表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/291

第45話 高級宿で大発見、そして……。

一部屋ずつ取るつもりだったのが、先程のやり取りのおかげで二人で一部屋となってしまった。

……これは大誤算だった。


アイシャも心なしか顔が赤いような気がするよ……。


「と、取りあえず町を散策してみない?何か掘り出し物があるかもしれないしね」

「そ、そ、そうよね!行きましょう!」


とにかく客室という閉鎖空間の中で二人きりでいるのが非常に気まずい。

自宅で二人きりになるのとは訳が違うんだ!


勿論、実際に散策はしたい所だったけど、この際口実にさせてもらおう。


僕とアイシャに思惑、そして実利が見事に噛み合い、僕達は夕暮れのアドルの町へと飛び出して行った。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



僕等が最初に向かったのは、雑貨屋さんだ。

アイシャとシルフィが一緒に暮らす事になり、色々な小物が足りなくなっていたからだ。


ルーカスにも雑貨屋さんはあるのだけど、欲しい物が無く道中の馬車の中でアドルに着いたら探してみようと話していたからだ。


迷宮の町というだけあって、雑貨屋の品揃えも実用的な物が多く、いくつか良い物を買う事が出来た。

楽しく買い物が出来た事もあって宿での気まずい雰囲気もいつの間にかすっかり消えて無くなっていた。


「流石に迷宮都市って言うだけあって、人が凄いわね」

「うん、これ王都よりも多いんじゃないかな……」


後で分かった事だけど、夕方のこの時間帯は丁度迷宮から出てきた冒険者達で混雑する時間なんだって。

流石に常時この混雑状態だと、生活するには辛すぎるよね。


これだけ混雑するとはぐれてしまう可能性が高い。

僕は……躊躇いがちにアイシャの手を掴む。


「は、はぐれちゃうといけないから……」


僕がボソボソと言い訳っぽく、話すとアイシャは一瞬驚いた表情を見せたがギュっと手を握り返してくれた。

頬が少しだけ、赤くなっているのは夕日のせいだけでは無いと思う。




次に向かったのは、武器屋さん。

迷宮(ダンジョン)に隣接している町だけに良い武器や防具があると思うんだよね。


僕はこの前買ったばかりだから、冷やかしだけど、アイシャにはいい機会かもしれないよね。


手を繋ぎながら店の中を見回っていると、冒険者らしき人達からジロジロと見られてくる。

そりゃ、アイシャのような美人さんと手なんか繋いで歩いていたら嫉妬されるのもしょうがないかな。


余りにもジロジロ見られるので、今は繋ぐのを辞めている。

それでもまだ視線が無くなる事はないのだが、これ以上はどうしようもないので気にしない事にする。


そんな中、売っている武器の中に”非常に気になる”物を発見した。

色が真っ黒の”短剣”と”弓”、”片手剣”だ。


三つとも処分品の中に無造作に置いてある。

つまり人気がない売れ残り品って事なんだろう。


アイシャも僕が見ている黒い武器に気が付いたようだ。


「マイン君、あの短剣って……マイン君の持っているヤツと同じやつだよね?」


そう、アイシャの言うとおりだ。

あれは……成長する武器”始まりの短剣”だ。



名前:始まりの短剣

攻撃:+9

階級:無級

属性:成長

特攻:無し

必要素材:トロールのなめし革×10、アイアンインゴット×20、上級魔石



うん、間違いない。僕が持ってるヤツと一緒だ。

攻撃の数字が若干低いけど、一緒と言ってもいいと思う。


と言う事は……一緒に所に置いてある黒い弓と黒い片手剣もひょっとすると……。



名前:始まりの片手剣

攻撃:+13

階級:無級

属性:成長

特攻:無し

必要素材:マンティコアのなめし革×5、アイアンインゴット×30、上級魔石



名前:始まりの弓

攻撃:+10

階級:無級

属性:成長

特攻:無し

必要素材:マンティコアのなめし革×3、エルダートレント材×10、上級魔石×2



やっぱりそうだ!短剣以外にもあったんだ!

確か、シルフィは【片手剣・極】を持っていた筈だし、アイシャに至っては【弓術・聖】を持っている。


どれくらい強い武器になるのか分からないけど、持っておいて損は無い筈だ!


「すみません!この二つを下さい!」


「毎度ありっ!」


「これ他の種類のヤツはないんですか?」


「たまに迷宮で取れるみたいでね、ちょくちょく売りにくるぜ。

 まあそんなに強い武器じゃないからな、入荷したらすぐ処分品行きなんだけどな。

 それでも色が珍しいからって趣味で買ってくヤツがいるけどな」


二つで銀貨5枚だった。うん、安い。

見かけたら、他の武器も買っておいてもいいかもしれないね。


アイシャは何でこんなの買ったんだろうと不思議そうな顔をしてる。

まあ、そりゃそうだよね。


僕は笑いながらごまかして、買ったばかりの弓と片手剣を収納袋に放り込む。


他にも色々見てみたけど、他には今買いたいと思う物は無かったので、店員さんにお礼を言ってお店を出る。


「結構、暗くなってきたね。そろそろ宿に帰ろうか?

 ご飯の時間もあるから食べ損ねちゃうと勿体ないしね」


宿への道すがら、少し変わった屋台料理などに誘惑されつつもなんとか宿に戻り晩ご飯にありつく事が出来た。


流石に高級宿という事もあって、手の込んだ料理が多く、僕もアイシャも大満足だ。

高い宿代は伊達じゃないって事だね!



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



美味しい食事を終え、部屋に戻り寛いでいると、アイシャが僕を呼ぶ声が聞こえる。


「見て見て、マイン君!お風呂!お風呂があるわよ!!」


……お風呂?ああ、貴族とか王族とかが使っている身体を洗う設備か。

へえ、やっぱり高級宿って凄いんだね。


きっとそう言う偉い人達も泊まったりするんだろうね。

せっかくだから使ってみようかな?


「これ、どうやって使うの?」


「これはね、この大きな箱の中に暖かいお湯を入れてね、その中に裸になって入るのよ」


なるほど、僕等が川で水を浴びたり、濡れタオルで身体を拭くような物なのか。


「アイシャは使った事あるの?」


「ええ、ギルドの寮にはあったからあるわよ。すごく気持ちいいのよ

 出た後もさっぱりするしね」


……なるほど、じゃあ今は不便を掛けてるって事だね。

申し訳ないなあ……。


早速、お湯を使い方をアイシャに聞いて入ってみる事にした。



「ふぅ~、気持ちいい~♪」


これはアイシャが気持ちいいと言う訳だよ。

お湯に疲れが溶け出していく気がする。


多分……というか絶対シルフィも普段からお風呂には入っているよね。

オーク・キングとオーク・ジェネラルも売れてる筈だし、いっそ家にも造って貰おうかなあ。


いくらくらいするんだろ、コレ。


お風呂の気持ちよさを体験し、上機嫌でお風呂を出た僕は先に入らせて貰った事をアイシャにお礼を言ってベッドに寝転がる。

すっかりご機嫌な様子の僕を見て、アイシャがクスクス笑っていたが気にしない。


そのままベッドで寝ころんでいるうちに時間が経ち、アイシャが風呂から上がってきた。


お風呂上がりのアイシャはほんのりと上気しており……とても綺麗だった。

その姿を見て、すっかり忘れていた宿屋で二人きりという事を急に思い出し、頬が真っ赤に染まっていく。


アイシャも同じように頬を真っ赤に染めており、どうも考えている事は同じようだ。

シルフィが帰ってきて結婚式を挙げてから、そうずっと思っていたけど……。


湯上がりのアイシャはとても魅力的で我慢出来そうにない。


「……アイシャ、いい?」


僕が緊張でかすれた声でそう聞くと、彼女は静かに首を縦に振って僕の隣にやってきた。


アイシャをそっと抱きしめると……すごくいい香りがする。





……そして僕等は同じベッドのうえで、一夜を過ごす事になったんだ。


何時もお読み頂きありがとうございました。


以前、書かせて頂きました問題点の今後の方針を活動報告に上げました。


また、感想返しの件で色々のご提案を頂きありがとうございます。

少しでも良い形が取れるよう、検討したいと思います。


感想も沢山頂いております、返してはおりませんが全てきちんと目を通しております。

参考になりそうな意見は全て手書きでノートにまとめており、プロットと突き合わせを行っています。


また、今後の本作へ、ちょっとした仕掛けを考えております。

その仕掛けを行うのに少し作業時間が掛かる為、更新が滞る可能性が出てきました。


まだ、詳細をお伝え出来る段階では無いのですが、ご案内だけ先にさせて頂きます。

※宣言する事で引くに引けない状況をつくろうかな、と思ってます。


宜しくお願いします。


※もうマイン君をへたれなんて呼ばせない!(笑)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ