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第25話 オークの集落(4)

だけど、僕の懸命の訴えは……間に…合わなかったっ……間に合わなかったんだ……。

なんでだ、なんでなんだよっ……!!



「なんで”キング”が先に来るんだっ!!!ちくしょうっ!!!!」



名前:オーク・キング

LV:56

種族:魔族

性別:♂


【スキル】

王の威圧

固有魔法・時空

リアライズ


【アビリティ】

咆哮



なんだ、このスキルは……。こんなの聞いた事もないぞ。

だめだ、取り敢えず、すぐにスキルを奪って封じないとっ……!


だが、50m程先に居た筈のキングが突然、目の前に現れた。


やばいっ!!僕は咄嗟にすぐ後ろにいた二人に抱きつき、そのまま後方へと移動した。


その僕等が立っていた場所に、キングがとてつもなく大きな金色の戦斧を打ち下ろしていた。



『ドゴォォォォォォォォォォォン』



振り返った僕が見た物は……直径10mにも及ぶ、巨大クレータだった。

もし、咄嗟に逃げなかったら危なかった。


なんで、いきなり目の前にヤツは現れたんだ?


『ホォ、イマノヲ カワシタカ、ニンゲンニシテハ ナカナカヤルナ』


「なっ!?喋った!?」


『ワレハ オウナリ タダノオークト イッショニ シテクレルナヨ』


ぐっ、今の攻撃力に加えて知能もあるとか……これは本気で不味いかもしれない。


『ヌ、ヤットキタカ グズドモメ』


オーク・キングが言った愚図共、それは僕達にとっては更なる絶望。

北側からオーク・ジェネラルが三体。とうとうこの場に到着した。



名前:オーク・ジェネラル

LV:27

種族:魔族

性別:♀


【スキル】

絶対回避

プロバビリティー


【アビリティ】


咆哮



名前:オーク・ジェネラル

LV:27

種族:魔族

性別:♂


【スキル】

アンビータブル

ディフェンスライズ


【アビリティ】

なし



名前:オーク・ジェネラル

LV:24

種族:魔族

性別:♂


【スキル】

ミティゲイト

魔術の極み


【アビリティ】

咆哮



「アイシャさん、騎士さん……今から僕は全力で戦います。……だから、二人はなるべく遠くに逃げて下さい。お二人がいると全力を出せません……」


「無茶よっ!?ジェネラル一体だって私達だけじゃ勝てないわ、戦うと言うなら三人一緒よ!三人なら万が一でも勝てる可能性が……」


「……そんな可能性はありませんよ、アレを倒すには……僕のスキルを全力で使わなければ絶対に無理です」


余裕を見せているつもりなのか、オーク・キングは僕達のやり取りをニヤニヤと笑みを浮かべて見ている。

攻撃をするつもりは今は無いようだ。


それに倣ってなのかジェネラル達も動こうとしない。


今が、チャンスだ。

一気にスキルを奪ってやる。


まず、一気にジェネラルのスキルを奪い取る。

【絶対回避】【プロバビリティー】【アンビータブル】【ディフェンスライズ】【ミティゲイト】【魔術の極み】を自分にペーストした。


時間的な余裕が無いため、アビリティは放置する。


そして、キングのスキルを奪い取る!


【王の威圧】【固有魔法・時空】……そして【リアライズ】


するとキングが持っていた巨大な金色の戦斧がヤツの手の中から消え失せた。

なんだ、何が起こった?あの戦斧はこのスキルが関係あったのか?


当然、キングも何が起こったのか分からない。

そりゃ、そうだよね。スキルが無くなったなんて普通は分かるわけが無い。


キングは驚いた表情で戦斧を持っていた筈の自分の右手をじっと見つめている。


「……キサマ、ナニヲシタ?……ナニヲ シヤガッタァァァァァァァ!!!!!!」


やっと、僕に何かされた事が分かったらしい。


さっきまでニヤニヤとしていた表情は完全に消え失せ、鼓膜が破れるんじゃないかと思うほどの叫び声を上げた。


「二人とも走ってっ!!!!!」


僕が大声でそう言うと、突然暴れ出したキングに本能的な恐怖を感じたのか、アイシャさんと女騎士さんは全力で掛け出した。


良かった、素直に逃げてくれて……此処でまだ一緒に戦うなんて言われたらまじでやばかった。


これで二人を巻き込む事を気にせず、全力で戦える。

走っていく二人の後ろ姿を見て、僕は決意を新たにする。


さあ、やってやるぞ!全力で抵抗をしてやるからな、簡単に殺せると思わないでよっ!!!!



まず、ジェネラルを倒す必要がある。

じゃないとアイシャさん達を狙われる可能性があるので、戦いに集中出来なくなってしまう。


ありったけの自己強化を自分に付与し、未だ動かないジェネラル三体目がけて全力で魔法を撃ち出した。



「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!」



【範囲魔法・火極大】【範囲魔法・風極大】【範囲魔法・水極大】【範囲魔法・土極大】


極大魔法を一気に連発した事で激しい爆音と衝撃が辺り一帯に凶器の如く、広がっていく。


「まだだっ、まだダメだっ!もっともっともっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


周りに飛び散った土砂や砂塵が収まりやまぬうちに、再び同じ極大魔法を連発する。

再び、周囲に爆音と衝撃が広がっていく。


モクモクと舞い上がる砂塵でどうなったか分からないが、少なくともジェネラルはある程度のダメージを受けている事だろう。


油断せずに砂塵の先を見つめていると、凄まじい勢いで大きな赤黒い塊が突進してきた。

事前に予想していた通りオーク・キングだった。


やはり、オーク・キングをこの魔法だけでは倒す事が出来なかったという訳だ。

ジェネラルは飛び出して来ないところを見るとやったのか?だがオーク・キングが突進してくる今、それを確認している時間なんてない。


突進してくるオーク・キングに対し、僕は両腕を十字に組み、その突進を受け止める。

普通なら勿論、あり得ない選択肢だ。


災害級の突進を受け止めるなんて。


だけど、ジェネラル達から防御系のスキルを奪い取り、それらを含めて自己強化を掛けまった。

レベルも大きく上がった今の僕なら……きっと止められるっ!!!


「こいっ!!!!受け止めてみせるっ!!!!」


「ニンゲンゴトキガァァァァァァ ナメルナァァァァァ」


ショルダーチャージとでも言うのだろうか、極大魔法で血だらけになりながらも肩から猛烈な勢いで突っ込んできていた。


まるで、僕の十字ブロックをあざ笑うかのように!!!



「ドォゴォォォォォォォォン!!!」



凄まじい衝撃音が辺りに響き渡る。


「ぐ、ぐ、ぐぎぎぎぎっ」


災害級と呼ばれるモンスターの突進を……僕は血だらけになりながらも受け止める事が出来た。


渾身のショルダーチャージを人間に止められた事がショックだったのだろう。

キング・オークの動きが一瞬止まった。


このチャンスを逃す訳にはいかないっ!!!!


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


ありったけの自己強化を乗せた【武技:シャークグロウ】をオーク・キングに叩き込んだ。

オーク・ジェネラルすら寸断した攻撃だ、これなら無傷とはいかないだろう!


……だが、僕の期待とは裏腹にその圧倒的な破壊力を鋼鉄短剣が受けきる事が出来ず、刃先がオーク・キングの腹に刺さったまま折れてしまった。


乾坤一擲の一撃は無傷とは言わないまでも期待通りのダメージを与える事が出来なかった。


とはいえ、傷を付けられた事など今まで無かったのだろう、咆哮を上げながら、その場で無茶苦茶な勢いで腕を振り回し始めた。


武技を放った直後の僕は体勢が安定しておらず、その力任せの攻撃をまともに受け、十数メートル向こうまで吹き飛ばされた。


余りの衝撃に受け身を取る事も出来ず、地面に転がり落ちる。

数メートル向こうまで転がり、勢いが無くなった頃には全身が傷だらけとなっており、再び血まみれとなる。


殴られた左腕は防御態勢を取る事が出来なかったからかスキルの効果も虚しく、変な方向に折れ曲がっており、ダラリとぶら下がっている。


「うがああああああああっ」


激烈な痛みから思わず絶叫してしまう。

スキルを授かってから、今日までここまでのダメージを受けた事が無い。


一方のオーク・キングもシャーク・グロウが不完全だったとはいえ、大ダメージは受けている。

その痛みからか、今は足が止まっており、唸り声を上げながらこちらを睨み付けている。


その隙を逃さず【魔法・回復大】と【魔法・回復小】を使い、ダメージを回復していく。

全回復をする余裕は無いので、ある程度の回復が済んだ時点で【補助魔法・徐々回復大(体力)】を使っておく。


これで多少でもマシになってくれるだろう。


それよりも現状の打開策を考えなければならない。


ヤツも武器を無くしたが、僕も鋼鉄短剣を無くしてしまった。

”始まりの短剣”もあるが、アレは鋼鉄短剣よりも格下の短剣だ、オーク・キングに通じるとは到底思えない。


お互いに武器を無くしたという点では、同じだが状況は僕の方が圧倒的に不利だ。


今、大ダメージを喰らったように、タイミングさえ合えば、ヤツの攻撃は僕のスキルで固めた防御を突き破ってくる。

消耗戦になれば、いくら回復をし続けてもジリ貧になるのは目に見えている。


反対に武器が無い僕が今打てる手は【格闘・極】位だろう。

攻撃力を底上げするスキルを併用すれば、それなりにダメージは与える事は出来るかもしれないが、だが今までの例から考えるとこちらの拳が受けるダメージの方が深刻と言わざるおえない。

せめてナックルガードの類があれば、なんとかなるのだろうけど今この場に無い物をねだっても仕方ない。


……魔法という手もあるが、ジェネラルを殲滅した魔法の波状攻撃ですら、ダメージを少し与えただけだ。


何か、使える武器があれば……。


ん?武器……、か。ひょっとすると何とかなるかもしれない。


僕はオーク・キングの動向を注意しつつ、自分の考えが正しいのかを確認するため、あるスキルを鑑定するのだった。


お読みいただき、ありがとうございます。


長らく続いたオークの集落編、いよいよ次回で決着がつく予定です。


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