第223話 マイヤの遺産
僕のお嫁さんにまで手を出そうとしたら流石に黙ってられない。
アイシャとシルフィは大丈夫だろうけどサーシャにはちゃんと危険人物だと教えておかないとね。
セシル団長が引き上げていったのを確認して僕は居間に戻った。
すると家族全員が集まっており、僕の言葉を待っていた。
「ガーネット様からの文だった。マイヤさんが危ないらしくて僕に来て欲しいって」
「僕の言葉を聞いてアイシャとシルフィが俯いてしまった……。
それはそうだろう。知り合いが間もなく死にそうだと聞けば気分だって落ち込むよ。
「そんなわけなので僕はこれから王宮に行くよ」
そう言って【固有魔法・時空】を使用する。
「だ、旦那様、私も行ってもいいだろうか?」
そうか、そうだよね。シルフィはマイヤさんの事を当然良く知ってるのだから気になるだろう
僕は無言で頷きシルフィに手を差し出した。
すると、顔をぱっとほころばせてシルフィが僕へと抱きついてきた。
「じゃあ、行ってくるよ。何かあったら【念話】で呼んでくれればいいから」
僕がそういうとサーシャだけはて?という表情を見せて悩み出した。
そうか、サーシャは【念話】も知らないんだっけ。
どこまで話すかと思案しながら僕とシルフィは黒い渦へと飛び込んだ。
いつもの部屋に到着するやいなやシルフィはミーティアさんを呼び出さずに
そのままツカツカと部屋を出て行ってしまった。
僕は慌てて後を追いかける。
そして、王宮の随分奥までやってきて大きな扉の前で立ち止まる。
「母上、母上、私だシルフィだ旦那様を連れてきましたよ」
シルフィの声が聞こえたのか扉の奥からドタドタと慌ただしく足音がきこえてくる。
「マイン君!良く来てくれたわ、早速マイヤの所に行きましょう」
「ガーネット様、そ、そんなにマイヤさんは良くないのですか?」
「私の未来視だとそう長くないわね、もって今日のお昼くらいじゃないかしら……」
ガーネット様についてマイヤさんの元へ向かう僕達。
「マイヤ、私よ、入るわね」
「マイヤさん、マインです」
「ああ、良く来てくれたね、以前約束した通りさ、私のスキルを持って行っておくれ」
「判りました、失礼します」
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名前:マイヤ・キシモト
LV:36……
種族:ヒューム
性別:女
年齢:41歳
職業:オーガスト大国専属錬成士
【スキル】
錬成・強
魔纏衣
鑑定・全
【▼≠◇&】
●〒〃 ●〒〃♀
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マイヤさんに言われるままにスキルを【カット】していく。
読めない文字の勇者スキルだっけ?これも【カット】する事が出来た。
「終わりました」
僕がそう告げると「ククク」とマイヤさんは笑い出した。「本当にスキルを持って行く事が出来るんだねえ……
後で【魔纏衣】と【女神交信】については使い方を教えるよ。
それまで帰らないでくれよ」