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第251話 カイエン発つ。

新年あけましておめでとうございます。

ツイッターや活動報告でも述べておりますが、現在左足(麻痺足)に強烈な痛みが出ており執筆が滞っておりました。お待ち頂いております方々にご迷惑をおかけしてしまい申し訳有りません。

次回更新も足の痛み次第で不定期更新となります。

何卒ご容赦下さい。

「カイエン様……2つご報告がございます」


ザナドゥを呼び戻しに向かい、戦いに敗れたザナドゥの骸を持ち帰ってきたのだが、……何という貧乏くじだろう。

カイエン様は先代ヴォルテックス様に比べて温和ではあるが実の息子の死を目の当たりにしても温和でいられるものか?

いや、温和で居られるわけが無いだろう。

正直言えば、言わずにこのまま逃げ出したいところ……だが、誰かが真実は告げねばなるない。そして、その役目はザナドゥの骸を持ち帰ってきた私以外あり得ないだろう。

本音を言えば、とばっちりが怖いので、気が向かない事だが、やむを得まい。


「……何、報告だと?何だ?ロゼリエよ。お前にはザナドゥを呼び戻す任を与えたはずだが……?」


「は、はい。そ、それなんですが、ザナドゥですが、特異点との戦闘で敗北し、その命を落としました」

言っちゃった……言ってしまった。カイエン様の反応はどうなの?怖い。

「なんだと?なかなか戻って来ぬと思っておったが……まさか死んだ、……だ、と?」


ひえぇぇ~~、怒ってるよぉ。


「して、ロゼリエもう一つの報告は?」


「は、はい。ローラシアが予想通り勇者召喚を行った模様です」

「な、なにぃっ!!あの馬鹿者どもめ!!先王ヴォルテックス王と違い俺を倒す事などできんぞ。……ふむ、憂さ晴らしにこちらから討って出てやるか」


あやー、ザナドゥの事があるからかしら?魔王様がおかしな事言い出したわよ~。ひええええ、姉さん助けてよー。

「はて?……カイエン様、討って出るとは?」

「しれた事よ、私自らローラシアに攻め込むのだ。完成したばかりの転魔剣”の試し切りにも丁度良かろう?」

「……ダ、ダメですよ!大将自ら出陣なんて!」

「ロゼリエよ、私に意見するのか?元はと言えばローラシア担当魔人の貴様がしっかりしないのがいかんのだろう?」

……うぅぅ、藪蛇だったよ。勇者とか言ってもどうせ魔王様に勝てる訳無いだろうし、魔王様が地ならししてくれるというなら私も楽が出来ると言う物かしら?

「本気なんですね?カイエン様」

「勿論だ。ロゼリエ、ザナドゥ麾下の部隊を全てローラシアに回せ。それからオーク・キングを1匹、キメラの実験体を1匹程度ローラシアに放つのだ」

「本気でローラシアを墜とすぞ」

「カイエン様、オーク・キングは現在残り2匹しかおりませんが?」

「構わん。特異点ならまだしも召喚されたばかりの勇者ごときに倒す事など出来ぬだろう」

「魔王様、どうせなら2匹とも放ちませんか?その方がが確実にローラシアを墜とす事が出来るかと思いますが?」

「ふぅむ、確かにその通りではあるがワシが憂さ晴らしが出来ぬではないか?」

「はっ、それでは1匹だけオーク・キングを解き放つ事にします」


「ああ、それでいい」



        ◆◇◆◇◆


「国王様!ジョージ様!!王都の南方に攻め込んで来ている魔王軍の中に突如オーク・キングが出現致しました!!!」

「なっ?なんだって!!?オーク・キングだとっ?すぐに勇者ヤマト殿とチヒロ殿を派遣するのだ!」

「オーク・キングが……まさか我が国にも現れるとは……な、ぐぬぬ、やはり一刻の猶予もならん。魔王討伐を急がねばなるまい」

「勇者ヒロヤとアユム、キョウコ、トオル、マドカの五名もつけてやるのだ」


「はっ、!ただちに」


「ち、魔物が現れたって?そんなもんくらい、オズワルト達にやらせればいいじゃんかさ。俺達は勇者だぜ?魔王退治の切り札だぜ」

「大和君、腐ってないで早く行きましょう。経験を詰む事ができるんだからいいじゃない」

「勇者殿、今までの練習と違って今回の魔物は計り知れない強さの魔物です、気を引き締めてお願いします」

俺と千尋に向かい新兵の若い男が声をかけてきた。

よくみればガタガタ震えていやがる。

「よぉ、何震えてるんだ?たかだか、魔物討伐だろ?勇者様がいるんだ怖がる必要なんかないだろう?」

「ば、馬鹿言わないでください!これから向かう魔物は災害級の魔物オーク・キングなんですよ!!」

「オークなんだろ?」

「ち、違いますっ!!オーク・キングです。通常は軍隊で物量攻撃を行って倒せるかどうかという程の強力な魔物なんです」

「そんなに強いのか?」

「ええ、あれはまさに”災害”です。出会ったら過ぎ去るのを待つしか対策はありません」

「……それからチヒロ様は特にお気をつけ下さい。オーク族は他種族の女性に好んで生殖行為を行います。チヒロ様を見つければ当然狙ってくる筈です」


「……私、大丈夫かな?大和君」

「ああ、千尋は俺が必ず守ってやるから安心しろよ」

「大和君、弘哉君、聞く限り、とんでもない魔物のようだ。作戦をきちんと練って戦おう」

勇者達のとりまとめをしているトオル殿が提案をする。


(ふう、そうだちゃんと作戦を立て、連携して戦えば、いかにオーク・キングといえども倒せる筈だ)


「まず、私がオーク・キングの注意を引きますので、チヒロ様が【神の鎖ゴッドチェーン】で動きを封じ込め下さい」

オズワルト団長がそう提言する。

「なるほど【神の鎖ゴッドチェーン】で拘束すれば、あとは聖剣で斬り伏せるのみだな」

「それで、今回の戦いでいずれかが死ぬのような事があればキョウコ殿の【空間転移】でその者をタカシ殿の下へすぐ転移させてください」


……ふん、確かに妥当な作戦だろう。現状の俺達だとこんなものか?


「あ、あそこです!あそこにオーク・キングがいるんです!

さきほど気弱な様子を見せガタガタと震えていた若い兵士が先の町並みを指差して声を上げた。


「よし、じゃあ、俺が注意を引きつけるからな!後は任せたぞ」

そう言ってオズワルト団長が若い兵士が指差した町の方に走り出した。

その後を大和君が追いかけ、次に私が追いかけた。

正直言うとオークは怖いけど、私が行かなければ作戦は始まらないのだから……。


オズワルト団長が若い兵士が指差した町並みの壁に近づくと、突如爆音と共に壁が砕け散り、濛々と立ちこめる煙の中から巨大な……そうとてつもなく巨大な戦斧がニョキっと

姿を見せた。恐らく壁を砕いたのはあの巨大な戦斧だろうと思う。

……問題は、だ。あんな物騒な物を振り回しているのは誰だという事。

状況から恐らく、件のオーク・キングとか言う魔物なのが濃厚だ。

……なるほど、災害級とは上手い事言ったもんだわ。

私がそんな事を考えているとオズワルト団長がなにやらスキルらしき物を使っているのが目に入ってきた。

すると煙の中からやはり巨大な、小山のような何かがのそりのっそりと姿を見せた。


「ひぃぃ~~、オーク・キングだぁあ……」

その姿を見て若い兵士は頭を抱えて脱兎の如く、逃げ出していく。

確かにものすごい威圧感である。

練習で狩っていた魔物など比べものにはならない迫力だ。

その巨大な体躯も脅威であるが、なによりも手に持った巨大な戦斧が、恐ろしい。

あんな巨大な物を易々片手で振る舞わす怪力、武器など持たぬとも恐らく殴られただけでも非力な僕達人間ではひとたまりもあるまい。

なるほど……災害級と恐れられる訳だ。

オズワルト団長は懸命にオーク・キングを自分の方へと誘導しようと懸命にスキルを行使している。

すると、オズワルトの努力が実ったのだろうか?

巨大な魔物、恐らくオーク・キング打と思われる魔物の動きが止まり町並みへの破壊活動を止めてのしのしとオズワルト団長めがけて歩き始めた。

「チヒロ殿!今だっ!!!!」

オズワルトさんの叫びを聞いた私は【神の鎖ゴッドチェーン】をオーク・キングに向けて使用する。

するとおーく・キングの周囲の風景がぐにゃっと歪み、金色の鎖が何も無い空中から何本も飛び出てオーク。キングの巨大な体躯に巻き付いていく。

1本、2本、3本と巻き付くがオーク・キングの歩みは一向に止まらない。

何という力だろう、20本ほど鎖が巻き付いたところでやっとオークキングの歩みが止まった。

だが、その上半身は拘束出来ていないようで、オーク・キングはオズワルト団長めがけて巨大な戦斧を振り下ろしたのであった。

ズゥンッ

と鈍い音と共に無慈悲にオズワルト団長は斧によって叩き潰され、その命を散らしたのだった。

「お・オズワルトだ、団長……」

「千尋、気を抜くな!【神の鎖ゴッドチェーン】で拘束するんだ」

再び大量の鎖がオーク・キングに絡みついていく。

今度こそ、完全に動きが止まったか?

慎重に様子を伺い完全に動きが止まっているのを確認し、大和が光の聖剣を両手でしっかり握って突進していく。

次に弘哉が炎の聖剣を大和動揺両手で握りしめて突進していく。

「喰らえェッ!!オズワルトのおっさんの仇討ちだぁ!!」

大和が振るった聖剣は見事にオーク・キングの首を跳ね飛ばした。


「やったぜぃ!!」

「まだだ、油断するんじゃねえ」

大和君が歓喜の声を上げたが、すかさず弘哉さんが炎の聖剣でオーク・キングの胴体をVの字に引き裂いていく。

すると、炎の聖剣で切り裂かれたオーク・キングの断面から漆黒の炎が湧き上がり、オーク・キングの体をモヤしていった。

辺り一面にお肉が焼ける匂いが充満し始めた。

今度こそ、周りから歓声が沸き上がった。

「す、すごい……これが勇者の力……」

あの気弱な若い兵士が膝から地面に崩れ落ち、大和君と弘哉さんを見て何か呟いている。

「オズワルト団長ぉぉぉぅ!!!!!」

何人かの兵士が号泣しながらオズワルト団長の亡骸を取り囲んでいた。

そんな中を恭子さんが近づいてスキル【空間転移】で孝君の元へとオズワルト団長を転移させたのだった。

これで、孝君がオズワルト9団長を生き返らせる事だろう。


オズワルト団長の亡骸が転移で消え去ってすぐ恭子さんは自分自身を転移させたのだった。


本日書籍第2巻の発売揖斐です!!是非、お願い致します。

エアリーのイラストが超可愛いですよ!王家の面々のイラストも公開となります。アルトだけは公開済みのカバーイラストに登場してますが・・・。

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