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第83話 アドルの戦い(2)

スキルとアビリティを奪った筈なのに……。

何故か、ブラックドラゴンは僕に向かって”ブレス”を放ってきたんだ。



「え?」


なんで、ブレスが……?

全く予想もしていなかった攻撃だけに、僕は何かをするわけでもなく、その直撃を受けてしまった。


そのまま、地面に崩れ落ちる僕。


……だめだ……意識が……。


『まいんーーーー、まいんーーーー!!しんじゃやだーーーー!!!』


……わっふるの声が聞こえる。


ごめんよ、わっふる。

君だけは逃げるんだ……。


『わっふう!!!!まいんには、おれがゆびいっぽんふれさせないぞ!!!』


わっふるが僕を守る為にドラゴンの前に一人で立ち塞がっている。

小さな体を少しでも大きく見せるために、ぐるぐるぅと吠えながらドラゴンに威嚇をしている。


だめだ、いくらわっふるが強くなったと言ってもブレスを僕みたいに喰らったら、きっとやられちゃう。

いくら【再生】があっても……。


そうかっ!僕に【超再生】か【再生】を付ければ……!


わっふるが時間を稼いでくれている今のうちに……だめだ……力が入らないや。

収納袋から小石を出す事が出来ない。


『まいんー、おれから【さいせい】もっていけー!!しぬなー!はやくー!』


……わっふる……。


僕は急いで、わっふるから【再生】をカットして、僕に【ペースト】する。


その瞬間、体中から白い湯気のような煙が出ながらみるみる怪我が治っていく。


僕の再生が終わるまで時間を稼ごうと、わっふるがドラゴンに攻撃を仕掛ける。


『かーさんがいってた!こーげきはさいだいのぼうぎょだって!』


【健脚】【身体強化・小】を使い、一気にドラゴンの懐に飛び込んで【迷彩】を使用する。


【迷彩】の効果でわっふるの姿を見失ったドラゴンがキョロキョロと周りを見回している。


わっふるは……。


いたっ!!!【飛翔】を使ってドラゴンの真上に陣取っていた。


「わっふーーーーーーー!!!!!!」


先程、大ダメージを与えたスキルを重ね掛けした体当たりを再びわっふるは敢行する。

まるで、隕石のように凄まじい勢いでわっふるが降り落ちてくる。


わっふるの攻撃にドラゴンが気が付いた時には既に回避不能な所まで迫っていた。

ドラゴンももう避けれないと覚悟をしたのか、避ける素振りどころか、その大きな腕を迫り来るわっふるに向かって振り上げた。



そして、二つの巨大な力がぶつかり合う激しい衝撃音が辺りに響き渡る。


「わっふるぅぅぅぅぅぅ!!!!!」


やっと再生が終わり、立ち上がりながら僕はわっふるの名を叫ぶ。


……わっふるとブラックドラゴンの激突は……ブラックドラゴンに軍配が……上がった。


わっふると激突しただろう、その右腕は血まみれになっており、指も何本かへし折れているようだ。


そして、わっふるは……血だらけになって、ドラゴンから少し離れた地面のうえでぴくりとも動かない。


僕は大慌てで収納袋から【超再生】の小石を取り出して、わっふるへ貼り付ける。

すると先程の僕同様、白い煙がわっふるから濛々と立ち上がり、その傷を再生していく。


「……よくもわっふるを……僕も怒ったぞ」


【豪腕・聖】【身体強化・大LV3】【腕力強化・極LV2】【ストレンクスライズLV2】を一気に使用する。


そして【リアライズ】を使い、最強の短剣”トゥワリング”を創り出す。


”トゥワリング”の輝きを見て、ブラックドラゴンもただごとでは無いと、警戒する素振りを見せる。


「……悪いけど”かなり”痛い目にあって貰うよ、覚悟してね」


その言葉に反応したのか、再び大きく息を吸い込み、僕に向かってブレスを吐いてくる。


……もう遅いよ。


僕の目の前に大きな黒い渦が出現する。

そう【固有魔法・時空】で作ったいつもの渦だ。


この渦の繋がっている先は……。


ブラックドラゴンのブレスは僕に命中する事も無く、黒い渦へと吸い込まれていった。

そして、ブラックドラゴンの真後ろに同じように出現していた黒い渦から飛び出てくる。


渦から飛び出てきたブレスは当然、そのまま放った本人……ブラックドラゴンへ直撃する。


『グァァァァァァッ!!』


予想外の方向から、予想外の攻撃を受けたブラックドラゴンは大きな悲鳴を上げる。


そして、僕は傷みで暴れているブラックドラゴンの真上に【固有魔法・時空】で移動する。


そのまま自由落下し、その背中に着地すると【ペースト】で足をドラゴンの背中に貼り付けて落ちないように固定する。

ドラゴンは自分の上に乗っている僕をふりほどこうと更に激しく暴れ回る。


「……無駄だよ、じゃあいくよ」


僕は持っていたトゥワリングで右羽根の根本からばっさりと切断する。

傷みで更に激しくのたうち回るが、ペーストで固定された僕の体を振り落とす事は出来ない。


暴れるドラゴンを無視して、更に左羽根も同じように切断する。

そこで、トゥワリングは消滅した。


戦闘の前半で与えたダメージ、そしてわっふるが僕を守る為に与えたダメージ。

更に今の一連の流れで与えたダメージで流石のブラックドラゴンも限界を迎えたのか動きが緩慢になる。


しばらく、ノロノロと動いてはいたが、遂に首を地面に付けて身動きしなくなった。

生きてはいるけど、瀕死と言った所かな?


安全を確認した所で【ペースト】で固定された足を【カット】で切り離す。


そして、そのまま横たわったままのわっふるの元へと駆け寄る。


『わっふる、わっふる、返事をしてよ』


『……わふ~』


良かった!間に合ったんだ。

思わず僕の目から涙が溢れ出る。


『ごめんね、ごめんね、わっふる……本当にごめんね、そして……ありがとう』


『よかったー、まいん、いきてるー』


その言葉を聞いて、僕は更に号泣する。

優しくわっふるを抱き上げて、もう一度僕はわっふるにお礼を言った。


今回の苦戦の原因は僕に【再生】を付けていなかったからだ。

人前で【再生】なんかしたら、不味いと思って普段は付けてなかったのが仇になってしまった。


これからは、そんな事は気にせず付けておこう。


そして、しばらく僕とわっふるはお互いの無事を喜びあったんだ。



……さて、遊んでばかりはいられない。


わっふるの無事を確認出来たからね。

次はブラックドラゴンの番だよ。


僕はブラックドラゴンに【魔法・回復大】を何度か掛けて上げる。

恐らく朦朧としていただろう意識が今の【魔法・回復大】ではっきりしてきたのだろう。


唸り声を上げてきた。


『わっふる、事情を説明してもらっていい?』


わっふるにお願いすると片手を上げて『わふっ』と一声鳴いてから、目の前にブラックドラゴンに話しかける。


わっふるは必死になってブラックドラゴンに説明をしてる。

だけど、尻尾を大きく振ったり、腕をブンブン回したりゼスチャーを交えて話してる姿が堪らなく可愛い。


先程までの死闘を忘れて、ついほっこりとしてしまう。


『わふっ!わかってくれたぞー』


自慢げに報告するわっふるの頭を撫でてから、わっふるに付いている【超再生】をブラックドラゴンへ貼り付ける。


すると、先程の僕等の比にならない程の煙がブラックドラゴンの体から沸き立ってくる。

そして10分程で切り取った羽根を含めて、完全再生を果たした。


「ぐぅるるるるる」


『まいんにおれいをいってるー』


ふう、これで後は向こうで待避してる子ドラゴンを引き渡せば、大団円かな?


そう思い安心した瞬間、僕等の上空に新たな黒い影が出現した。





……そう、ブラックドラゴンがもう一匹……現れたのだ。

何時もお読み頂きありがとうございました。

今後とも宜しくお願いします。


何故か21:00頃、なろうが超重たく修正作業が途中までしか出来ませんでした。

今日の夜、続きを行う予定です。


【改稿】

2016/12/10 

・全般の誤字を修正。


2017/01/09

・わっふるの言葉の「」を『』に修正。

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