第203話 神獣ヘルと魔王カイエン(1)
『そ、そういえばケートス様……リザードマン共が何故入り口に罠を設置したのかわかりますか?』
ピロースがケートス様に問いかけた。
確かにそれは私も疑問に思ってた。
『それは残念だけど、私もわからないねえ、私は海洋生物を司る神獣だけど、リザードマンは管轄が違うからね
アレは魔族に分類されるから……私じゃなくヘルの管轄なのでその行動については残念ながら私では分からないんだよ。
ヘルに聞いてあげようか?』
『はい、出来るならば……』
『本当はフェンリルを通して聞いて貰う方がいいんだけどね。』
『ヘルのヤツ、フェンリルには頭上がらないからね』
『……ふんふん、なるほどね。それはヘルあんたも了承した事だろう?
私達神獣十柱はマインに協力するって!』
『アイシャ……と言ったね、よくお聞き、ヘルから事情を聞いたから…… さっきも言ったようにヘルのやつは
魔族を司っている神獣だ。魔族を統括している者……つまり、魔王カイエンからヘルにクレームが入ったらしいんだよ。
神獣がヒューム族に肩入れしているから自分にも協力して欲しいとね。……つまりフェンリルや私達がマインについた事が気に入らないみたいなんだよ
そこで、カイエンはヘルに味方になって欲しいと要請をし……ヘルがそれを請け、カイエンに手下として新たにリザードマンとアンティカをカイエンに提供したみたいだね。
つまり、今回の罠は魔王カイエンの指示という事だよ
どういう事かわからないけど、あんた達がここに来るのを知ったらしいカイエンが茶々を入れてきたというのがリザードマンの罠の顛末みたいだね』
『……ケートス様、アンティカとは?』
『砂漠を根城にしている蟻型の魔族の事さ』
『全身に堅い甲殻を纏っていて強力な酸液を吐き出す厄介な魔族さ。お前達も戦うような事があれば気をつけるんだよ』
『魔王に神獣ヘル様がついた……ですって!?それって結構大変な事なんじゃないの?今まで魔族と言えばオーク・コボルト・ゴブリン
位だったけどこれに二種族追加されるという事よね……それって魔王軍の物量が増えるって事でしょう?
最悪・ヘル様自体と対峙する可能性もあるかもしれないという事でしょう……?それに、そのアンティカとか言うのもぱっと聞くだけで
相当厄介そう……。
昔倒したサソリの魔物になんとなく似てる気がするわね。尤もマイン君なら苦労する事もないでしょうけど……。』
……そう、マイン君なら、極大範囲魔法もあるし、新しい異世界の武器もある。たとえ魔族が大群で押し寄せてきても、跳ね返す力があるだろう。
オーガスト王国はマイン君がいるから安泰だけど……、周辺国にとってはこれは驚異意外何者でもないわね。
今魔王軍と主だって交戦しているのはリッツ王国とローラシア王国の二国のはずだ。
この二国も場合によっては先日滅亡したオオセ大国と同じ道を辿ってしまうかも知れない。
ルカ姫様のように不幸になってしまう人もきっと沢山出てきてしまうだろう……。
だから、私達永久なる向日葵」が、少しでも魔族を倒しておくべきだろう。
きっと、姫様もマイン君も反対はしないはずだ……。
国王様だけはどう反応するか読めないけど……。
『……ま、マイン君ちょっといいかな?ケートス様からとんでもない話を聞いたの』
『先にアイシャの方からどうぞ』
『え、うん……神獣ヘル様が魔王カイエンについたみたい。それで、魔王軍に、新たな兵隊としてリザードマンとアンティカというのが加わったんだって』
◆◇◆◇◆
アイシャから聞いた話は確かにとんでもない内容だった。
魔王にヘル様がついたというのも驚きだけど。リザードマンとアンティカという魔族が魔王軍に加わったというのは
ちょっと大事すぎるよ。今までの戦力ですらオオセ大国は滅亡し、リッツも苦戦してるというのに……
それに追加して新たな軍勢が攻めてくるわけだろう?
下手したらリッツ王国とローラシア王国もオオセのように滅亡してしまうかもしれないよ。
ローラシア王国は勇者召喚とやらをするみたいだから耐えるかもしれないけどね。リッツ王国は少し協力しないとまずいね。
サーシャとスターシャリオン様の母国でもあるし……
『なんだい?アイシャ?こっちもびっくりする話が舞い込んできた、これはシルフィに話して貰うね』