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第244話 シーラ姫出奔

「マリーヌ、居る?私よ、シーラ」

父王と物別れをした後、私は早速この国を出奔するべく準備に取りかかった。

まず最初に行ったのは、親友のミレーヌとその妹であるミレーヌの説得だ。

彼女たちがこの国に残れば父は間違い無くまた勇者召喚を二人に強いるだろう。

そんな事は絶対に認められないので、私が連れ出して一緒にオーガスタに亡命してもらうのだ。


「姫様?ジョージ様との話し合いは終わったのですか?」

「ええ、終わったわ。それであなたたち姉妹に話が合って来たのよ」

「お話ですか?」

怪訝そうなマリーヌを説得して、事情を説明して、付いてきてくれるように頼み込む。

「マリーヌ、お願い、付いてきて。あなた達を死なせたく無いの」

マリーヌはゆっくりと深呼吸をして考え込み始めた。

「姫様、そのマイン殿とファーレン様も信用に値する人物ですか?」


マリーヌの心配は当然だ。

ファーレン王やマイン殿が野心家だった場合、マリーヌとミレーヌはオーガスタ王国でも勇者召喚を迫られる可能性があるのだから

「短い時間しかお話出来なかったけど、どちらも良い人だと思ったわ。マイン殿には私も嫁ぐ事になるのだから当然、厳しく観察したわよ」

「え?待ってください、姫様嫁ぐってどういう事ですか?」

「マイン殿のクランに入れて貰うようお願いしたら、マイン殿の秘密を明かせないのでダメだと……身内になれば教えれると言う事でしたのでその場で求婚したのです」

「姫様……馬鹿ですか?」

「どこにそんな理由で求婚する一国の姫がいるのですか?」

「いるわよ、ここに」

「いいアイデアだと実際思うわよ?オオセ以外の第一王女が全員、マイン様に嫁ぐのだからお互いの国の結束に一役買うでしょ?」

「姫様は本当にそんな事でご結婚されても良いのですか?」

「ええ、構わないわよ。あの父上の事だから政略結婚の駒と私の事考えていたでしょうから寧ろ自分の意思が繁栄されるこの

結婚を進めた方が良いでしょ?」


「……わかりました。姫様が納得しているのならこれ以上は申しません」

「ああ、それから姫様、私とミレーヌはおそらく国外には参る事は出来ません」

「それは、何故?」

「勇者が私とミレーヌの身柄を報酬として求めております。もし国外に逃げれば勇者が追っ手となり、オーガスタに迷惑をかけるでしょう」

「勇者と言ってもまだ戦闘経験が未熟な者なのでしょう?マイン殿に勝てるとは思わないけど……彼はオーク・キングやトロールゲイザーを単騎で倒せるのよ」

「……はぁ、ソレは凄まじいですね。けど、迷惑な事には変わらないでしょう?」

「とにかく、一緒にいらっしゃい。あなた達を置いて何ていけないもの」

「判りました。姫様がそこまで言うならお供させて頂きます」


        ◆◇◆◇◆


「勇者ヤマト、チヒロよ。魔王の居場所が判明した。騎士団長のオズワルトが案内するので、討伐して参れ」


「ちょっと待ってよ、おっさん。こちとらまだ戦闘に慣れてもいないんだぜ。いきなり親玉やってこいといわれえてもな」

「そうよ、無茶な戦いで私達が負けたらもう後が無いんでしょ?もっと慎重にいくべきよ」

「何度も言うが、我が国はもう後が無い。時間が無いのだ。魔王軍の攻勢は非に勢いを増しておる」

「……例えお前達が負けても勇者タカシがおる。生き返る事が出来るのだ。安心するがよい」

「なんだって?俺たちが死ぬのが前提かよ?」

「嫌ならマリーヌとミレーヌはお前達に渡さぬぞ」

「汚ねえ……どこまでも腐ってやがるなアンタ」

「私は関係無いので辞退します。大和君、ハーレムの為に頑張るのよ」

「待てよ!千尋!お前が居ないと勝ち目なんてゼロだろうが」

「私は別にこのおっさんの元で戦う約束もしてないし、する気もないので、大和君と孝君で頑張るのね」


そんな事で足並みが揃っておらず、不穏な国王のおっさんが苛々しているので空気が不穏なものになってきた。

だが、そんな空気をも者ともせずに騎士団長のオズワルトが国王の側まで来て耳元で何かを告げたみたいだ。

すると、不機嫌だった国王はあらに不機嫌になり、大声で怒鳴り始めた。

「勇者達よ、もう一度言うぞ、魔王を討ってこい!そうすれば褒美は望むままじゃ!!」


        ◆◇◆◇◆


父達が謁見の間にいる今がチャンスだ。

私とマリーヌ姉妹は馬車をジャックしてローラシア王国を飛び出した。

出発時にオズワルトに見つかってしまったが、大丈夫だろう。すぐには追っ手は来ないと思う。

馬車を全力で飛ばしても、目的のオーガスタ王国までは2日は掛かってしまう。

私は、馬に回復魔法をかけ続け、休憩すること無く、先を急ぐ事にした。

私達が心配しなければいけないのはローラシアの追っ手だけでは無い。魔王軍も国内には彷徨いているのだから。



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