表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/291

第79話 名前を付けよう!

王様から解散を命じられた僕達は結婚式までの間、滞在する事になる部屋に向かう。


部屋に入り、メイドさんが持ってきてくれた紅茶を飲みながら寛ぐ。

多分、この紅茶……僕が一生掛かっても飲めなかったような高級な物なんだろうね。


せっかくの高い紅茶も今の僕には味が分からない。

僕の秘密を打ち明けた直後だもの、二人がどういう態度を取るのか正直心配でなりません。


……紅茶を味わう余裕なんて有るわけが無いよね。


僕がそんな心配をしていると……

『しんぱいするなー、おれがついてるぞー!がおーっ!』と子フェンリルがまたもや頭をぺしぺしと叩いてくる。


……この子を見ていると、心配するのが馬鹿らしくなってくるね!


前に二人は言ってたじゃないか!何が有っても味方だと。

きっと大丈夫、僕が彼女達を信じなくてどうするんだ!


うん、元気を出そう!二人はきっと大丈夫だよ!!


「……ふう、驚いたな」


シルフィが話し出す。


「ごめんなさい、黙ってて……」


僕がしゅんとなって謝るとシルフィは慌てて手を振って僕に話しかけてくる。


「いや、違うんだ!旦那様を責めている訳ではない。

 単純に凄いと驚いただけで、深い意味は無いんだ!それは分かって欲しい!」


「そうですね、驚いたのは確かですけど……それでマイン君が変わる訳でも無いですし」


シルフィもアイシャも揃って余り気にしていないように見える。


「……二人とも僕が怖くないの?」


僕が恐る恐るそう聞くと


「何で怖がる必要がある?」


「え?何で?」


と、二人ともキョトンとした顔を見せた。


「え?だって僕が二人のスキルを取っちゃうかもしれないんだよ?」


そう言うと二人とも一度、顔を見合わせてから「ああ、なるほど」と同じ言葉を口に出した。


「前に私言ったよね?何があっても裏切らない……一生あなたの味方でいるって」


「私も全く気にしないぞ?

 王家のしきたりから始まった婚姻だが、嫁ぐ以上は旦那様の味方でいるのは当たり前だ。

 ……そうだな、今度、家族全員で対策を話しあおう」


あれ?何かすっごい覚悟して打ち明けたのに……ちょっと拍子抜けかな?

けど、二人とも僕を信じてくれてるって事だよね?


なんだか、凄く嬉しいや。

ん、んん、何だか勝手に……目の前が霞んできたよ……。


『なくなー、なくなー!まいんがなくとおれもないちゃうー』


子フェンリルが頭から降りてきて、僕の顔をぺろぺろと舐めてくる。

まるで、勝手に流れ出る涙を拭き取ってくれるかのように。


僕が落ち着いたのを見計らって、子フェンリルは再びよいしょよいしょと頭の上に移動する。


子フェンリルが頭に登り切ったのを見計らい「ありがとう」と二人の婚約者と可愛い相棒にお礼の言葉を口にする。


「どういたしまして」


「当然の事だ、気にしないでくれ」


「わふっ!」


僕のお礼に対し、それぞれの返事が返ってくる。


そして、子フェンリルの返事を聞いた婚約者二人は改めて子フェンリルをまじまじと見る。


「……ねえ、マイン君。この子、名前はなんて言うの?」


「ああ、確かに名前は気になるな」


そうだね!二人に名前を相談したかったんだ!丁度いいや、聞いてみよう!


「いや、特に名前は付いていないんだ。

 だから、付けてあげようと思ってるんだけど、家族の一員になるんだし、二人の意見も聞きたかったんだ」


『なまえー?』


『そう名前だよ、格好いい名前と可愛い名前どっちがいい?』


『んー、なんでもいいー!』


うん、聞いた僕が馬鹿でした。

元々野生にいたんだから名前という物に余り馴染みがないんだろうね。


今の僕と子フェンリルの会話は二人も聞こえていた筈だけど、どうだろう。

二人の様子を見てみると、目を輝かせて何やら考えている。


……きっとアイシャは可愛い名前を考えていて、シルフィは格好いい名前を考えてるんだろうな。


何でもいいといいながら、少しそわそわしてる子フェンリルを頭の上からおろす。

そして、抱っこした状態で二人に近づいていく。


「私はフェリルと言う名前がいいと思うのだが?」


「何言ってるんですか、姫様!こんなに可愛い子なんですよ!

 断固、ころを私は推しますよ!」


「いやいやいや、神獣様だぞ?シンなんてどうだ!?格好いいではないか!」


「だめです!ころ、ころがいいんです!例え姫様でも譲りませんよ!」


なんか、すごく白熱してるよ……。


「……わふ?」


「旦那様、旦那様!シンがいいだろう?」


「マイン君!ころよね!?ころがいいわよね!!」


ああ、巻き込まれてしまった……。

僕が困っていると、子フェンリルが人ごとのように大きな口を開けて欠伸をする。


「わふぅぅぅぅ~~~」


ん?待てよ。

なんか思いついちゃったかも?


「ねえ、二人とも……”わっふる”ってどうかな?」


僕がそう言うと言い争っていた二人の動きがピタッと止まる。


「……この子、よく”わふ”って鳴いているでしょ?

 ”わふ”だと何かゴロが良くないから、一文字くっつけて少し可愛くして……”わっふる”

 どうかな?僕は結構いいと思うんだけど……」


僕がそう言うと子フェンリルが尻尾を大きく振って「わふわふー!」と気に入った様子を見せる。


「なんか、この子気に入ったみたいですね?」


「……本人が気に入ってるなら、それが一番いいのだろうな」


二人も賛成してくれるみたいだ。

僕は子フェンリルを抱きかかえて、目の前に持ってくる。


「わっふるでいいかな?」


『わふっ!いいよー!』


子フェンリルは手を振って、尻尾を大きく揺らし自分の名前となる言葉を受け入れた。


こうして、子フェンリルの名前は”わっふる”に決定したのだった。

これからよろしくね!わっふる!!












あれ、どこからか幻聴が聞こえてくる。

……”ぽち”……はて一体なんの事だろうね?


と言うわけで”わっふる”に決定しました!

なったんさん、素敵な名前をありがとうございます!


ぽちと最後まで悩んだのですが、結局こちらになりました!

ぽちは次の機会か!?


今後とも宜しくお願いします。


【改稿】

2016/12/10 

・シルフィの台詞を一部修正。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ