表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
261/291

第258話 マインの同窓会(4)

わっふるを頭に乗せたまま僕は同窓会の会場に到着し、会場の市民会館の中に入っていった。

受付で招待状を提出するとどこかで見た事がある女性に案内されて、大きめなテーブル席に案内されたんだ。


「久しぶりだね、マイン君っ!!凄いじゃない私達同期で一番の出世だよね」

うん?誰だっけ、、見た覚えはあるんだけどなあ……。


「……そ、そうかな?」


「……あれ?ひょっとして私が判らない?フフ私よ、私、ユリーシャ」


ああ、ユリーシャちゃんか!町長の娘さんでウチのクラスで一番人気だった子だ。

……クリっとした目が特徴的で身長は僕と同じくらい。

僕にはアイシャやシルフィ、サーシャと言う三人も破格の美人の奥さんがいるので興味は無いが

周りから彼女へ向ける視線の多さを感じとれるよ。

その多くの視線の中に、僕に対して憎しみの感情を向けてくる視線が1つある事に気がついた……。

慎重にその視線の元を探してみるとアンセムの姿が見えたんだ。


「……あのっ マイン君、聞いても良いかな?」

ユリーシャが軽く首をかしげながら僕に聞いてくる。

「ん?なになに?」

「シルフィード様と聖弓のアイシャさんの二人ををお嫁さんに貰ったって話本当なの?」


「うん、本当だよ。まだ発表になってないけど近日、お嫁さんが増える予定もあるんだよ」


僕と彼女の会話はどうも周りの級友たちが耳をそばだてているみたいだ。

「え、え?どういう事なの??」

うーん、シーラの事は決まったわけではないし、サーシャの事もまだ言わない方がいいかな?お義兄さんやルイス様の発表があるまでは内緒の方がいいだろう。

「ごめん、ちょっと詳しくは言えないんだ」

「ちぇっ、ざ~んねん、お嫁さんが増えるという事は私にもチャンスが……」

「……ん?何なに?」

「わふ」

「きゃあ、可愛いぃぃ~、マイン君のその頭の上の狼って何、なんなの??」

「ああ、わっふるっていう僕の家族だよ」

「マイン君がテイムした魔物なんだよね?触っても大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ」



僕が許可を出すと恐る恐るユリーシャはわっふるの頭をなで始めた。

「わふ~」

するとわっふるは目を細め尻尾をゆらゆらと振りながら気持ちよさげな声を出す。

「……ち、マインの奴め、魔物を使ってユリーシャちゃんの気を引きやがって」

「なあ、アンセム。マインさに絡むのやめとけや……あれでも貴族様になったんだで」

「うるさいぞチョビット!! 貴族だろうがなんだろうがマインはマインだ!みなしごマイン~♪」

「おーいマイン」


ん?誰だろ僕を呼んだのは?

ああ、ケリーか。ケリーは在学中唯一仲が良かった男子生徒だ。

僕は在学中、アンセムを筆頭にいじめられていたから……彼だけが心の支えだった。


「なんだい、ケリー?」

僕はユリーシャにことわってケリーの所に歩いて行った。


「なあ、マイン頼みがあるんだ。オレオにーちゃんおぼえてるだろ?」

「うん、なんとなく覚えてるよ」

「にーちゃんさ、アイシャさんの大ファンでさ、結婚したと聞いてすげえショックを受けてさ」

「そ、それは……ごめん」

……う~ん、そんなことを言われてもなあ、正直困っちゃうよ


「それでさ、マイン、悪いんだけど一度でいいから兄貴とアイシャさんをデートさせてやれないかな?」

「ダ、ダメだよそんな事、彼女は物じゃないし、僕の奥さんなんだよ」

「そんなんだったら俺達だってデートしたいぞ」


その話を聞いていた男達が一斉に立ち上がって俺も俺もと詰め寄ってくる。


「だめだよっ!!!」

僕が強めの口調で叫ぶと口々に不満を漏らすかつての級友達。

「ちぇ、マインのやつだけ良い重いしやがって……」

……そのときだ

『マイン、聞こえるか?マイン』

『はい、何でしょうか?フェンリル様』

とつっぜん、フェンリル様から切羽詰まった声で【念話】が届いた。

『いいかい、落ち着いて聞くんだよ、魔王が魔王カイエンが死んだ、よ』

『ええええっ!?本当ですか?どうして……』

これはえらいこった。同窓会なんてしてる場合じゃない。


『神獣の一人が倒したのさ、魔王がちょっと禁忌に触れる事をしたからね』

『わ、わかりました。連絡ありがとうございます』

これは大変、国王様に伝えなきゃ。

『シルフィ、聞こえる?』

僕は慌ててシルフィに【念話】で声をかけた。

「悪いけど急用が出来たんで、僕はこれで失礼するよ」

『だ、旦那様、どうしたんだ?急に?』

『悪いけど大至急、ぼくのところに来てくれないかな?わっふるを行かすから』

僕は周囲を見回して帰る事を告げる。

「わっふる、悪いけどシルフィをすぐに連れてきてくれるかな?」

僕は頭の上からわっふるをゆっくりと持ち上げて地面にそっとおろした。

するとわっふるはんーっと伸びをしてわふっと一鳴きして駆けだしていった。


「オイ、マイン何だって言うんだ?今シルフィと言ったか?姫様がここに来るのか??」

「うん、シルフィと合流して王宮に向かうんだ。国王様に緊急の報告があるんだ」

「ごめんね、急に」僕はみんなに詫びながら頭を下げて回る。

「これ、今日の会費」

アンセムに銀貨を1枚渡す。

アンセムが銀貨を受け取ると同時に店のドアがおおきな音と共にバンと開いて入ってきたのは僕のお嫁さんの一人シルフィだった。足下にはわっふるもいる。


「だ、旦那様っ緊急の用件って?一体なんだ?」

「話はおいおい話すよ。まず国王様のところにいかないと」


「父上?」

僕達の会話を聞いて……無いがざわつき始める。

「わっふるご苦労様、おいで」

するとわっふるがとててと僕に向かって走ってくる。そしてそのまま僕の頭の上にヨイショヨイショとよじ登ってくる。

わっふるが定位置に着いたのを確認して僕はシルフィの手を取って、店を飛び出した。


いつも拙作をお読みただきありがとうございます。


日々の更新が滞っておりまして誠に申し訳有りません。


痛みが引き次第、再び更新を安定化したく思っておりますので、しばらくご迷惑をおかけしますが

何卒ご容赦の程お願い致します。次回更新日は確定次第、ツイッターか活動報告にてお伝えします。

また、活動報告とツイッターで今後の状況はお伝えして参ります。


また、お知らせの通り、本作のコミカライズが決定しております。


-----

『カット&ペーストでこの世界を生きていく』コミカライズ

原作:咲夜(ツギクル)

漫画:加藤コウキ様

キャラクター原案:PiNe様

水曜日はまったりダッシュエックスコミックス様にて

http://seiga.nicovideo.jp/manga/official/dashcomic/

5月30日連載開始です。


-----

加藤先生がとても頑張って頂いておりまして原作者の私から見ても続きが気になる出来映えです。

よろしければ是非こちらも読んで頂ければと思います。

ツイッターの方でまた続報はアナウンス致します。


また、日々の更新が滞っているお詫びでは無いのですが完結予定だった本作にこの後ちょっと大きめの

エピソードを追加しようと考えています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ