第232話 始まりの弓(3)力の迷宮(ダンジョン)
「前もそうだったけど、流石に此所には誰も並んでないね……。
まあ普通、トロールゲイザーと好んで戦おうとする冒険者はいないからね」
「……早速、中に入ろう」
「シルフィ、アイシャ……もしトロールゲイザーだったら、僕が戦うから二人はいいと言うまで絶対に手を出さないでね」
注意事項を二人に話してボス部屋の中に入ると運良くか悪くなのか、待っていたボスはトロールゲイザーだった。
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名前:トロールゲイザー
LV:56
種族:魔族
性別:♂
【スキル】 超再生 魅了の魔眼 豪腕・聖
【アビリティ】 無し
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さっさとスキルを【カット】してしまおう。超回復はとにかく厄介だ。
前回と同じようにトゥワリングで一気に殲滅が無難だろう。
まず、ゲイザーの足の裏を地面に【ペースト】だ。 これで、満足には動けない筈だ。
動きを封じたところで素早く後ろに回り込んで、っと……。
【身体強化・大】【腕力強化・極】【脚力強化・小】【豪腕・極】【豪腕・聖】【ストレンクスライズ】を連続して使用する。
そして【リアライズ】からのトゥワリングを生成。
「喰らえぇぇ、【武技:シャークグロウ】」いつもながらの凄まじい爆音と共にシャークグロウはトロールゲイザーを 真っ二つに叩き斬った。
トロールゲイザーがそのままズズゥンと崩れ落ちると代わりにすっかり見慣れた片手剣”ライナススワード”が落ちていたのだ。
「よし、出た。これでお義兄さんに渡せるな」 「シルフィ、ライナススワードが出たよ」 「おお、兄上も喜ぶだろう。旦那様、すまない」
よっし!!これで、ミスリルゴーレムへの挑戦権は得たという事だね。
後は下へ下へと進むだけだ。
「しかし、トロールゲイザーが一撃か。相変わらず旦那様の力は規格外も良いところだな」
前回の戦いと同じ展開なんだけど、前回居なかったシルフィには思うところがあったようだ。
しみじみとトロールゲイザーの亡骸を見つめて独り言を呟く。
「父上にこれを見せたらまた、面白いだろうな ククク」
「さて、これでミスリルゴーレムへの挑戦権は得た訳だ。次の階層へ向かおうか。
ここからは未知の階層だから気を引き締めて行こう」
僕達は意気揚々と転送石に手を触れてから、次の階層への階段をゆっくりと降りていくのだ。
「力の迷宮は基本的に力が強いタイプの魔物で構成されているの、だから次の階層もそういう類いの魔物だと思うわ」
アイシャが階段を降りている最中に次の階層の予想を話してくれた。
確かに1階のスライム以外はそういう傾向がある。次の階層も恐らくその類が居るのだろう。
一体どんな魔物が待ち受けているのか?そしてどんなスキルが手に入るのか気になる所だね。
階段を降りて細い通路を歩きはじめて間もなくすると見慣れない人型の魔物がを発見したのだ。
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名前:パワーデーモン
LV:65
種族:悪魔族
性別:♂
【スキル】 火炎撃
タイムコントロール
ファイアランス
幻影
【アビリティ】 衝撃波
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悪魔族だって!?なん何だあれは?スキルも聞いた事が無いのを沢山持ってるぞ。
よく見てみると大きな盾を全員背中に背負ってる。
何だろう、妙にあの盾が気になる……。
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名前:ミラーシールド
階級:超級
属性:無属性
特性:魔法を反射する▼
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な、何っ!?魔法を反射する盾だって!!!!?
危ない、危ない。気がつかずに極大魔法を撃ってたらこちらが全滅するところだったよ。
取りあえず分け判らないスキルだけど、まずは全部【カット】しておいてスキルの詳細については後でゆっくり【鑑定】してみよう。
「アイシャ、デーモンだって、あれ知ってる?」
「デーモン?あれが?劣化魔人と聞いた事があるけど、こんなとこに居たのね」
「劣化魔人だって!あれが?となると相当な強敵じゃないの?」
「勿論強敵でしょうけど本当の魔人と比べれば”劣化”と言う位だから弱いと思うわよ、魔人のように余り類を見ないスキルを持ってるのが特徴みたいよ」
「そういう意味ではマイン君にしてみれば有りがたい敵と言えるんじゃないかしら?」
う~ん、確かに見た事も無いスキルを持ってるから美味しいと言えば美味しいんだけど……。
ただ、こんなに徒党を組まれていると結構脅威だね。
そう、見た目は全く同じデーモンが四体で徒党を組んで歩いてるんだ。
スキル構成を見ると徒党組んでいる奴らはほぼ一緒でファイヤランスが別の物になっている感じだね。
具体的には、”ファイアソード””アイスソード”アイスランス”みたいな感じだ。
……しかし、魔法が駄目だとなると近接戦闘か……。多人数との乱戦になるよね。スキルは【カット】してあるから、弱体はしてるのは間違い無いわけだけど……。
未知の敵しかも強敵と判ってる相手だ、慎重に行こう。
テンペストエッジとライトニングエッジをぎゅっと強く握りしめて
【アンビータブル】【ディフェンスライズ】【豪腕・聖】【腕力強化】を連続して使用する。
その様子を見てアイシャが心配そうに声をかけてくれる。
「……マイン君、絶対に無理はしないで、気をつけてね」
「うん、気をつけて行ってきます。ついでにあの盾も奪ってくるよ」
うん、出来れば複数、この盾は確保しておきたい。フランツさんをはじめ、うちの騎士団全員に回るようにしたいよね。
よし吶喊だ。
「僕は深く息を吸い込み、デーモン目がけて突進はじめる。」
だが、気づかれたみたいで、戦闘のデーモンがこちらに向かって指を指してきた。
すると、徒党を組んでいた他のデーモンが一斉にこちらに向けて盾を掲げてきた。
盾の表面がまぶしく光りはじめこちらに向かって魔法らしき物が一斉に飛んできた。
「こ、これは……一体。」
「旦那様ァァァーーー」
シルフィの悲痛な叫び声が聞こえる。
とっさの事だっただけに僕はその魔法らしき物を避ける事が出来ず、まともに喰らってしまった。
「痛ゥ……」
何だったんだ今のは。
受けてみた感じ魔法みたいだったけど。あの盾は魔法を跳ね返すだけじゃ無く魔法も打ち出せるのか?
さっき【鑑定】したときにそんな情報は無かったけどな……。【魔法・回復大】を掛けながら僕はゆっくりと立ち上がった。
くそぉ、全身が灼けるように痛い……、何だったんだ、一体攻撃が命中したので油断してるのかデーモン達は僕を指差しながら
笑っている?ようなそぶりを見せている。
くそ、見てろよ、その余裕の表情が出来ないようにしてやるぞ。
取りあえず、僕は【ペースト】でデーモン達の足を地面に貼り付けていく。
更に隣接しているデーモン同士の体を【ペースト】で貼り付けていく。
これであいつらはまともに行動出来ないだろう。
地面から足が離れない事に気がついたデーモンの一体が、「ギャ、ギャギャ」理解不明な叫び声を上げて暴れ出した。
だが、暴れるデーモンに釣られて体がくっついているデーモン達はブンブンと振り回されている。
だが、それでも地面から足が離れないので、デーモン達はパニックを起こし始めた。
よしっ!好機だ!
僕は体の痛みを気合いで無理矢理押さえ込み、デーモン達に切り込んでいった。
テンペストエッジの切れ味は凄まじく、軽く振り抜いただけで次々にデーモン達の腕や足が切り落ちていく。
「うわっ何だこの切れ味は!?」
以前、鋼鉄短剣を初めて使った時にもその切れ味に驚いたけれど、このテンペスト・エッジはそれ以上の驚きだよ……相変わらず意味不明の叫び声を上げながら次々とデーモン達は血に伏していく。
益々、アイシャの弓を作って上げたくなったよ。
ミスリルインゴットの目処も立ったし、大幅な戦力アップは間違い無いね。
デーモン達に【カット】を使用し、次々に収納袋に放り込んでいく。「こいつら売れるのかな?」
「おっと、忘れちゃ行けない。ミラーシールド4つも忘れず収納袋に放り込んでいこう」
いつも拙作をお読みただきありがとうございます。
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簡単な作品に関するアンケートや更新に関する情報をつぶやいております。
緊急にお伝えしたい事などもツイッターでまずつぶやいています。直近ダトコミカの件とか
また、ツイッターと活動報告でも告知済みですが書籍第2巻の発売が決定しました。
現在書籍化作業中です。
★2018年1月10日に発売です★
また本作のコミカライズが決定しました。
具体的な詳細はまだ出ておりませんが順次、ツギクル様の作品ページや私のツイッター、活動報告などで
ご案内致します。
また、病気で倒れて以後の誤字については順次対応予定です。
実生活が中々落ち着かないため、なかなか即時の修正は出来ません。
なお、皆様にはどうでも良い事ではあるのですが近く、引っ越しを行います。
それに伴い、通信環境や生活環境が変わりますので、月水金の更新が出来ない日も出てくる可能性があります。
更新出来ない場合、ツイッターでまずその旨、告知します。