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第282話 新たな武器の行き先

一通り新スキルの確認が終わって間もなく……わっふるを先頭に妻達+シーラがお風呂から戻ってきた。


「旦那様もどうだ?私が背中を流そう」


シルフィが僕の腕を取りながらそんな事を言ってくる。


うん、確かに僕も疲れているし、さっぱりしたいかな?


「うん、そうするよ。ごめんねシルフィ」


『わふ、おれもいくぞーーーー』


シルフィと二人でお風呂に向かうとわっふるが駆けてきた。


『わっふる、また入るの?』

僕がわっふるを抱きかかえながら話しているうちにシルフィはさっさと服を脱いでしまい

一糸まとわぬ姿となった。


「さあ、行こう。旦那様」


慌ててシルフィについていき、お風呂に入るとシルフィが僕の背中にお湯をかけながら

話しかけてきた。


「それで旦那様、これからどうするのだ?」


……うん、それだね

牢獄の迷宮(ダンジョン)は終わったと思うから行かないといけないところは今の所無い。


「うん、どうしようかな?」


「以前言っていた行ける場所を増やすというのはどうだ?」


行ける場所を増やす……か、それもいいな


行ける場所か……あ、そうだすっかり忘れてた。アイシャのご両親に挨拶をしなきゃ!


「ねえ、シルフィ、アイシャの実家の事って知ってる?」


「あぁ、勿論知ってるぞ」


「……だが、アイシャが語らぬのに私が話す訳にはいかない」


「そうか、そうだよね。後で僕アイシャに話をしてみるよ!」


僕がそう宣言するとシルフィはにっこりと微笑みながらも

強い口調でこう言ったんだ。


「ああ、それがいいだろう。だが、覚えて置いてくれ。アイシャは旦那様に実家の事は知って欲しくないと思っている事を」


……それはなんとなく今までのアイシャの態度から判ってはいる。……けどなんでだろ?

僕としてはきちんと挨拶したいんだけどな。


「ははっ、旦那様深く考えない方がいいぞ」


シルフィにそう言われて僕も少しだけ気が楽になった。


そのまま軽く湯に浸かってお風呂から出ると居間には妻達とシーラ、ピロースが椅子に座りながら何かを

強い口調で議論していた。



よく話を聞いてみるとピロースが片手剣から両手鎌に武器を変えると言う話から両手斧と両手剣をどうするのか?

という話に発展しているようだ。


「アイシャが近接武器を使えるようになれば戦闘の幅が大きく変わるだろう?」

ピロースが熱の入った口調でアイシャに詰め寄った。


……確かに、今回はうまくいったけれど、ピロースがアイシャを守りながら戦わなくて済むなら戦局は随分変わっただろう。


だけど、アイシャが両手斧や両手剣を使っている姿が僕には想像が付かなかった。


「……わ、私は別に今のままで良いわ、新しい弓も手に入った事だし」


今にも食いつかんばかりに自分に詰め寄ってくるピロースに向かってそうアイシャは言い切った。


「では、せっかく手に入れた素晴らしい武器はどうするんだ?これらがあれば戦力アップは間違い無いのだぞっ!」


「……僕が両手斧を使おうか?」


そう提案してみると、ピロースが驚いた表情を僕に向けてきた。


「マイン、お前は既に強力な武器を持っているんだ。今まで通りでいい!」


……確かに、僕にはテンペストエッジやトゥワリングがある。

トゥワリングに至っては僕らのクラン最強の武器だ。

武器を変更するメリットは正直あまり無いと行ってもいいだろう。


ピロースの提案は確かにその通りだと思う。だが慣れない武器を使う事で却って戦力が下がってしまう事も考えられる、と僕は思うんだ。


僕とピロースの話し合いが膠着に陥るとアイシャが口を開いた。


「……、それならこの武器は売ってしまわない?」


売る?売るかぁ、確かに一般的に今の僕らの状況ならば一番普通の考えなのかもしれない。

パーティで不要な戦利品は普通なら売るだろう。


「……確かにいい考えかもしれない、で、どこに売るの?」


僕がそうアイシャに尋ねると、アイシャは少し考えて予想外の言葉を口に出す。


「ギルド長なんてどうかしら?私の知ってる両手剣の使い手は彼しかいないわ」


「待てっ!アイシャ 私は反対だぞ!」


アイシャの提案を聞いたシルフィが立ち上がって反対を表明した。


「考えても見ろ、バザムギルド長の理不尽な決定が元で旦那様はギルドを追放されたのだぞ」


僕自身はあの時の事は恨んでいないし、当然の事だと思っている。だから、ギルド長に売るというのは案外良い案だと思うんだ。


「待ってよ、シルフィ……、僕の事を思って言ってくれるのは嬉しいけれど、あれは仕方の無い事だったと僕は思ってるんだ」


「マイン君は、賛成してくれるの?」


アイシャが首を少しかしげながら僕に問い掛ける。


「……うん、悪い案じゃ無いと思う」


だけど、ギルド長は僕の事どう思っているのだろうか?

あの後、エイミさんを預かったり、してるわけだし、悪くは思われてはいないだろうとは、思う。


そもそもフォルトゥーナ家には悪い印象は持っていないだろう。何せうちにはシルフィがいるんだ。

ギルド長、シルフィには頭が上がらなかったみたいだし、それは間違い無いだろうと思う。


……よし、両手剣はギルド長に売ってしまおう。


「僕は売ってしまって良いと思うよ」


僕がきっぱりとそう告げると、シルフィはまだブツブツと怒ってつぶやきをもらしていた。


ピロースに至ってはがっくりと肩を落として落ち込んでいる。



「バカなっ!考え直せマインッ 素晴らしい武具は戦力の底上げになるのだ。それをわざわざ他人に売るなど愚の骨頂だ!」


ピロースがすごい勢いで僕にまくし立てながら僕のシャツの首元をひねり上げてくる。

ちょっ……待って、く、首が絞まる、死んじゃう、死んじゃう。

なにせ、ピロースの怪力で締め付けられているわけだから苦しい事このうえない。



『きゅきゅ、きゅーーーーーーーー!!』


『離すのです~~お兄様が死んじゃうですぅ~~~』


そんな様子にいち早く気がついたのはクゥ。彼女はピロースに猛烈な抗議と同時にピロースへと体当たりを行った。


「な、何をする!!?クゥ」


ピロースはよろめきながらも立ち上がり、クゥに向かって怒声をあげた。


『きゅ~お兄様の首を絞めてはだめっです!!!』


クゥは尻尾をバタバタと上下に動かしながらそう説明した。


……だが、ピロースはクゥの声が聞こえないので首を傾げるだけだった。


「ピロース、あなたマイン君の首を締めていたのよ。気がつかなかったの?クゥはそれに気がついたのでやめさせるためにあなたに体当たりをしたのよ」


アイシャが間に入り、事情を説明する。


僕はそのアイシャの説明を聞いて、首を何回も縦に振る事で真実をみんなに伝えるのだった。


「……そ、そうか。それはすまない事をした」


ピロースは僕に向かって謝罪の言葉を口に出して頭を下げた。


そしてクゥに向かっても頭を下げながら謝辞を述べたのだ


「すまなかった。そしてありがとうクゥ」


結局、両手剣はギルド長に売る事に決まった。


「それでいくらで売るんだ?」

シルフィがそう確認する。


「んー、僕達には妥当な値段なんて判らないし、どうしようか?」


「ふむ、では私が兄上に尋ねてこよう」

シルフィがそう言い残して両手剣を背中に背負い、立ち上がって退出していった。



……そうか、お義兄さんなら確かに武器の価値もよく判るだろう。


「取りあえず、売るのはシルフィが戻ってきてからだね」


「ふむ、では、両手斧はどうするのだ?」


ピロースが不機嫌そうに僕に問い掛けてくる。


「私も両手斧の使い手は知らないわ」


アイシャが慌てながらそう発言する。


「それもお義兄さんに相談してみる?」

いつも拙作をお読みただきありがとうございます。


更新が不定期になっており誠に申し訳有りません。


病気以後の文章の修正作業ですが地道に開始しました。

予想していたよりも早く修正作業出来そうです。


コレに伴い、本編の更新もゆっくり進めて参ります。



以下宣伝です。


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『カット&ペーストでこの世界を生きていく』コミカライズ

原作:咲夜

漫画:加藤コウキ様

キャラクター原案:PiNe様


去る9月19日に集英社ヤングジャンプコミックスから第1巻

が発売となっております。


おかげさまで大好評となっているようで、各書店様で入手しづらい状態になっているそうですが

見かけましたら是非、お手に取って頂ければと思います。


なお、コミックス版は若干原作と違っている展開がございます。

また巻末のオマケページにはヒヨルドとライルの後日談が4コマで掲載されています。


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また10月10日に原作書籍版3巻が発売が決定しました。

9月10日の予定から1ヶ月後ろ倒しになりました。

本日、刷り上がったばかりの3巻が私の手元に届いていますので10/10には間違い無く発売になると思います。


また、3巻からイラストレイター様が変更となります。



アマゾンの予約はすでに始まっております。

是非、お手にとって頂ければと思います。

皆さんの応援が続けば更なる[次]が見えて参ります。


今後とも何卒、変わらぬご支援、応援のほど宜しくお願い致します。


-----


ツイッター@Sakuya_Liveの方でまた続報は逐次アナウンス致します。

こちらの方も覗いて頂ければと思います。


本編の方ですが今後は新展開を交え元々のプロット通りの展開を書いていきます。


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