第289話 王都での石像討伐戦(4)
「マイン君、魔法で寝かせてしまったらどう?」
悩んでいる僕を見かねたのかアイシャからそんな提案が出された。
……なるほど、寝かせてしまえばいいのか。
早速僕はバレッドさんにめがけて【補助魔法・睡眠 】を使用した。
だが、いつまで経っても一向に効果は現れず何度スキルを使用しても、バレッドさんは暴れ続けている。
……これは、ひょっとしてレジストされてしまったんだろうか?
取りあえず、もう一度やってみよう。
……だけど結果は変わらず、バレッドさんは暴れ続けていた。
しかし、諦める訳にはいかない。
それならばと【魔術の極み】を使い魔法の威力を底上げしてみる。
すると、今までがまるで嘘だったかのようにバレッドさんはその場にあっさりと崩れ落ちた。
【魔術の極み】でブーストしなければ眠らせれなかった。これは、バレッドさんの能力が高かったからなのか、
シャドー・グレムリンの能力が原因なのか。
気にはなるけど、ここで確認する方法が無いのだからここはこれで撤退だろう。
【豪腕・極】を発動して僕は眠りについているバレッドさんを背中に背負って歩き出した。
そうすると僕の後ろから"舞い上がる風"のメンバーが傷つき倒れた治癒士の人を背負って付いてきたんだ。
「……あ、あのありがとうございます。リーダーはどうなったのでしょうか?」
「なに、心配は無い。旦那様が魔法で寝かせ付けただけだ」
同じく後を付いてきていたシルフィが返事を返してくれた。
"舞い上がる風"と面識があるのは僕らの中ではシルフィだけだ。
『シルフィ、彼らへの説明は任せるよ』
『旦那様、待ってくれ、説明も何も……私は状況が判ってないぞ』
……そっか、【鑑定】は僕しか出来ないから判らないよね。
そこで僕はまず、【念話】で緊急家族会議を行う事にしたんだ。
『シルフィ、アイシャ、わっふる、クゥ……みんな聞いてくれる?状況を説明するよ』
シャドー・グレムリンの能力とバレッドさんに起こった事を全員に説明した。
『……恐ろしい敵だな、我らの家族が犠牲になっていたらと思うと……そら恐ろしい』
「……えっと、色々気になるでしょうが説明はきちんとしますので今はこの場から引き上げませんか?」
シルフィではなくアイシャがバレッドさんに攻撃され傷ついた治癒士さんに回復魔法を掛けながら提案した。
アイシャの提案を聞き、"舞い上がる風"のメンバーは周囲を見回した。
「そ、そうですね、ここではゆっくりとお話も出来ないですし……」
"舞い上がる風"の同意も得られたので僕達はさっさと安全圏へと移動するのだった。
とはいっても、ここは王都のど真ん中である。
ちょっと移動すれば安全な場所はいくらでもある。
問題なのは石像の魔物である。
だが、あの魔物は近づいたりこちらから攻撃をしないと反応はしない。
国王様に報告する前にシャドー・グレムリンが石像から生み出された物かどうかだけは
確認する必要があるだろう。
そんな事を考えていると
シルフィが"舞い上がる風"のメンバーを集め、状況を説明しているのが目に入った。
「……シルフィ、アイシャ悪いんだけど、先に戻ってくれないかな?僕はもう少し確認したい事があるんだ」
どうしてもシャドー・グレムリンの情報を得たい。
まずは、石像が生み出しているかどうかだけでも知っておく必要がある。
じゃないと騎士団から犠牲が出続けてしまう。
【地図】を使って王都の全域をサーチしてみると石像は何体か見つける事が出来たのだがシャドー・グレムリンは発見出来なかった。
……これだけで判断は出来ないけど、石像が生み出していると言う事で間違いないだろう。
『わっふる、クゥ悪いけど少し付き合ってくれるかな?』
もう一度石像に攻撃を仕掛けてシャドー・グレムリンの出現条件を確認したい。
オークやゴブリンだけなら僕一人で何とか出来ると思う。
だけどシャドー・グレムリンが現れたら、そして、その存在に気がつくのが遅れてしまったら
目も当てられない。最悪、僕が魔族になってしまう。
それを防ぐ為にわっふるとクゥに付き合って貰う事にしたんだ。
わっふるもクゥも感知能力は高いんだ。
仮にシャドー・グレムリンが現れたとしてもすぐに見つけてくれるだろう。
……さて、ここからが本番だ。
【地図】で周辺に迷惑を掛ける事が少ない地形を探す。
……見つけた!ここなら僕も全力で戦える。
わっふるとクゥに作戦を説明して全力で狙いを定めた石像の下へ移動を開始した。
いつも拙作をお読みただきありがとうございます。
更新が不定期になっており誠に申し訳有りません。
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『カット&ペーストでこの世界を生きていく』コミカライズ
原作:咲夜
漫画:加藤コウキ様
キャラクター原案:PiNe様
去る9月19日に集英社ヤングジャンプコミックスから第1巻
が発売となっております。
おかげさまで大好評となっているようで、二度にわたる重刷されたとの事です。
なお、コミックス版は若干原作と違っている展開がございます。
また巻末のオマケページにはヒヨルドとライルの後日談が4コマで掲載されています。
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また10月10日原作書籍版3巻がツギクル様から発売されました。
また、3巻からイラストレイター様が変更となります。
皆さんの応援が続けば更なる[次]が見えて参ります。
今後とも何卒、変わらぬご支援、応援のほど宜しくお願い致します。
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ツイッター@Sakuya_Liveの方でまた続報は逐次アナウンス致します。
こちらの方も覗いて頂ければと思います。
本編の方ですが今後は新展開を交え元々のプロット通りの展開を書いていきます。
更新はのんびりと行いますのでお待ち下さい。
また「小説家になろう」様に実装されました新機能があります。
読者様が誤字をその場で読者様が修正出来る機能です。
各話の一番最後に誤字報告というリンクがありますので
よろしければ使ってみて下さい。なおこの機能は作者側で有効にしていないと使えませんので
カット&ペースト以外では使えないタイトルもあるかもしれません。
※前回更新時、有効になってなかったようでご迷惑をおかけ致しました。
現在は有効になっておりますので
宜しくお願い致します。