第199話 エルフの里跡で宝探し(アイシャルート)(2)
マイン君達と別れ、いよいよ私達だけとなってしまった。
なんだろう?このどうしようもない不安感は…………。
取りあえず戦闘時のフォーメーションを決めないといけないわね
いつもはマイン君と姫様が何も言わないでも前衛を引き受けてくれたけど今日は……
「ピロース、悪いんだけど戦闘時に前衛を任せてもいいかしら?」
するとピロースは少し驚いてこういった。
「お願いも何も私は前衛しか出来ないぞ」
そうだった!……ピロースは生粋の剣士だ、後衛が出来るジョブが無い。
「エイミさんは私と一緒に後ろに居てね」
マイン君の話ではレベルだけはエイミさん高くなってるらしいけど戦闘となると心配よね……
「クゥは私達の更に後ろで殿をお願いね」
うん、これでフォーメーションは決まった。よほどの敵でも出ない限り安心のはず。
ピロースの強さは迷宮で確認済みだし……クゥの強さも心配は要らない。
「なあ、アイシャ……気合いをいれているところすまないが私とエイミは先に【幻惑の腕輪】を探しに行ってくるぞ」
「ありそうな家がすぐ傍にあるんだ」
ピロースがもうまちきれないとばかりにエイミさんの手を引いて世界樹とは別方角へと走って行った。
「ねえピロース、ホントにミストの家にあると思うの?」
「ああ、勿論だ。ミストのヤツは内向的だったからな基本的に家から出ないで暮らしていたじゃないか?
だから、絶対に家の中に腕輪はある!」
「けど、ミストの家の何処にあるのか知ってるの?」
「さすがに、それは知らないが……それを探すために来ているんだろう?
探せばいいじゃないか」
そんな話をしながら私とピロースはミストの家に入っていく。
ピロースが目につく戸棚をあらっぽく探していく。
私はその後ろからピロースが見逃した棚を調べていく。
三つほど棚を探すと見慣れた腕輪が出てきた、「ピロースあった、あったよー!」
私が大声でピロースを呼び止めるとピロースは目を細めて「あった?」
とつぶやいた。
なんと目的の【幻惑の腕輪】はあっさりとみつかってしまい、私達の用事は完了してしまった。
次は世界樹の迷宮だねケートス様にお会いしてその加護をいただかなければいけない。
私は見つけたばかりの【幻惑の腕輪】をピロースに渡すと気持ちを切り替えたのだ。
迷宮に入るのだ、他の人達と比べて私には戦闘能力が無い。
気を抜いて挑めば、待っているのは死だけだろう。
そんな緊張している私にピロースが声をかけてくれた
「エイミ。そう緊張する事はない。 この私がついているし、アイシャも手練れの戦士だ。神獣様もいるわけだし 危険は無いさ」
私から腕輪を受け取りピロースはさっさと外に出てしまう。
私も後をついて外に出てアイシャと合流するために二人で世界樹の迷宮へと向かうのだった。
迷宮の入り口には難しい顔をしたアイシャとクゥが座り込んでいた。
「あら、随分と早かったわね?例の腕輪は見つかったのかしら?」
こちらに気がついたアイシャがにこやかな笑顔で尋ねてきた。
「ああ、首尾良く発見する事が出来たぞ、それでこっちに合流すべくやってきたのだが、どうした?中に入らないのか?」
ピロースが片手をあげながアイシャに答えを返す。
「いや、入り口にね、トラップがしかけあるみたいなの
「きゅきゅきゅーお母様が気をつけるように言ってるんですー」
「入り口にリーザードマンが仕掛けたトラップがあるとおしえてくれたのですーーーー!!!」
なるほど、それでさっきの難しい表情なのね?
ケートス様がわざわざ忠告するくらいなのだから相当危険な罠なんだろう……。




