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第260話 フェンリル様と女神様

「……では、早速フェンリル様のところに行ってきます」

僕はそう国王様に宣言してシルフィの横まで戻り、手を握る。

「シルフィ、いくよ」

小声で彼女に囁くと、シルフィはニコっと笑顔を浮かべて手を握り返してきた。

それを合図にして【固有魔法・時空】を発動する。


行き先は勿論、神霊の森にある。フェンリル様の家だ。

僕は黒い穴に飛び込む前に頭の上で寝ているわっふるに声をかけた。


「わっふる、起きて、フェンリル様のところにいくよ」

「わふ~」

寝ぼけているか気のない声で一鳴きしたわっふるはぴょんと

僕の頭から大の字になって飛び降りた。


『わふ、かーさんのとこいくのか?』

わっふるは鼻をくんくんと鳴らして、黒い渦へと迷いも無く飛び込む。


……これは気をつけよう。着いた途端に三兄弟から突撃されるパターンだ。


僕がそう覚悟を決めて、黒い渦の中へと飛び込むと、予想通り、小さな3つの塊が勢いよく

体当たりしてきたのだ。


そう、わっふる三兄弟だ。僕を見つめ、尻尾を左右にゆっくりと振りながら「遊んで、遊んで」と目で訴えてくる。

なぜだかその遊んでと言う訴えはわっふるも含まれていた。


「仕方ない、少しだけだからね。大事な用件があるんだから」


先日木を【カット】を使って加工したブーメランを収納袋から取りだして、三匹によく見せてから

勢いよく前方に放り投げた。

ブーメランはシュルシュルと音を立ててUターンして戻ってくる。


「さあ、取っておいで」

僕がそう言うと三匹は押し合いながらブーメランへと向かっていく。

やはりレベルの兼ね合いなのか、一匹飛び出したのはわっふるだった。

「にーちゃん、ずるいよーいつもまいんにあそんでもらってるだろー」

わっふるは弟たちに総スカンをくらっているが気にした様子も無く勢いよくジャンプして空中でブーメランを口に咥えたのだ。

「わふふ」


わっふるは弟たちを見ながら実に嬉しそうな声をあげている。

『こら、わっふるお兄ちゃんなんだろ。弟にゆずってあげなよ』

僕が【念話】でワッフルに注意をすると、わっふるの尻尾はぐんにょりと萎れて又の間に隠れてしまった。

それでもさすがわっふるだ。次の瞬間にブーメランを弟たちに渡しに駆けていった。


『わーい、おにいちゃんありがとー』

『わふわふ、おにいいちゃんだいすきー』


その様子をほっこりしつつ見ながら、収納袋からハイオークの肉の塊を取りだした。


「みんなおいで。おやつだよ」

僕が三匹に向かって手をふりながら呼びかけるとわっふるを先頭に猛烈な勢いで突っ込んでくる三匹の紫の塊が

ドンという音と共に僕にぶつかってきた。

その衝撃で僕の手からハイオークの肉の塊がボトンと落ちた。


その肉を見て悲しそうに目をうるうるしている三兄弟に一言「いいよ、食べても」

そう言うと嬉しそうに尻尾を大きく振りながら肉に取り付き、ムシャムシャと食べ始めた。


『マイン、私に用事があるのだろう?坊や達はもういいからこっちにきなさい』


フェンリル様が僕に優しく声を掛けてきた。


『わっふる、後は頼んだよ』

そう、わっふるに言い残して僕はゆっくりとフェンリル様のところに歩いて行く。

わっふるは兄弟達ともみくちゃになりながらも右前足を頭上に掲げてこちらに向かって手を振ってるのが見えた。


『わふまかせろ!おれおにいちゃんだからまかされた』


……うん、本当にわっふるはいいこだなあ。


『マイン、魔王の事かい?』

僕がフェンリル様に頷き返すと事の次第をフェンリル様は語ってくれた。


曰く、女神様の方針で自分が管理している世界では無い世界から人を連れてくるのは許さないとの事だ。

更に、その異世界人に危害を加える行為も許さないとの事だ。

今回は魔王自らが異世界人を殺してしまったらしいんだ。

その行動に激怒した女神様が近くに居た神獣シヴァに勅命を出して魔王を葬るように指示した結果だったそうだ。



……なるほど、そういう事か。

大筋の内容は理解出来たぞ、けど……待てよ。大事な事を聞き忘れている気がするぞ。


と疑問に思っていたら、フェンリル様は更に話を続けた。


そもそもローラシア王が今回の召喚を強行したのが問題なのでシヴァ様の判断でローラシア王葬る事になったそうだ。

そこで、ローラシアの王家が滅ぼしてしまうのも問題という事で、改めてシーラ姫を僕に娶るようにとフェンリル様から

依頼されてしまった。

まあ、半分彼女とは結婚するものだと思っていたからいいのだけどね。よし、覚悟を決めよう。


はぁ、これで奥さんが4人か。

天国のお父さんやお母さんはどう思うだろう。

しかも、4人のうち3人はお姫様だし……。平民の僕がとんでもない事だよね。

おっとフェンリル様から聞いたのはこれだけじゃないんだ。


何でも女神様が召喚された勇者達を下に世界に返したいと考えてるらしい。

だけど、下の世界にはスキルなんて存在しないからこれを持ったまま返す事は出来ないと困ってるらしいんだ。


そこで僕に勇者達のスキルを【カット】して欲しいと考えてるみたいなんだ。


これは女神様から僕への直接の依頼になるそうなんだ。報酬は勇者達の持っていたスキルらしい。

どんなスキルなのか判らないけど、マイヤさんやガーネット様の勇者スキルから想像すると凄いスキルが多いのだろう。


スキルが報酬……といえば、そうだ!!牢獄の迷宮(ダンジョン)に行かないといけないや

忙しくてすっかり忘れていた。

ヨルムンガンド様怒ってないかな?


以上が魔王に関する話だね。


次はこちらの用件を


早速、国王様に頼まれた石像の魔物についてフェンリル様に尋ねてみた。


「……ふん、石像の魔物かい?知ってるよ、よ~く知ってる。だがそれについての説明は女神様に聞いてくれ」


え?女神様って?


「なんだい?わからないなんて顔してさ、お前はマイヤから【女神交信】のスキルをもらったんだろう?

それを使ってみるんだよ」

ああ、確かに貰ったよ。恐れ多くて使うのは躊躇われたけど。


「事前に私がこれからお前が更新しますと伝えておいて上げるから、今から使ってみなさい」











いつも拙作をお読みただきありがとうございます。


日々の更新が滞っておりまして誠に申し訳有りません。


今話から新展開突入です。


急遽入れる事にしたエピソードですのでそれほどのボリュームは無いと思いますが

このエピソードを挟んで完結目指して進んで行く事となります。


最後までなにとぞ宜しくお願い致します。


以下宣伝です。

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『カット&ペーストでこの世界を生きていく』コミカライズ

原作:咲夜(ツギクル)

漫画:加藤コウキ様

キャラクター原案:PiNe様

水曜日はまったりダッシュエックスコミックス様にて

http://seiga.nicovideo.jp/manga/official/dashcomic/

5月30日連載開始です。


-----

加藤先生がとても頑張って頂いておりまして原作者の私から見ても続きが気になる出来映えです。

よろしければ是非こちらも読んで頂ければと思います。

ツイッター@Sakuya_Liveの方でまた続報はアナウンス致します。

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