第248話 ザナドゥの最期
なぜだか暴れ回る収納袋にわっふるは【重力の魔眼】を行使しているようだ。
重力に負けてどんどん、収納袋の動きが緩やかになり、ぼとっと床に墜落する。
「フフフ、やっとこの時が来たか」
その様子を見てなぜだか勝ち誇ったかのように笑い出すザナドゥ。
……やはり、これはザナドゥの仕業だったか。
『まいん、まいん、しゅうのうぶくろのなかでごーれむがあばれてるみたいだぞ』
わっふるが得意の気配察知で確認をしてくれたみたいでそんな事を教えてくれた。
ゴーレムが?なんで?確かに倒した筈なのに……。
『ゴーレム?さっき倒したよね?』
『ごーれむはかくをはかいしないとすぐにふっかつするー』
そうなのか?、だからさっきザナドゥのヤツが僕がゴーレムとの対戦歴が無い事を見抜けたのか。
倒した時は死んでいたから収納袋に入ったという事で、中で復活したので、暴れ出したって事か
地面に落下した収納袋を眺めているとまたピクピクと動きだし、中からミスリルゴーレムが飛び出してきた。
『わっふる、倒し方知ってる?』
『わふ~、こあをこわせばたおせるはず~』
う~ん。問題はそのコアをどうやって壊すかだよね。
シルフィかアイシャがいればアドバイス貰えたと思うんだけど残念ながら今は居ない。
……待てよ。居なくても聞く事は出来るじゃないか!
【念話】で聞けばいいんだよ!!
『アイシャ・シルフィ質問があるんだ、少し時間はいいかな?』
『ん?旦那様……質問?ザナドゥはどうした?ゲイザーは出現したのか?』
『ああ、無事に倒したよ。ザナドゥも間もなく死ぬと思う』
『おお、流石旦那様!!で、質問ってどうしたのだ?』
『ミスリルゴーレムを倒したんだけど生き返ってきてね……何でもコアというのを壊さないと駄目なんだって』
『ああ、ゴーレムだからな。確かにその通りだ』
『知ってるの?シルフィ あれってどうやって倒せばいいのかな?』
『一度バラバラに壊してやって、しばらく放置しておくのだ。そうすると核が浮かび上がってバラバラになった体を結合していくのだ』
『なるほど、じゃあ核が浮かび上がった瞬間を狙うんだね!?』
『そうだ。その通りだ』
……なるほどね
そういう事か。
だから、ザナドゥは僕が倒したゴーレムをコアを放置して収納に放り込むのを見て、戦った事が無いと断じた訳だ。
僕は再び自己強化を出来る限り行い。【武技:シャークグロウ】を叩き込む。
すると先ほどと同じようにミスリルの体に亀裂が入り、ゴトンとゴーレムに地に伏した。
『わっふる、コアってどれかな?』
『まってろ、まいん、さがすから』
動かなくなったゴーレムをじっと眺めていると拳大のミスリルの塊がふよ~っと浮かび上がりチカチカと点滅はじめた。
ん?ひょっとしてコレなのかな?
【気配察知・大】で確認してみると、点滅しているミスリルから大きな魔力の反応があった。
逆に言えば他の部分からは魔力の反応は全く感じない。
どうやら、当たりみたいだ。『わっふる、ゴー!』
僕がそうわっふるに号令をかけると嬉しそうに尻尾を大きく振りながらわっふるが核めがけて突進していく。
「わふっ」
そしてわっふる、必殺の【双神撃】で核は粉々に砕け散った。
これで大丈夫だよね?
「……ちっ、気がつきやがったのか。つまらん」
その様子を静かに後ろから見ていたザナドゥが呟くと力尽きたのか。目をつぶりピクリとも動かなくなった。
『わふ。ざなどぅしんだ』
『シルフィ、アイシャ……!ザナドゥを倒したよ』
これで魔王軍は大きく戦力ダウンの筈だ。
ローラシアやリッツの戦線にも影響が出るだろう。どちらの国もこれで持ちこたえる事が出来るんじゃないかな?




