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第96話 家名

国王様から呼び出し……。


嫌な予感しかしないよね。


けど、呼ばれたからには行かない訳にはいかない。

この国の王様というだけでは無く僕の義理の父になるのだから。


だけど、一体なんの用なんだろう?

僕だけでは無く、家族全員を呼び出すなんて、全く想像がつかないよ。


しかも、執務室や謁見の間では無く、私室への呼び出しだ。

大げさにしたくない話なのかもしれないね。


「……シルフィ、何か聞いてる?」


僕がそう尋ねると、しばらく目をつぶって思案した後、首を横に振ってみせる。


……一体なんだろうね。


クロード事件のような何かしら大きな問題でもあったのかな?


けど、それなら訓練の時にお義兄さんから何らかの一言ありそうだし……。


「考えても分からない物は分からないよね!急いで国王様の所にいこう」


その一言で、わっふるが僕の頭の上に移動し、シルフィとアイシャも立ち上がって僕に付いてくる。


「わふぅ!」


わっふるも早く行こうと何時も通り、僕の頭をペシペシと叩いて急かせてくる。


急かされたからでは無いけれど、僕達は早足で国王様の私室へと急いで移動するのであった。





「すまないな、急に呼び出してしまって」


部屋に到着した瞬間、国王様の謝罪が飛んできた。

どうも、娘婿だからなのか、僕に安易に頭を下げるよね……。


やっぱり、いくら娘婿とはいえ、僕はただの平民な訳だし……。


「国王様、平民の僕にそう気を遣わないで下さい。

 他の人が見たら、きっと良い感情を持たないと思うんです」


僕が遠慮がちにそう話すと、国王様は「ほお」と感心したような声を出し、一瞬真面目な顔をした後、豪快に笑い始めた。


「うははははははっ、私だってちゃんと場はわきまえておるよ。

 公式な場では、このような事は勿論出来んよ。

 あくまでも私室だから、と言う事もあるがな」


……そう言う事じゃないんだけど、まあ国王様がそう言うならいいのかな?

それで、僕等を呼んだ理由……この雰囲気からすると悪い事では無いのかな?


「それで父上、私達を呼んだ理由はなんだ?」


流石シルフィ、すっごい直球だよね!

……親子ならでは、と言った所なのかな?


「ああ、そうだった!すまないな、話が脱線してしまった」


国王様はそう言いながら、椅子に腰を下ろし、僕達にも座るように促した。


「……何か、また大きな事件でも起きたのですか?」


僕がそう言うと、シルフィとアイシャの二人も顔をこわばらせる。


ブラックドラゴン戦は危険だったので、二人にはお留守番をお願いしたのだけど、今の二人はスキルの恩恵がある。

二人とも単独でオーク・ジェネラル位なら倒せる位の実力はあると思うので何かあったとしても、今度は連れて行く事になるだろう。


それが分かっているから、二人も緊張しているのだと思うんだよね。


流石にもうドラゴンクラスの話は無いと思うんだけど……。


「ん?ああ、そうか……だからお前達そんな緊張した顔をしているのだな?

 呼び出した用事だが、全くお前達の予想とは違うぞ。

 この短期間の間にそう何度もドラゴンの襲撃クラスの事件が起こられたら私も堪らないだろう?」


……うん、確かに国王様の言う通りだよね。

ドラゴンなんて災害級の魔物が頻繁に襲ってくるようになったら、この世は終わりだよ。


けど、事件じゃないと言うなら、一体なんの用事なんだろ?

僕等全員を呼ぶ理由が全く思いつかないよね。


まさか、話し相手になれ、なんて事は無いだろうし……。


僕等の表情が「じゃあ何?」と疑問を浮かべているのを見て、国王様は苦笑を浮かべ話を続ける。


「うむ、いよいよ明日がお前達の結婚式となるだろう?

 そこで、以前から話していたように貴族として扱われる事となる。

 明日の朝までにお前達の家名を決めておいて欲しいのだ」


家名か……確かに必要な事だけど、随分と急な話だよね。

もう少し考える時間が欲しかったけれど……。


「ん?シルフィに決めておけと話しておいたのだが……」


僕が困惑した様子を見せたからだろう、国王様は少し心配げにそんな事を話してくる。


……ああ、そう言えばそんな事をちらっと言ってたよね。

すっかり忘れていたよ……。


シルフィをちらっと見ると腕を組んで、忘れてたな?とジト目で見返してきた。

……ずっと忙しかったしね。許してくれないかなあ……。


「分かりました!明日の朝でいいんですね?頑張って考えてきます!!」


元気よくそれだけ答えて、早速自室に戻る事にする。

急いで考えなきゃ、ダメだもんね!





「では、第二回家族会議を行います!」


部屋に戻って、すぐ僕がそう宣言すると、すかさずアイシャから突っ込みが入った。


「第二回って?第一回なんてしてないよね?」


「ああ、私も記憶が無いぞ?」


あれ?二人とも忘れちゃったのかな?


「第一回はわっふるの名前を決めた時だよ!」


シルフィは「おおっ!」とアイシャは「……あれ会議だったんだ」と正反対の反応だ。

あれ?あれは会議じゃなかったのかな?


「何はともあれ第二回です!家名を決めたいと思います!

 シルフィに言われていたのにすっかり忘れてました……。

 そのせいでこんな慌ただしくなってしまって……本当にごめんなさい」


僕が頭を下げると、シルフィがしょうがないなと苦笑をしながら話しかけてくる。


「旦那様、頭を上げてくれ。

 一家の大黒柱がそんな簡単に頭を下げる事はないぞ。

 まだ時間は十分あるのだからな、皆で良い家名を考えよう」


『おれもかんがえるぞー!!』


と、わっふるも声を上げる。


……構わないけど、わっふる……君は家名って何か分かってるのかな??


「姫様、良い名前を考えればいいだけなんですから、頑張りましょう!」


「……うん、そうだね」


と言うわけで、僕等の家名を考える事になった訳だけど……。


「そうだな、私はクラ○トなんて良いと思うのだが……。

 

「いえ!姫様、よく考えてみて下さい!

 ”マイン・クラ○ト”って何か変じゃないですか!」


『わふ!おれはす○ーぱーがいいとおもう!!』


う~ん、”マイン・ス○ーパー”かなんか変じゃない?


「やっぱり、ベネットなんか良くないですか!?

 マイン・ベネット、シルフィード・ベネット、アイシャ・ベネット!

 悪く無いですよね!」


『まいん、す○ーぱーはだめなのか?』


「いや、待てアイシャ!やはり家名は威厳が無いとダメだと私は思うんだ。

 レンブラントなんてどうだ?」



こんな感じで実に三時間が経過した。

……うん、まさに混沌だ。


「……あのさ、フォルトゥーナってどうかな?」


初めて、意見を出して見たけどどうだろう?


「……うん、悪くはないな」


「そうですね、響きも悪くありません」


『わふ?』


うん、みんなの反応は悪くはないみたいだね。

”フォルトゥーナ”……運命を司るという女神様の名前から頂いた名前だ。


僕の運命はスキルを得て大きく変化したと思う。

そして伴侶となる二人の運命も同じく大きな変化した事だろう。


僕等が出会った事も、こうして結ばれる事もまさに運命だ。


……だから、僕はこの名前を家名にしたいと思ったんだ。




その後、更に一時間程、話し合ったが結局最終的に僕が提案した”フォルトゥーナ”を家名とする事になった。


わっふるは最後まで”す○ーぱー”にこだわっていたけどね!


何時もお読み頂きありがとうございました。

今後とも宜しくお願いします。


……と言う訳で”フォルトゥーナ”に決定しました!


投石機さん、素敵な名前をありがとうございます!

また、ネタの名前、一応伏せましたけど大丈夫でしょうか。

問題あれば、修正します。


また、最近本業の方が忙しくなってきてまして活動報告やメッセージの

返事が滞ってます。

順次、時間が出来次第、返答、修正を行いますので、ご容赦下さい。


宜しくお願いします。



【改稿】


2016/12/23 

・全般の誤字を修正。


2016/12/24 

・シルフィが忘れていた件をマインが忘れていた形に修正。

・家名を決める際の描写を追加。

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