第200話 双子姫との邂逅(2)
リッツ王国兵士長カイトさんの提案により
リッツ王国側の双子姫の乗っていた馬車に僕とシルフィとサーシャリオン様が乗り込み
オーガスト王国の馬車には、お義兄さんとシオン姉ちゃん、スターシャリオン様が乗る事となった。
ある意味でこれはお見合いみたいなものだから僕は柄にもなく緊張しっぱなしだったけれど、
頭の上に乗って後ろ足で体を掻きながら大欠伸をしているわっふるのおかげで随分とリラックスする事が出来た。
サーシャリオン様はそんなわっふるが気になるらしく
ゆらゆらと揺れるわっふるの尻尾の後をついて首を横に動かしている。
「……マイン様、その頭のワンちゃんはなんなのですか?」
む、わっふるの正体を言ってもいいのだろうか?……というより彼女に僕たちの秘密をどこまでで教えるか……?
それについても考えないといけないよね
これから一緒に暮らすなら隠し続けるのは難しいだろうし。まず、彼女の人柄を確認してから家族会議だ、本人の前でおおっぴらに出来るわけ無いから【念話】会議に
なるんだろうね。
「……マ、マイン様?」
いけないいけない、ついくせで考え込んじゃった。とりあえずわっふるの事は当たり障りの無い説明をしておこう。
「ああ、ごめんなさい。サーシャリオン様」
「……サーシャで結構です。これから一緒に暮らしていくのです他人行儀はやめましょう。」
「うん、えっっとサーシャ、この子の名前はわっふる。
って言うんだ。
僕達の大事な家族の一員なんだ!わっふる……サーシャに挨拶して」
「わふ……」
僕がそうわっふるに言うとわっふるは少し力なく鳴き、右前足をあげてサーシャに挨拶をする。
その様子を見たサーシャは目を輝かせて両の手のひらを合わせて立ち上がった。その視線はわっふるを見据えたままだ。
「かっ可愛い……なんですかっ!?マイン様このかわいい子は!?」
そしてすごい剣幕でわっふるを褒め?はじめた。
確かにわっふるは可愛いけど……ここまで激しい反応をする人は初めてかもしれないな。
「わっふるー、わっふるー、はじめましてー、サーシャリオンですよー。宜しくお願いいたします。お願いしますねー」
そしてサーシャはわっふるを抱きかかえて喉元を優しく撫で始める。
わっふるも気持ちがいいのか目をつぶりそのまま寝始めたようだ。
「わふ~」
「くすっ寝ちゃった。可愛いなあ……わっふる」
サーシャもご満悦のようだ『シルフィ、シルフィ、彼女に僕の秘密を何処までで教えるべきだろうか?』
『何も教える訳にはいかないだろう?』
『兄上と違って、彼女はルイスを蹴ってわざわざ旦那様を指名してきたのだぞ!国として何かの思惑があるに決まってるだろう。旦那様の秘密はあくまで現在知っている者だけにした方がいいと私は思う』
『……うーん、シルフィの言う通りだと思うけど一緒に暮らすんだよ?隠し通せると思う?』
『詳細は分からないだろう?便利な力を持っている位で終わってくれればいいんだけどな……』
う~ん、シルフィはちょっと楽観視しすぎじゃないのかな?
アイシャとシルフィに出会った頃、二人が僕の事をどう思っていたかを考えて貰えば分かると思うんだけどね。
いっそ、サーシャもフェンリル様にひきあわせちゃうのも手なのかもしれないなあ」他国の王族って言うだけで面倒くささが格段に違うよね……。
サーシャをを通じてリッツ王国に僕の情報がもれたらそこから噂がどんどん広がってしまいそうだ。
そもそもフェンリル様の存在自体をリッツ王国に与えていい物かどうか悩むところだね
……あぁ困ったぞ、これは困った。
どうしよう。