表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/291

第47話 力の迷宮(2)

一階に現れるモンスターはどうもスライムばかりみたい。

最初に倒したパワー・スライムとパワー・ヒートスライムの他にこんなヤツら居た。


・パワー・ブルースライムは『水』

・パワー・グリーンスライムは『風』

・パワー・ホワイトスライムは『光』


所持していたこれらのスキルは想定通り、全て常時型だった。


『水』は”ほんのり水が出る”

『風』は”ほんのり風がながれる”

『光』は”ほんのり明るくなる”


これらをペーストした小石が各20個ほど収納袋に入っている。

スライムをぷちぷちと倒しながら考えた結果、これらを使って魔導具が作れるんじゃないかと言う結論に達した。


今、試してみようと思っているのはお風呂だ。


『水』を重ねて風呂桶に水を溜めて『熱』を重ねてお湯を沸かす。

これで人の手を介在させなくてもお風呂にお湯を溜めれるんじゃないかと思うんだよね。


実際の導入については大工さんに相談しないとダメだけど……。


これが成功すれば、他にも色々な使い道があると思うんだ。

帰宅したら、要研究だね!


……だけど、スライムって本当に不思議な生き物だよなあ……。

そんな事を考えながら歩いていると、大きな扉が目の前に現れた。


「マイン君、一階のボスの部屋についたみたいよ」


「ボスってやっぱり強いのかな?」


「う~ん、一階だからそれほどじゃないと思うけど……出てくるのは多分スライム系だと思うわ」


どうも各階のボスはその階層にいる種類のモンスターの上位種が現れる傾向があるんだって。

ただ、稀にレアボスってやつが湧く事があって、それは階層にいたモンスターと違う物が出てくるらしい。


まあ、レアって言う位だからね。

滅多に出会う事は無いと思うんだけど、一度位見てみたいよね。


「じゃあ、頑張ろうか!」


「……やっと私の出番がありそうよね」


ああ、アイシャが少し拗ねてるっぽい。

けど、一階の敵は弱いし、そもそもスライムだし……。

僕だけでも過剰な位だから、アイシャの出番はどうしても無くなっちゃうだよね。


スライムじゃ、矢のコストと見合わないしね。


どうやったらアイシャが機嫌を直してくれるか考えながら、ボス部屋の扉を開けて中に入っていく。

中にいたモンスターは……



名前:エクスシア・スライム

LV:12

種族:スライム族

性別:無し


【スキル】



【アビリティ】

軟体監獄(モルスク・プリズン)


なんか、でっかいスライムがいる。


おう、なんか訳のわからないアビリティ持ってるな……。

ボスなのにスキルは無いんだね。


取りあえずアビリティ調べてみ「マイン君、行くね!」よ……え?


うわっ、僕がアビリティを調べる前にアイシャが戦い始めちゃったよ。

今まで戦えなかった事でストレスを相当に溜め込んでいたんだね……ごめんなさい。


アイシャが放った矢は、オークの集落で僕を助けてくれた時と同じように三条の軌跡となってスライムへと飛んでいく。


取りあえず、性能の確認は後回しでいいや、アビリティを先に奪って弱体させておこう。


今までは不要なスキルやアビリティは全部その辺に捨ててきたけど、せっかくだから小石に貼り付けて取っておこうかな。

小石なら邪魔になる訳でもないしね。


僕が裏でそんな事をやってる間にも、アイシャは攻撃の手を緩めない。

流石【弓術・聖】、上から二番目のスキルだけあって、一撃がとんでもない威力だ。


ハイオークを退けていた位だもんね、そりゃあ強い筈だよ。


それから数分後、アビリティが無くなり弱体化したとはいえ、全く危なげなくアイシャはエクスシア・スライムを倒した。

流石は元B級冒険者だね!


「お疲れ様っ!今度は僕の出番が無かったよ」


笑いながらアイシャに声を掛けると、うふふと上機嫌で笑みを浮かべる。

どうやらストレスを発散出来たようだ。


うん、良かった。良かった。


そう言えば、アイシャの戦いを見てて思ったんだけど、パワー・スライム達から奪ったスキル。

ああいう常時発動型で面白いやつがあれば、鏃にスキルを貼り付けてみてもいいかも知れないね。


例えば”熱”を沢山重ねて攻撃するとか、かなり効果あるんじゃないかな?

所謂、属性矢って感じかな?


これも要研究だね。



……さて、エクスシア・スライムのドロップ品を見に行こう。



【エクスシアオイル】:皮膚に塗布する事で高い保湿効果を得る事が出来る。


まずはお約束のオイルだけど……。

イマイチわかんないや。


で、もう一つ。

装備品っぽいのがドロップした。



名前:エクスシアケープ

防御:+5

階級:上級

属性:無し

特性:時々、物理攻撃を1~2%軽減する事がある。



う~~~ん、これまたボスの割には微妙な……ケープは気休め程度には使える……かな?

オイルは何だろう、アイシャは知ってるかな?


そう思ってアイシャを見てみると、何故か嬉しそうだ。


「どうしたの?」


「これ、エクスシアオイルって言うのだけど、貴族の女性に人気のアイテムなのよ。

 塗ると潤いが出てきて、お肌がつるつるになるのよ。

 中々、流通しないからかなり高値で取引されているわ」


へえ、意外に高額アイテムなんだね。

女性に人気アイテムという事ならアイシャとシルフィに使って貰うのがいいかな。

今の所、お金に困っている訳ではないしね。


「じゃあ、それはアイシャとシルフィ用に取っておこうよ!」


そう言うと遠慮がちに「いいの?」と聞いてくる。

僕が頷くとそっとオイルを手にとって、嬉しそうに収納袋に入れていた。


うん、喜んでくれたなら、僕も嬉しいな。


ちなみにスライムオイルと同様、透明な瓶のような器にオイルは入っていた。


「このケープはアイシャに装備して貰おうかな。ケープだから僕には合わないしね」


そう言いながら彼女の肩にそっとエクスシアケープを掛けた。


エクスシアケープ自体は純白に金色の縁取りがしてあり、かなり高級そうなデザインをしている。

中々、アイシャに似合っていて良い感じだと思う。


ドロップ品も無事に入手したので、次の階層に移動する手段を探す事にしよう。

周りを見回してみると、先程まで存在してなかった筈の扉が出現していた。


「あの扉が次の階層へ続く小部屋に通じてる筈よ」


アイシャに促されて、そのまま扉を開けて中に入る。


罠の類があるかとも一瞬思ったのだが、アイシャが言うにはボスを倒した後に出現する扉には罠は無いとの事。

これは冒険者ギルドでも確認出来ている情報なので、よほど大丈夫との事だった。


100%鵜呑みには出来ないけど、どちらにせよ信じて開けるしかないんだよね。

罠があっても僕もアイシャも解除出来ないし。


扉を開けて入った部屋の中には大きな石碑があった。

この石碑は転送石といってこれに一度触れておけば、同迷宮(ダンジョン)内で触った石碑間を瞬間的に移動出来るようになるとの事だ。


迷宮(ダンジョン)の入り口にもこれがあって、アイシャに触っておくように言われていた。


そしてこの石碑の向こう側に下へと向かう階段を発見した。


「よし、じゃあ地下一階に行こうか」




#力の迷宮(ダンジョン)、地下一階


地下一階の主なモンスターはオーク系とゴブリン系のモンスターだった。

ちなみにもう一つ下の階、地下二階に目的のトロールは生息しているらしい。


一階のモンスターがスライムだった事を考えるといきなり難易度が高くなったと言える。

これは力の迷宮(ダンジョン)特有の事らしく”力”に特化したモンスターが中心だからとの事だ。



いよいよここから本番という訳である。


「アイシャ、この階はホントに気をつけてね」


そう地上のオーク同様、ヤツらは多種族の女性を捕まえて陵辱し、子を成し種として繁栄をしている。

勿論、オーク同士で番となり繁殖もするのだが、他種族の女性の方がより好みのようなのだ。


ここからは僕もスキルを出し惜しみする事無く、戦おうと思っている。

アイシャに万が一の事があったらいけないからね。


僕は始まりの短剣を左手にライトニングエッジを右手にそれぞれ装備し、慎重に探索を開始した。

アイシャも臨戦態勢で僕の後ろをついてくる。


そして、この階最初のモンスターに遭遇した。



名前:パワー・オーク

LV:18

種族:魔族

性別:♂


【スキル】

豪腕

ストレンクスライズ


【アビリティ】

咆哮



名前:パワー・ゴブリン

LV:14

種族:魔族

性別:♂


【スキル】

身体強化・小


【アビリティ】

咆哮



地上の個体と余り変わりは無いかな。

これなら、何とかなりそうだ。


スキルとアビリティを全部カットし、小石に貼り付けて収納袋に放り込む。

そして【ペースト】でヤツらの足を地面に貼り付ける。


……貼り付けた瞬間、盛大に二体のモンスターは地面へと顔面から転倒していく。


「今だ、アイシャ!」


かけ声と共にアイシャは待ってましたと言わんばかりに弓を射る。

僕はと言うと彼女の射線を邪魔しないよう【魔法・火】で攻撃を開始する。


まさに不意打ちを受けたヤツらはあっという間に死体へと姿を変えたのだった。


「……マイン君、何かしたでしょ」


そりゃ、いきなり転倒したらそう思うよね……。


「……うん、ちょっとね」


アイシャはそうかと頷きながら、僕に話しかける。


「OKよ、いきなりあんな事が起こると対応出来ないと困るから、次から教えてくれると嬉しいな」


それ以上、何もアイシャは言わなかった。

僕のやる事を全て肯定するかのように、まるでそれが当然のように……彼女は振るまう。


本当にありがたい。

僕はこっそり目に浮かんだ涙を右腕で拭うのだった。

何時もお読み頂きありがとうございました。

今後とも宜しくお願いしますm(_ _)m


ピックアップする形で感想返しを活動報告にて再開しました。

宜しかったらご覧下さい。


※感想返してない方、ごめんなさい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ