第262話 ファーレンの苦悩と結婚式
フェンリル様に別れを告げ【固有魔法・時空】で帰ってきたのは
いつも通り王宮内に用意されている僕とシルフィの部屋だ。
ミーティアさんを呼ばないとと思っていたんだけど……。
なんと黒い渦を抜けた部屋の中になんと国王様があぐらをかいて座ってました。
「おおっ、帰ってきたかマイン!!!」
「ただいま戻りました。色々報告する事があります」
僕がゆっくりはっきりとそう話すとファーレン様はほっと安堵の域を吐き、立ち上がった。
「えーっと、国王様、報告ですがお義兄さんとルイス様も同席頂きたいのですが……」
「……アルトとルイスもだとぉ?私だけでは不満なのか?」
ファーレン様は途端に不機嫌になってギロっと僕を睨んだ。
し、仕方ないよね?ちょっと大事すぎる報告だ。次代の王であるお義兄さんにも聞いて貰いたい。
「……まあ、良かろう。ミーティア、アルトとルイスをすぐにここに連れてこい!大至急だ」
ファーレン様は大声で扉の向こうへと声を掛けた。
「は、はい。判りましたっ」
ドアの向こうからおびえた様子のミーティアさんの返事が聞こえてきた。
「……それで、どんな案配だ?」
「良い報告と悪い報告とあります。どちらからお聞きになりますか?」
「……ふん、良い知らせとはカイエンの事だろう?悪い知らせ……検討つかんが例の石像の事か?」
ファーレン様はつまらなさそうにそう吐き捨てた。
しばらくきまずい空気が流れ、そろそろ間が持たなくなってきた頃、ドアを叩く音が聞こえてきた。
「父上、火急の用件と聞いた」
あ、この声はお義兄さんだ。流石にシルフィのように問答無用で飛び込んでこないね。
「おう、アルトか?すぐ入ってこい。ルイスはおらんのか?」
ファーレン様がそう告げるとお義兄さんとルイス殿下がドアを開けて入ってきた。
「……ん?義弟
。父上厄介ごとなのか?」
……ひどいよお義兄さん、僕を見て厄介ごとと言うなんて。まあ確かにその通りなので否定出来ないのが苦しいけど
「揃ったな? ではマイン報告を」
「はい、報告させて頂きます」
僕は直立不動の構えで報告を始めた。
まずは魔王カイエンの顛末から
「……カイエンですが先の報告通り神獣シヴァ様により討たれたそうです」
そう報告すると、お義兄さんからよしっという短い気合いが発せられた。
「えっと急に神獣様が戦闘に介入したのには理由があったそうです」
「……理由?なんだ?」
女神様が異世界人の召喚に否定的である事と勇者を魔王がその手に掛けた事を説明する。
「……あとローラシア王ですが神獣様に粛正される事になったそうです」
「ほう、ジョージの奴め。……これは自業自得という事だろうな」
「それに伴ってですが、女神様よりシーラ姫を僕に娶るようにと話がありました 王家の血を絶やさないためだそうです」
「……ふん、そういう事か、よかろう……改めて結婚を認めよう」
「それなら、結婚式は早めに執り行わねばならんだろう」
「アルト、ルイスお前達の式もも一緒に行うのが良いだろう。急いで日取りを決めて報告しなさい」
「それでマイン、悪い報告というのは?」
……きたっ!!
「ええっと、例の石像の魔物に関する事なのですが……」
僕は額の汗を拭いながらアンダーワールドの存在と影王の事を話した。
「魔王が片付いたと思ったら今度は影王か。やれやれだな……」
「ふむ、話を聞く限りまたマインに頼らなければならないだろうな……」
「国民への告知はどうしますか?」
「こんな事発表出来るわけ無いだろう」
僕の質問に国王様が返事を返した。
「次に良い話を……」
「うん?まだあるのか?」
「はい。この話があったのでお義兄さんとルイス様にも同席頂いたのです」
まず、僕は20歳で再び神殿にて新たなスキルを授かれるようになる事を話した。
「なんと……」
山陰が口を開けて呆気にとられているが、構わず、新たなバトルフィールドと言う場所が設置され、高性能の武具が
入手出来るようになる事を話した。
「それも凄いな。迷宮産の武具のような物なのか?」
お義兄さんが自分のライナススワードを見ながらそう問う。
「報告は以上です」
僕は立ち上がり深く礼をして部屋を飛び出た。
僕が立ち上がったのにも国王様達は気がつかないようで真剣な表情で話し合っている。
僕はゆっくりと邪魔にならないように【気配遮断】を使用してドアまで歩いて扉を開けた。
すると、シルフィが笑顔で立っていたんだ。
「旦那様、待っていたぞ。王都に出現した石像の駆除に行かないか?」
ああ、そうかお義兄さんがここに居るという事は今、町の中の駆除部隊はいないと言う事だよね。
これはアンダーワールドの魔物の強さを実感するチャンスだね。
いつも拙作をお読みただきありがとうございます。
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