第256話 魔王カイエン VS 召喚勇者達2
「……ほぉぅ、貴様が勇者とやらか。オーク・キングを倒したと言うその力を儂に見せて貰おうか?」
「ち、違う、俺は確かに勇者だが、戦闘は専門外なんだ」
「戦いは専門外?では、何故お前は此所に来たのだ?我々と戦うために異世界からやってきたのだろう?」
「知るかよ!!」
いや実際のトコ、そんなの知ったこっちゃない。
学校で連れ達と馬鹿騒ぎをしてた時に無理矢理こっちの世界に連れてこられただけだ。
「まあ、良い戦闘要員で無いと言うならばソレでも良かろう……儂はただ勇者を名乗る者を始末するだけだ」
「この転魔剣の錆となれ勇者よ」
ちっくしょう、ここまでかよ。
よりによって魔王の野郎、全力で突っ込んできやかる。
王宮から配られた片手剣を両手でしっかりと握り、剣道の授業で習った正眼に構えを取る。
……だけど仮にも魔王に通じる筈は無い。……気休めって奴だな ハハハ
案の定、魔王の奴は、僕の構えなど目に入ってないとばかりに無造作に僕の懐に飛び込んで来たんだ。
僕は無我夢中に目をつぶり歯を食いしばって剣を前に力一杯、突き出した。
すると肉を切り裂く嫌な完食が手に帰ってきた。
目を開けてみると、魔王の鳩尾辺りに剣が深々と突き刺さっていた。
「フハハハ、戦闘要員で無いと言うのは本当みたいだな、なんだ、そのふぬけた剣はっ」
「「孝っ!!!!!!!」君」」
僕が魔王の言葉を聞いて、あ、俺ここで死ぬんだ……と思った瞬間、聞き慣れた俺を呼ぶ声が背後から聞こえたんだ。
大和……千尋……来てくれたんだ。
俺を魔王の剣が貫こうとしたとき魔王の動きがピタっと止まった。
「……ぬぅぅ、何だ、コレは??」
よく見てみると千尋の【神の鎖】が魔王に絡みついているのが目に入った。
「……ま、間に合ったか?孝ぃ~~~生きてるか??」
「生きてるよ、大和サンキュな」
「さ~て魔王さんよ、お待ちかねの戦闘要員が来たぜ」
「ほう、そいつは楽しみだ。……だが、安心するのはまだ早いぞ、少年」
「んなっ!?何で【神の鎖】で拘束されているはずなのに・・・」
何故だ……拘束され動けない筈の魔王の腕が何故だか、動き、俺の胸に深々と剣を突き立てているんだ?
「ぐはぁ……」
口から血があふれ出てくる。これは死ぬな……。
「た、たかしーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「来るな、大和!こいつは今までの敵と違う、魔王だ魔王なんだっ」
……身体に力が入らない。もう立ってられねえ……死ぬなよ、大和、千尋。
力尽き、地面に倒れ込んだ、その瞬間頭の上にふよふよと浮かんでいた天使の輪が破裂し
俺の身体にその破片が吸い込まれていった。
すると、再び立ち上がる気力と力が戻ってきた。
……こ、これは戦闘前に掛けておいた【死者絶対蘇生】の効果なのか!?
「な、何ッ??」
俺も驚いたが魔王はことさらに驚いたようだ目を大きく見開き口からつばをまき散らしながら驚きの声をあげていた。
「……お前、死んだのでは無いのか?」
俺が刺されたのを観た大和が聖剣を抱えて突進してくるのが視界に入ってきた。
そして大和の背後にそもそもの発端となる少女の姿も一緒に視界の隅に入ったのだ……。
……バカな、まだ逃げて無かったのか?俺がやった事は無駄になってしまうのか?大和と千尋はともかく、あの女の子は魔王の
攻撃を受けたらたやすく死んでしまうだろう。
……いかん、思い通りというか魔王の奴、大和達に鬼気迫る勢いで斬りかかってやがる。
大和が光の聖剣で防いではいるがいつまでも持たないだろう。千尋の【神の鎖】も効果が薄いようだし……
「大和、その女の子は死なすんじゃねーぞ!!」
俺が尾声で叫ぶと大和は「おう」と一声吠えて、女の子の前に移動し、魔王に立ち塞がった。
ちくしょう……大和の野郎、格好いいじゃねーか。俺にも戦う力があれば……。
魔王に目をやると、再び魔王の身体に【神の鎖】が絡みつくのが見えた。
千尋の奴、頑張りやがって……。
お、今度は【神の鎖】効いてるみたいだな?魔王の奴の動きが止まりやがった。
「貰ったぁ~~~!!」
そこに大和の奴が飛び込み光の聖剣を魔王に向かって突きこんだ。
「バカめぇ~」
だが、魔王は口元を大きく歪めて大和を罵った。
な、なんと魔王の持つ剣がドス黒い煙のような物を噴出して巨大化したのだ。
巨大化した魔王の剣は大和の持つ聖剣を弾き飛ばしそのまま大和を真っ二つに切り裂いたのだった。
大和の身体は宙を舞い、上半身は千尋の前面に落下し、下半身は霊の女の子の目前に落下した。
「大和ぉ~~~~~~!!!!!」
いつも拙作をお読みただきありがとうございます。
また、日々の更新が先に活動報告でお知らせしておりますように
左足の強烈な痛みのため滞っておりまして誠に申し訳有りません。
痛み止めを飲むなど対策はしておりますが依然として、痛みは続いておりますが徐々に和らいできました。
しかし、最近になり再び痛みが襲ってきており家中を歩くのも辛くなってきております。
痛みが引き次第、再び更新を安定化したく思っておりますので、しばらくご迷惑をおかけしますが
何卒ご容赦の程お願い致します。次回更新日は確定次第、ツイッターか活動報告にてお伝えします。
また、活動報告とツイッターで今後の状況はお伝えして参ります。
また、お知らせの通り、本作のコミカライズが決定しております。
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『カット&ペーストでこの世界を生きていく』コミカライズ
原作:咲夜
漫画:加藤コウキ様
キャラクター原案:PiNe様
水曜日はまったりダッシュエックスコミックス様にて
http://seiga.nicovideo.jp/manga/official/dashcomic/
5月連載開始!です。
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加藤先生がとても頑張って頂いておりまして原作者の私から見ても続きが気になる出来映えです。
よろしければ是非こちらも読んで頂ければと思います。
ツイッターの方でまた続報はアナウンス致します。




