第211話 ルカ姫救出作戦(4)
あの時僕は確かにザナドゥのヤツを見た。と言う事はあそこがオオセ王国の可能性が高いはずだ。
僕は目をつぶりあの時の光景を脳裏に思い出していく。
そして【固有魔法・時空】を使用した。 「う~ん自信ないんだけど……多分オオセ王国に繋がった筈」
「自信無いとはどういう事だ?お前のスキルで行けないのなら徒歩か馬車での移動になるが……」
「い、いや待ってくれよ。僕は国外に出たのはヨルムンガルド様の背中に乗って移動した時だけなんだ。
僕のスキルは行った事がある場所にしか基本的にいけないんだ。
……だから、偶然見かけた魔王軍に攻められている街に繋いだんだザナドゥがいたからきっとオオセだと思ってね……」 「……ふん、そういう事か。よかろう。先に私が行って様子を見てこよう。そうすればきっとわかる筈だ」
ピロースはそう言い残して黒い渦へと入っていった。 そして……数分待っていると再び黒い渦からピロースが顔をひょっこりと出した。
「マイン、でかしたぞ。確かにオオセ王国だ。目的の場所からも比較的近い。良い場所だぞ」 よしっ!最上の結果だろう。思わず僕はガッツポーズを取ってしまう。
向かうメンバーは、僕とピロース、わっふるとクゥでいいよね。 シルフィとアイシャは僕の大事な奥さんだ。流石に魔王のいると思われる場所には、連れてはいく事は出来ない。
……万が一ルカ姫と同じような目にあったとしたら僕はショックで死んでしまうだろう。 「わっふる、クゥ行こう」 僕がそう二匹に声をかけると待ってましたとばかりにわっふるは僕の頭に乗っかってくる。 クゥはそのわっふるのまわりを嬉しそうにふよふよと浮かびながら回転しながら飛び回っている。 わっふる達が付いてくるのを確認し、僕も黒い渦へと飛び込んだ。 黒い渦を抜けた先……ああ、確かにあの時の町だ。はて、ピロースはどこだろう? 「ピロースここからどっちに向かうのかな?」 すぐ後ろにいたピロースに声をかけながら僕は素早く【地図】を脳内に展開する。 「あ、…あぁここから南に向かうと小さな村があるはずだ。そこが魔人の村だ」 南、南か……。ああ、確かにあるな。 「うん、ピロース、地図スキルで確認できたよ。」 よし、ついでに村を調べて見よう。地図スキルで村の中に確認出来る生物反応を調べて見る。 ……ん?なんだこのひときわ大きい光点は?早速【鑑定】してみよう。
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名前:カイエン
LV:96 種族:魔王 性別:男
【スキル】
消滅
六道地獄
炎鎖結界
千里眼
【アビリティ】 無し
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なんと、魔王だ、ピロースの言った通りだ。 スキルもなんだか物騒な物が揃ってるな……。 対面する前に危なさそうなスキルは【カット】しておこう。
【炎縛結界】というのは直接攻撃してくるような物じゃないさそうだから後で【カット】でいいや【炎縛結界】というのはピロースが言ってた結界かもしれないね。
くわばら、くわばら……。
「ああっ!やっぱりいるぞ!!!魔王カイエン スキルも随分と物騒なのを持ってるね……」
「ほう、……やはりいるのか?これは予想通りカイエンとの戦いは避けられんな、まて、ザナドゥはどうだ?やつが居たら面倒な事になるぞ」
ああ、なるほど、確かにピロースの言う通りだ。
僕は再び【地図】を開けて村を確認していく。……ん?
「どうした?ザナドゥを見つけたか?」
いや、違う。僕が見つけたのは……。
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名前:ルカ・オオセ
LV:9
種族:ヒューム族
性別:女
年齢:16歳
職業:オオセ王国第一王女
【スキル】
癒やしの唄
高速歩行の唄
目くらましの唄
状態:妊娠
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「いや、違う、ルカ様を見つけた……やっぱり妊娠してるみたいだ。畜生、ザナドゥめ」
ザナドゥのやつはどうもここには居ないみたいだ。
僕たち一行は、雑談や、魔王のスキルについて話しながら足早に魔人の村へと歩みを進めていく。
20分ほど歩いたところで村のある方向にな高さ50メートルはある炎のようなもやがかかったような壁の姿が目にとびこんできた。
「……あ、なんだあの壁みたいなものは?」
「ああ、あれが魔王の結界だ。」
「なるほど、あれがさっき見た【炎鎖結界】」ってヤツなのか?
スキルを【カット】してしまえば結界は消えるかもしれないな?いや、ダメだスキルが使えなくなった事に魔王が気づけば当然、僕らの潜入はバレてしまう。
それでは元も子も無い。侵入に気がつかれないようにしたいのに気がつかれてしまうような事をしたらダメだろう……。
「さて、どうする?マイン。アレに触れれば即魔王に感知されてしまうぞ。」
ピロースが顎に手をやり真顔で僕に問いかける。
どうもピロースはノープランのようだ。
「うーん。【固有魔法・時空】を使って結界の内側に飛び込みましょうか」
……そうだ、【地図】+【固有魔法・時空】を使えばあの結界に接触せずに村に潜入出来るだろう。なんだったらルカ様のいる部屋に直接飛んでもいいだろう。