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第217話 オオセ国王への手紙。

国王様に命じられ僕は即座にクランハウスへと【固有魔法・時空】を繋いで、すぐさま黒い渦へと飛び込んだ。

「ルカ様 王宮へ参りましょう」


「えっ?は、はい」

突然の事に驚き、まだぼんやりとしているルカ姫を抱き上げて僕は再び、黒い渦へと身を躍らせた。


王宮に戻った僕を待っていたのは国王様でも無く、メイドさんでも無く、二人の妻達だった。


「マ~イ~ンく~ん」

「だ、旦那様」

二人は珍しくその美しい顔を顰めながら僕ににじりよってくる。よく見てみると

二人の視線は抱きかかえているルカ様へと向かっているようだった。

『マイン君、妻である私達を放っておいて、一体何をしているのかしら?浮気?』


『ち、違うよ、アイシャ、この人はオオセ王国のルカ姫だ』

『……え?ルカ姫様?姫様!本当ですか?』

『本当さ!ねっ、シルフィ?』

『ああ、確かにルカ様だ、だが旦那様、何故?そのルカ姫様を抱いているんだ?』

まさかのアイシャからの浮気疑惑……否定してもらおうとシルフィに話を振るも却ってこじらせる結果に……。

「……えーっとお久しぶりですシルフィード様、ご結婚されたそうでおめでとうございます」

僕が困っているとルカ様が助け船を出してくれたのだ。

「あ、ああ久しぶりだルカ様、それで何故旦那様と?うちの王宮にいるんだ?」

「……マイン様は魔王軍に捕らわれていた私を助け出してくださり、ファーレーン様に引き合わせるためにこちらに連れてくださったのです」

「えっ?魔王軍?」

「そうなんだ……それにねアイシャ、シルフィ二人に後で大事な相談があるんだ」

僕は二人を引き連れて国王様へ面会を申し出る。

対応してくれたのは勿論、いつものメイドさんだ。


「いつも、ありがとうございます、あ、それからご結婚おめでとうございます」

「ありがとうございます、マイン様、マイン様もおめでとうございます」


「……あ、はい。ありがとうございます」


結婚?とキョトンとするシルフィにセシル団長と結婚するらしいよと伝える。

「……ご結婚ですか?お幸せそうで良いですね……」

消え入りそうな声でルカ姫がそうつぶやいた。

「さきほどの方がマイン様にもおめでとうって……」

「ああっ旦那様も今度三人目の妻を迎える事になったのだ 私とここにいる聖弓のアイシャ、あとリッツのサーシャリオン姫様が旦那様の妻だ」

「……え?サーシャリオン様ですか?……羨ましい」




「セ、セシル団長だ、とぉ??ミーティアまで……毒牙に……あの女の敵めぇ……」


メイドさんの名前はミーティアと言うらしい。

シルフィの怒りの形相に慌てたのかメイドさんはとててとどこかへと走って行った。国王様に僕の来訪を伝えに行ったのか。


さっきからそれほど時間も経ってないから、執務室でオオセ王への文を書かれていると思うんだけどな。


「マイン……速かったな?お、そちらがルカ殿か!!?これでオオセのジャック殿も安心出来るであろう良かった、本当に良かった。マインよくやってくれた」

「ミーティア、すぐにセシルをここに呼んで参れっ!!」


「は、はいっ!陛下」

ん?セシル団長を呼んでどうするんだろ?本当に罷免するんだろうか?

10分ほど経過し、息も絶え絶えとミーティアさんが婚約者であるセシル団長の手を引いて戻ってきた。

「ミーティアなんだい?いくら結婚するとはいっても今は仕事中だよ」

セシル団長は部屋に国王様や僕たちがいる事に気がつかないようだ。部屋の隅のベッドをちらと見て、ミーティアさんの顔を見る。


本当にあの人団長なんて大役務まっているのかなあ?うちのフランツ団長とは全く違うぞ……。

「セシルよ、何を寝ぼけておるか!?等言えば貴様の病気は治るのだ?王宮付きメイド長に手を出すとは覚悟は出来ているんだろうな?」

国王様が眉をしかめて不機嫌そうに声を掛ける。

そこでようやく

僕たちの存在に気がついたようだ。

ミーティアさんには悪いけど、この人、首にした方がいいかもしれないね。危機管理がここまで出来ないとちょっと問題だよ。

うちの騎士団だったら即、首にするかな。


「これはこれは陛下、そしてシルフィード様相変わらずお美しい……して、私にご用ですかな?」

「セシルお前はこれより、この文をリッツ王国のエリック国王陛下に届けてくるのだ」

「……わ、私が伝令ですと騎士団長の私がっ……!!」

「……不満か?なら選ぶが良い、降格か伝令に向かうか、好きな方を選べ」

「なぜです!?」

「ふう、ここまで愚か者だったとはな」

「勿論、謹んで拝命致します。また、陛下にお願いがございます。この度こちらのミーティアと結婚する事になりまして……式を執り行いたいのですが出来ればマイン殿とサーシャリオン様との式と合同で行わせて頂けましたら……

「お前は馬鹿かっ!!そんな戯言言ってる暇があるならすぐにリッツに向かうが良い。火急の文だ、良いな」

セシル団長は国王様から文を受け取り駆けだした。ようやく状況が呑み込めたらしい。


「国王様……」

僕がそうつぶやくと「言うな、マイン分かっておる」

一方シルフィがミーティアさんに本当にあの人なんかで良いのか?と質問していた。

それはそうだろう。僕から見ても問題がありすぎる。

これまでお世話になってきた彼女には幸せになって欲しいと思う。

シルフィは尚更だろう。アイシャはというと「もう帰りたいわと呟いていた」


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