第214話 CASE:カイエン
……ほう、やはり侵入者がいたか。
だが、まてこの反応は息子の奴隷、ピロースとかいうダークエルフか。
確か、息子の話では、奴隷契約は突然破棄されたらしいので、この村に居るのは確かにおかしい。
恐らく特異点の仕業なのは間違い無いだろう。
だが、流石に特異点は結界に引っかからないか。
……ん?オオセの姫の姿が見当たらない。
……なるほど、それが目的と言う事か。だが、好都合と言えば好都合だ。
何かと邪魔になるだろう特異点をここで始末出来ればそれにこした事は無い。
まずはピロースを確保して特異点の居場所を聞き出すか。
ピロースは……今息子の家か。
「ま、魔王様ッどちらに?」
側近のマスカレイドが私に問いかけてくる。
「ねずみ駆除に行ってくるだけだ」
◆◇◆◇◆
「ピロース、大丈夫か?」
「ああ、平気だ。これは結界にひっかかっただけの事だ……拘束されたわけでは無いからな」
僕は逃げ遅れたピロースに必死に声を掛ける。
「これでカイエンに見つかったのは間違い無い」
「急いで、来るんだ。【固有魔法・時空】を切るから!」
ピロースに掛かっていた魔王の結界もピロースが移動を開始すると
僕の必死の叫びが届いたのか、ピロースも黒い渦の中へと飛び込んで来た。
僕とルカ姫、ピロースの三人は急ぎ、黒い渦の中の通路を駆けていく。
そして、無事クランハウスへと到着すると同時に【固有魔法・時空】の接続を切る。
「……ふうう、これでひとまず安心だろう。」
「ああ、これで一息つけるな」
ピロースと二人で顔を見合わせてお互いの無事を喜び合う。
「……えっと助けて頂きありがとうございます」
僕らの会話を見計らってルカ様が深くお辞儀をしながら礼を述べてきた。
「えっと、改めましてルカ様、僕はマイン、マイン・フォルトゥーナです。」
「あ、私はオオセ王国のルカ・オオセです」
「……あ、あのマイン様、先ほどピロースから聞いたのですが、私が妊娠しているというのは本当なのでしょうか?」
「ええ、僕のスキルで確認したので間違いはありません。」