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第50話 力の迷宮(5)

撃破したトロールを収納袋に放り込み、更に地下二階を彷徨う。


その後、現れたトロール達を危なげ無く倒し続け、たった今六体目を倒し終わった。

オークやスライムのように個体によってスキル構成が違っている事を期待していたのだけど全て同じ構成で新規スキルの獲得は出来なかった。


小石にスキルはペーストしてあるが、実は思いついた事があるので家に帰ったら実験をしてみようと思っている。


「ふう、この辺でもう大丈夫かな?そろそろいい時間だから帰ろうか?」


アイシャにそう言うと少しだけ考えて、僕に提案をしてきた。


「……マイン君、この階層のボス”トロールゲイザー”って言うんだけど倒せると思う?

 もし、倒せるのなら大分進んじゃったし、ボス部屋の転送石で外に出た方が早く出れると思うわ。

 ただ、トロールゲイザーは冗談抜きに強敵だから……マイン君でも苦戦はするかもしれないけど……」


トロールゲイザーが強敵と言われる所以は再生を更に強力にしたスキルを持っていると言う事だから、僕なら多分倒せると思う。

攻撃に関してもトゥワリングを使えば、一気に殲滅出来ると思うし……。


トロールとの戦いを見て、アイシャも判断したのかな?


うん、挑戦する価値はありそうだね。


「絶対とは言えないけど……多分、倒せるんじゃないかな」


僕がそう言うと、アイシャもそれで腹を括ったのか真顔で頷き、ボスへの挑戦が急遽決まったのだ。




「流石にここには人が居ないわね……」


ボス部屋へ続く広間でアイシャがポツリと呟く。

地下一階には舞い上がる砂塵というクランが居たからね。


ガランとしたこの部屋を見れば、なんとなくさびしく感じるだろうと思う。


だけど、ここに人が居ないのは当然だと思う。

聞いた話じゃ、トロールゲイザーを倒せた人達は未だそんなに存在しない。

余程の大火力を持っていなければ返り討ちにあうのは目に見えてるのだから……。


本来なら大火力を揃えたうえで長期戦を覚悟するモンスターだ。

だけど、僕はすぐにスキルを奪い、トゥワリングで一気に沈めるつもりだ。


「よし、行こうか」


僕等は扉を開けて、中へと足を踏み入れた。



名前:トロールゲイザー

LV:51

種族:魔族

性別:♂


【スキル】

超再生

魅了の魔眼

豪腕・聖


【アビリティ】

無し



これは……ひどい。


スキルを奪わないで勝てる物なの?

これに勝ったパーティ?いやアライアンスかな?どちらにせよとんでもないな……。


おっと感心してる場合じゃないね。

いけない、いけない。まずはスキルを奪っておかないとね。


「アイシャ、ファーストアタックは任せてもいいかな?僕が合図したら全力で攻撃してくれる?」


アイシャが頷いたのを確認して、僕はペーストでヤツの足を貼り付ける。


攻撃を仕掛けるか、一定の距離まで近づかない限り、階層ボスはその場から動く事は無い。

……これで、ヤツの初動は封じ込めた。


よし、全力で自己強化だ。


【身体強化・大】【腕力強化・極】【脚力強化・小】【豪腕・極】【豪腕・聖】【ストレンクスライズ】


そして【リアライズ】からのトゥワリングを生成。


よし、準備は整ったぞ!


「アイシャ、お願い!」


僕の掛け声でアイシャが矢を射る。

……戦闘は始まった。


アイシャの放った矢が命中し、動き出そうとしたトロールゲイザーは足を取られて大きくよろける。

倒れないようにバランスを取っているようだが、もう遅いよっ!


アイシャが矢を放った時点で全力で掛け出していた僕は既に射程内に到達している。


「くらえっ!武技:シャークグロウ!!」


災害級と呼ばれるオーク・キングをも葬りさった攻撃だ。

超再生が無くなったコイツが耐えれる訳がない。


まさにオーク・キングが倒れた時の再現だった。

激しい爆発音が周囲に響き渡り、トロールゲイザーは真っ二つに切り裂かれたのである。


そして、役目を終えたトゥワリングは僕の手の中から光と共に消えていく。


そのまま、トロールゲイザーの亡骸を収納に放り込み。

僕はそのままその場に座り込む。


やはり、トゥワリングを生成すると相当消耗するみたいだ。


……さて、ドロップ品は何だろう。



名前:ライナス・スワード

攻撃:+60

階級:超級

属性:光

特攻:死霊

武技:サクリファイス・ツヴァイ



……超級の片手剣だ。

かなり高性能だね、専用の武技まで使えるみたいだ。


これはシルフィに渡すのがいいかな。

いいお土産になりそうだ、喜んでくれるといいんだけど。


「ふう、お疲れ様!」


若干あきれ顔のアイシャにそう話しかけると、彼女もお疲れ様と言って返事を返してくれた。


アイシャの手を借りて立ち上がり、そのまま転送石へと向かう。


こうして、僕の初めての迷宮(ダンジョン)探索は終了したのだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



朝、迷宮(ダンジョン)に入ったが、すっかり夜になってしまっていた。

中に入ると時間感覚が大きく狂うんだね。


これはもう一泊していかないと厳しいかな……。

【固有魔法・時空】を使えば帰れない事は無いけど、流石にあれを見せるのはちょっと躊躇っちゃう。


正直言えば、アイシャには話しても良い気がするんだ。

けど、まだシルフィの事もあるので、決心が付かずにいる。


シルフィが帰ってきて、彼女をアイシャと同じ位に信じる事が出来たなら……その時は打ち明けようと思う。

だから、取りあえず今日は宿を取らないといけない。


「仕方ないね、もう一泊して明日の朝一番で帰ろうか」


アイシャもやはりかなり疲れているのだろう、直ぐさま僕の意見に同意する。

昨晩も泊まった銀の鈴亭へと向かう事にした。


勿論、しっかりと手を繋ぎ歩いたのは言うまでも無い。




「こんばんは!一泊したいのですが部屋は空いていますか?」


昨晩、応対してくれた女将さんが玄関を入ってすぐに居たので、声を掛けてみた。

すると、僕達の事を覚えていたようで、僕に向かって「はい、お泊まり頂けますよ」と優しく答えてくれた。


前払いで宿泊代金を支払い、女将さんについていくと昨日と同じ部屋に案内された。


少しの間、椅子に座って寛いでから、すっかりとお気に入りになってしまったお風呂に二人一緒に入る。

まだ、少し気恥ずかしさが残ってはいるが、大分慣れてきたと思う。


丁度良い湯加減に思わず声が出た。


「ふぅ~♪」


それを見ていたアイシャにくすくすと笑われてしまった。


「何か、長かったような……、短かったような……疲れちゃったよ」


「そうね、私も少し疲れちゃったかな。本格的に戦闘するのは久しぶりだったから」


「ゆっくりとお風呂に浸かって、疲れを取ろうね」


その後、お互いの体を洗い、イチャイチャしながらお風呂を堪能したのだった。







……お風呂から出た、その後?

勿論、一緒のベッドで寝ましたよ。


それが、何か?

何時もお読み頂きありがとうございました。

今後とも宜しくお願いしますm(_ _)m


※感想返しピックアップ(3)と(4)を活動報告にアップしました。

※『第48話 力の迷宮(4)』で感想でご指摘頂いた一部マインの行動の理由付けを追加しました。


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