第252話 マインの同窓会
「……じゃあ、国王様に聞いてみようか」
シーラ姫を永久なる向日葵に加入させるために僕のお嫁さんになってもらうと言う
案は他国との外交にも影響が出てしまう事なので、一端棚上げし、国王様に相談を持ちかける事になった。
僕の個人的な思いだけで言えば、シーラ様をお嫁さんに迎えるのは今の所、余り乗り気では無い。
先だってルカ様からの求婚を断ったのだから尚更だ。
……だけど、シーラ姫の気持ち、主張も判らない事は無い。
だからこそ、こうして時間稼ぎが出来る事は有りがたい。
『まいん~きがすすまないのならかーさんにしんじゅうのけいやくをしーらにしてもらえばどうだ
?』
わっふるまで僕の事を心配してそんな提案をしてくる始末だ。
「アイシャ、旦那様はまだ帰ってこないか?」
「……まだですよ、、もう姫様ったら!さっきからそればかりじゃないですか?」
「マイン様はどちらかにお出になられているのですか?」
「あら?サーシャ様もお聞きになってないんですか? もう、マイン君ったら!!」
「マイン君、シーラ様を娶る事について国王様に相談しに王宮に向かってるんですよ」
「まあ、本当にシーラ様もいらっしゃるのですか?」
「どうなんでしょう?」
「あら?呼び鈴が……誰か来たみたいね」
「私が行こう。わっふるも来るか?」
「わふ~」
「姫様すみません。お願いしますね」
◆◇◆◇◆
ローラシアの勇者召喚騒ぎが落ち着きを見せた頃合いの事である。
ルーカスにあるマインの自宅を訪ねてきた二人の年若い男がいた。
男の一人はアンセムと言う。
父親が冒険者ギルドのギルド長をしている、所謂ガキ大将というやつだ。
とは言っても本人に強い力があるわけでもなく、知恵に秀でているわけでも無い。
親の威光を傘にやりたい放題をしているだけの小物である。
ギルド長は息子がそんな性格と知らずにいるようだ。
我らが主人公マイン君も昔、彼には苦い汁を飲まされた物でした。
そんなアンセムがマインの自宅に一体、何の用事があるのでしょうか。
アンセムと一緒にいるのは肉屋の主人の息子チョビットだった。
彼は父親に似て大柄の若干ぽっちゃり型の体型だ。気は優しくて力持ちを地で行く少年である。
だが、残念ながら女の子には全くもてない。
彼は気弱で優しい事が災いし、アンセムには全く頭が上がらなかった。
アンセムからすれば都合の良い、使いっ走りで、舎弟のようなものというわけだ。
「けどよ、まさか、あの孤児マイン」が英雄とはねえ……」
「ま、マインのお父さんはルーカスの英雄だど!うちのお父が言っとったど!マインの事をなして悪く言うっ?アンセム」
「……別にィ、俺ァはあいつの事がただ気に入らねーんだよ」
「ランファちゃんとユリーシャちゃんがマインの事、褒めてるのが気に入らないんだべ?」
「か、関係ねぇっ!!、何で俺がランファとユリーシャを気にしなきゃなんないんだ」
……ここで少しマインの過去について少し話さなければなるまい。
マインの父、ダインと母ユキノが流行病でこの世を去った後、マインは一人残されながらも一人で生きていくためには
生きるための術を学ぶ必要があった。
ルーカスの町には冒険者ギルドが運営する次世代の冒険者達や優秀な戦士を育成するための養成学校が存在している。
マインは生きていく為の術を学ぶべく、ルーカスの有志の町民達の支援を受け養成学校に入学していたのだった。
「取りあえず、マインの奴に同窓会の知らせをとっとと渡しちまおうぜチョビット」
「……ん、ああ。けんども急に来訪ねてマインの奴いるべか?」
「さあな?居なければ出欠票だけ置いていこうや」
二人はそんな会話をしながら目的のマインの自宅に到着したのだ。
そしてチョビットが呼び鈴を大きく鳴らす。
すると、玄関の扉がスッと開き、中から子供の狼の魔物が顔を出したのだった。
「わふ?」
「な、なんで……こんなところに魔物がいるんだ!?」
「わっふる、どうした?お客様なのか?」
「わふ!!」
「アンセム、あの狼はマインの従魔でわっふると言うんだべ。うちのお父から聞いた事あるべ」
「従魔だと!?と言う事はマインの野郎が授かったスキルはテイムか?」
チョビットと話しているとマインの家の玄関が再び開いてとても美しい女性が姿を見せた。
……何処かで見た事がる女性だな……う~ん。思い出せない。
「なんだ、君らは?|うち(フォルトゥーナ家)に何か用事か?」
「……シ、シルフィード様」
チョビットがその女性を見て、一言呟いた。
な、なに?ああ確かに!シルフィード姫様だ。
マインの奴が結婚したというのは本当だったのか!
全く、何だって言うんだ?あの野郎が姫様と結婚だって、一体何がどうなっていやがるんだ!くっそう面白くねえ!
「あ、あの、マイン君はいますだか?」
ぬ、チョビットのやつ俺様を差し置いてシルフィード様と会話するとは、とんだ抜け駆けだぜ
「ん?旦那様か?今所用で王都に行っているが、何か用事なのか?」
「い、いえ、これを渡して頂けますと!!!」
そう行ってチョビットが封書を姫様に手渡した。
同窓会の出欠票だ。
「僕達、マイン君の養成学校時代の同級生なんです。今度同窓会が開かれるので、是非マイン君にも出席して貰いたくて……」
「ふ~む、そうか。では戻り次第渡しておこう。君らの名前は?」
「ア、アンセムです!」「チョビットですだ」
いつも拙作をお読みただきありがとうございます。
また、日々の更新が先に活動報告でおしらせしておりますように
左足の強烈な痛みのため滞っており申し訳有りません。
痛み止めを飲むなど対策はしておりますが依然として、痛みは続いております。
痛みが引き次第、再び更新を安定化したく思っておりますので、しばらくご迷惑をおかけしますが
何卒ご容赦の程お願い致します。次回更新日は確定次第、ツイッターか活動報告にておつたえします。
また、活動報告とツイッターで今後の状況はお伝えして参ります。




