇なりってヤツか?
ちなみにこの日以降、何かというと娘が私に言ってくる言葉がうざくて仕方がない。
「ねーねー、ままっしゅー。ポンポコリーナが大きくなったら、パパックと離婚してー♪」
取り敢えず、その予定はありませんと言っておこう。