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街灯
娘が産まれてから、まだ1年経たない頃。
いつもは暗くなる時間に外に出る事はなかったのだけれども、その日は何故か夜道を夫とベビーカーに乗せたポッコリーナさんと3人で歩いてた。
多分、どこかで外食した帰り道だったのだろうと思う。
それは、ポッコリーナにとって、初めての夜道。
あんまりお喋りじゃない大人しい赤ちゃんだったポッコリーナは、足をパタパタさせて、中空に手を伸ばす。
「何もないよね?」
私が問うと
「なんだろうね?」
と、夫が返す。
娘の目線に合わせてしゃがみ込んで、同じ方向を見て見ると街灯が明るく光ってる。
ベビーカーが動くと、微かにその街灯が上下に揺れた。
「街灯? かも??」
「えー?」
「捕まえようとしてるのかな?」
「そうかもねぇ。」
フワフワ揺れる街灯は、チビの目にどう映ってるんだろうと、今でもそれが少し気になる。